2019_08
24
(Sat)23:09

Blue Jeans #13

俺にしては珍しくこれはかなりやばいと思う。
今まではある程度コントロール出来ていた筈だった。だがここに来て予想以上のものを味わせられてしまっている状況に正直戸惑う。少しばかりこの男を俺は舐め過ぎたのかもしれない。
「っ、…ふ、…っ」
切れ切れに男は息を吐き出す。それ以外はずっと唇を強く噛み締めて何かに耐えようと必死だ。目尻に涙のようなものを溜めて、時折きつく目を瞑って瞼を震わす。こぼれそうでこぼれないしずくの行方にこちらは目を奪われ、そんな中で男は堪え切れずに甘い吐息を漏らす。それはまるで聴いた者の鼓膜まで溶かしかねない程の甘さで、尚更目が離せなくなっていく。俺が見つめているのを知ってか知らずか、うるうると押し上げられた瞼からうっすらと覗いた瞳はどこか焦点を失ってとろんと蕩け。相変わらず甘い吐息をこぼす唇は赤く染まっていた。
緩慢な動きだからと相当俺も気を抜いていたらしい。そしたらうっかり男の痴態をまざまざと見る羽目に陥ってしまっていたのだ。主導権を今更握るつもりも無いが、赤く熟れた唇に自然と引き寄せられる形で噛み付いた。途端に男の彷徨っていた瞳の焦点が俺に定まり始める。同時に体の奥から沸き上がる熱を実感する。こんな感覚はよく身に覚えがあった、それは体が熱を放出する時の前兆のような。
「…まさかな」
考えが口からついて出る。それを封じ込めるように男が唇を重ねて寄越す。ねぶられ、絡み付き、深さを増した口付けと共にじわじわと体内の底から押し上がっていく熱。咄嗟に俺と男の腹に挟まれていたものを握ると、一瞬舌の動きを止めて男は息を詰めた。それでも熱の勢いは止まらない。緩々と扱きの手に合わせて男の腰も揺れた。それがかえって俺にとって命取りだった。舌の動きが止まったままで男が浅い呼吸をする。甘い吐息が俺の顔に直接降り注がれた。
「くっ、」
不覚にも、と言うのが正しいのか。男の吐息にいざなわれるようなそんな感覚で吐精をしてしまう。まさかイカせる前に自分が果てる事なんて有り得ないと思っていたのが嘘のように、男の体内に嵌り込んだままでどくどくと熱が吐き出されていく。
「…え、イッたんですか」
先程と打って変わってあの独特の色香を潜めた男は、その顔に心底驚いていると言った表情を貼り付けて目を丸くして聞く。不本意ながらこの状況下で否定するわけにもいかず、舌打ちしたい気分で素直に頷いて見せると。男はほろりと表情を崩して笑い返した。あぁそんな顔も出来るのかと、思わず見惚れる自分にいよいよ本気で舌打ちはしたが。




無性に吸いたい気分に駆られて、諸々の事は後回しにして男の家を出る事にした。服はさすがに自分の着ていた物だと明るい日差しの下では浮き過ぎる為にそのまま男の物を拝借をして。
すると、はやる気持ちで抜けたエントランスの入口付近に佇む男と一瞬だけ目が合う。とても印象的な、一瞬と言えど惹き付けられるその顔立ちの男は俺を見るなりいきなり駆け寄り出して掴みかかる勢いでこう聞くのだ。『この服をどこで』と。
この男が、例のミノだと確信した。
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