2020_02
20
(Thu)00:00

My Fair Lady #89








蕩けるようなキスに意識が持って行かれる中、ゆっくりと時間を掛けてユノは僕の窄みを解していく。

固く閉ざした肉の襞をぬめりを纏った指が出し入れされる度にいやらしい音が響くから僕は少しだけその興奮を隠せないでいた。

「…っ、ハア…」

決して気持ちがいいとは言えない異物の存在がユノの指だと思うと尚更だった。

「、、、ッ!?」

だけど異物が体内に入って来る感覚に少しずつ慣れて来たその時だった。
明らかに今までの不快さとは別の何かが走り抜け、そんな僕の反応を見たであろうユノからは嘆息が漏れ出る。

「こんなに判り憎いものだとはな」

「な、…今の、は…?」

聞き返した途端にまた同じ箇所を指の腹で擦られれば、勝手に口から短い喘ぎが上がってしまう。
一体、自分の体に何が起きたと言うのだろう。

ユノがもう一度確かめるように見据えたままで前よりも強く押し始めると、僕は咄嗟にその腕を掴んでいた。

「大丈夫だ、痛くはしない」

勿論その言葉を信じてはいるけれど、どうしたらこの感覚がユノに伝わるのか。
戸惑うままにきつく目を瞑ると、端から溜まっていた涙が頬を滑り落ちて行く。

「もし、…怖いならここで止めるが」

労るみたいにそっと触れた唇が目尻にまだ溜まっていた雫を掬い、ユノはそのまま何度か額に口付けて呟く。

「、っ怖いんじゃないんです…ただびっくりしただけで…」

今、ここで僕が首を少しでも縦に振ったら本当にユノは止めてしまうのだろうと思った。
いつもはあんなに強引な所があるユノだけど、一緒に居たからその胸の内はよく分かるんだ。
心はとても温かい人だって事を。

だから僕はきつく閉じていた瞼を開くと、自分からユノの唇に重ね合わせた。

「じゃあ…出来るだけ優しくして下さいね」

おどけた風に言ってみたけど実際は僕も緊張をしていないわけじゃない。
でもこんな事でユノが笑ってくれたら僕の心も和らぐ気がして言ったまでで。

「そんなの当たり前だ。どうやったってチャンミンの負担は軽くなるわけが無い行為なのは分かってる。俺がどんなに優しく尽くしても、この身体を傷付けてしまうだろうがな…」

なのに。

怒るでもなく、笑うでもなく。
ユノの目が真っ直ぐに僕のそれと向き合いながら、思ってもいない告げられた真摯な言葉に胸が淡くざわめいた。

「ユノ…」

「なんだ」

この目の前の男がとても愛おしいと思った。
器用なのに生き方は酷く不器用で、言葉に偽りが一切存在しない実直な人。

「ふふっ、じゃあうんと優しく僕を何度でも抱いて下さい。…ね?」

「…あぁ」

多分、今日の僕はユノとの行為に快感を得る事が難しいのは分かっていた。
それでもそう言われれば少しはユノの心の負担が軽くなるんじゃないか、そんな願いを込めてもう一度ユノの唇に触れると洗いざらしの前髪が鼻先を擽る。

「全く、お前には適わないな…」





その後、怖々と僕の中に少しずつ身を沈めて行くユノを目を逸らさずに見届けた。

勿論、歯が噛み合わないような圧迫感も、引き攣れるような筋肉の痛みも無かったわけじゃない。
それでも最後まで、僕の身体の中にユノの一部が全て受け入れられるまでをこの目で見つめ続けた。



寄せられた眉。

額に滲む汗。

浮き立った血管。

食い縛った歯。


そして、それらを乗り越えた後に見せた安堵。





僕はこの時…どれだけユノにとって大切な者であるかを胸に刻んだんだ。



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2020/02/22 (Sat) 09:38 | # | | 編集 | 返信

青✱✱✱様

コメント有難うございます(o´艸`)
楽しみにして頂けて嬉しいです!引き続きご愛読を宜しく御願い致します(*ˊ˘ˋ*)。♪:*

2020/02/23 (Sun) 23:06 | あゆ #- | URL | 編集 | 返信

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