2015_02
18
(Wed)00:00

止まない雨の癒し -旅立ち-

Wishing you a great year.






二人が心も体も結ばれた日から

彼は僕の家から公演会場に向かうようになっていた

それが
また離れ離れになる日が来る事を知っていても

その時を…
大切にしたいと

あの向日葵のような笑顔を
この胸に
いつまでも…閉まっておけるなら…

刹那に揺れ動く心を秘めたまま
彼の公演を支え続けたんだ



「ねぇ…今夜は外で待ち合わせしよっか」

そう言ってお店の名刺を渡された




夜7時

待ち合わせのお店の前に着く
…彼の姿は…?

建物の影から

紅い薔薇…

クスクスッ…隠れてるつもりなのかな…


「お待たせ」


飛び跳ねるように驚く彼

「あっ、、、見つかっちゃった…」

しゅんっと項垂れた姿が可愛い

それでも後ろに薔薇の花束を必死に隠す健気さに心が打たれる

気付かない振りをして先にお店のドアを開けると

パンッパンッとクラッカーの弾ける音が響いた

「お誕生日おめでとう!!」

その声と共に目の前に深紅の薔薇の花束を抱える彼

店内は貸し切りらしく中央のテーブルに
二人分だけの食器セット

お店のオーナーとウエイトレスの女性の方が
クラッカー片手に拍手をして出迎えてくれる

アットホームなお店だった
彼の知り合いらしく、我儘を通して貰ったんだと思うと嬉しくて

涙を滲ませていると

「美味しい物を食べると笑顔になるからね」

ってテーブルの上に置いた僕の手に自分の手を重ねて言ったんだ

…貴方と一緒に食べるからだよ

僕はそう心の中で呟いた


料理はどれも美味しく
彼は自分の皿から取り分けて僕へ沢山食べさせてくれたんだ

僕等の関係を隠す事なく
こうして過ごせる幸せを心の底から感謝してお店を後にした


外は雪こそ無かったけどやはりまだ2月の寒さが肌に刺さるようで
身を縮こませながら歩いていると

「手」

グッパー、グッパーの動作をするから
そろっと手をポケットから出すと

ぎゅっと握り締めたまま自分のコートのポケットへ僕の手ごと突っ込んだ

ふふふ、と嬉しそうな横顔…



やっぱり、、、離れたくない…

込み上げる想い

顔を上げたら泣いてしまう

俯いたまま彼に手を引かれるままに歩く



ドンッと彼の背中にぶつかった

急に立ち止まったその場所は広い公園の大きな噴水の前だった

そわそわと落ち着きを無くした彼が
時計が表示された電光掲示板を指差して

「見てて」

すると
時計の表示が0時に切り替わるその時

"Happy birthday "

の文字が流れて

目の前の噴水が綺麗な赤から青、黄色、緑と様々な色に変わりながら

僕等を彩るように包んだ

その光景に声も出せずに見惚れていると
ポケットの中の手が外に引っ張り出されて…

「え…」

スッと右手の中指に…光るシルバーリングがはめられ

「ずっと、これからも側に居て欲しい」

あの…向日葵は眩しそうに目を細めて
中指のリングにキスを落としながら

「だからボクと結婚…して下さい」

ふんわりと咲いた向日葵の笑顔が涙で滲んで
そのまま彼の胸に飛び込んだ

僕は返事の代わりに彼の首に腕を回して
深く口付けを交わした…



「これからも離れずに、一緒に見た景色を写真に納めて行こう…」




僕は思い出の詰まったお店に別れを告げて
彼と一緒の道を歩む事を選んだ

不安が無いと言えば嘘になるけれど…
それよりも彼とまた離れる事の方が辛く苦しい

いつか…彼と一生を過ごす土地を見つけられたら…

そんな目的の旅にしてもいいと思えた




あの雨の日に訪れた癒しは

僕の心にいつしか染み渡り

いくつもの季節を経て

暖かな小春日和に変わっていた



まるで僕等の旅立ちを祝福するような

柔らかな陽射しを降り注いで…






end



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C.O.M.M.E.N.T

この子たち、出会いの頃はパステルカラーだったよね。
いまは、匂い立つ子たちになった。

どんな時を過ごすのか、また、みせて。


はい、ここで問題。
『みせて』を漢字に変換。

2015/02/18 (Wed) 01:43 | 723621mam #- | URL | 編集 | 返信

Re:

723621mam様

ですね〜
やはり男を知ると変わりますね♡
あっ、男同士だった…

おっとー!!
むー・・・・一つしか思い浮かばない、、、

『魅せて』

ですか??

面白い(笑)

2015/02/18 (Wed) 09:15 | shin #- | URL | 編集 | 返信

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