My Fair Lady #90

時間を掛けて少しずつ僕の中にユノが体を沈めて行くのを浅い吐息で見守った。
「っ、…」
ユノの体が一気に脱力するのを肌で感じて、ようやくこの体に収まったんだと知る。
と、同時に額から滲んだ汗が耳の脇を滴り落ちて行くのをスローモーションのように感じながら自分がずっと息を止めていた事に気付く。
「苦しいか…?」
見上げた先にあるユノの表情に余裕は見えなかった。
やっとここまで辿り着けた安堵はユノも僕も感じている筈だから、そんな顔をさせているのは自分なのだと。
焦って首を横に振ろうとしたのがあまりにもぎこちが無く。結局はユノの問いに肯定していると同じ事になってしまう。
「汗が凄いな…呼吸も浅いし」
ユノが目を眇め、そして強ばった僕の頬をやわやわと撫でていくのが焦れったい。
じわりと目尻に溜まった涙なのか、汗なのか。ユノの指が触れた瞬間にポロリと滑り落ちて、ようやく息が継げた気がした。
正直こんなに苦しいとは思いもしなかった。
息を吐くのも吸うのもままならず、全て咥え込んでしまえば少しでも楽になるもんだと思っていたのに。
ユノの一部が体の中にあると言うよりも、太い杭がお尻に打ち込まれていると例えた方が的確な程、僕の下腹部への圧迫は凄まじいもので。
まだ行為が始まる前という事実に目眩が起きそうになっていたんだ。
「苦しいよな、だけど今日は止めてやれない」
そう言ってじりじりと更に腰を押し進めるユノの声が酷く掠れて耳に届き、そんなに欲して貰えるんだと密かに打ち震えた。
「ユノ…」
「チャンミン、…愛している」
ユノから漏れたその一言だけで十分幸せで胸が締め付けられる程に嬉しくて。
出会いの印象が本当に最悪だったユノをなんて冷たい心を持った自己中心的な人だと勝手に思い込んでいた頃が懐かしく。
そんな風に今は思える自分に思わず泣き笑いしていた。
「…僕もです、…ユノを愛しています」
「…チャンミン」
恐らく涙でぐしゃぐしゃな不細工に笑っていたであろう僕を、見つめるユノの目はどこまでも慈しみを注いでくれるような。
そんな優しい、柔らかいものだったんだ。
ユノの体が一気に脱力するのを肌で感じて、ようやくこの体に収まったんだと知る。
と、同時に額から滲んだ汗が耳の脇を滴り落ちて行くのをスローモーションのように感じながら自分がずっと息を止めていた事に気付く。
「苦しいか…?」
見上げた先にあるユノの表情に余裕は見えなかった。
やっとここまで辿り着けた安堵はユノも僕も感じている筈だから、そんな顔をさせているのは自分なのだと。
焦って首を横に振ろうとしたのがあまりにもぎこちが無く。結局はユノの問いに肯定していると同じ事になってしまう。
「汗が凄いな…呼吸も浅いし」
ユノが目を眇め、そして強ばった僕の頬をやわやわと撫でていくのが焦れったい。
じわりと目尻に溜まった涙なのか、汗なのか。ユノの指が触れた瞬間にポロリと滑り落ちて、ようやく息が継げた気がした。
正直こんなに苦しいとは思いもしなかった。
息を吐くのも吸うのもままならず、全て咥え込んでしまえば少しでも楽になるもんだと思っていたのに。
ユノの一部が体の中にあると言うよりも、太い杭がお尻に打ち込まれていると例えた方が的確な程、僕の下腹部への圧迫は凄まじいもので。
まだ行為が始まる前という事実に目眩が起きそうになっていたんだ。
「苦しいよな、だけど今日は止めてやれない」
そう言ってじりじりと更に腰を押し進めるユノの声が酷く掠れて耳に届き、そんなに欲して貰えるんだと密かに打ち震えた。
「ユノ…」
「チャンミン、…愛している」
ユノから漏れたその一言だけで十分幸せで胸が締め付けられる程に嬉しくて。
出会いの印象が本当に最悪だったユノをなんて冷たい心を持った自己中心的な人だと勝手に思い込んでいた頃が懐かしく。
そんな風に今は思える自分に思わず泣き笑いしていた。
「…僕もです、…ユノを愛しています」
「…チャンミン」
恐らく涙でぐしゃぐしゃな不細工に笑っていたであろう僕を、見つめるユノの目はどこまでも慈しみを注いでくれるような。
そんな優しい、柔らかいものだったんだ。
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