2015_02
17
(Tue)00:00

岐路 episode 34

日本へ向かう機内でチャンミナは徐々に口数を減らし
今はただ、窓の外をぼーっと眺めている

タイで父親との確執の話をした時に
今回の日本の公演に父親を招待したと言っていたんだ

果たして来てくれるのか…
認めて貰えるのか…
様々な不安がチャンミナを取り巻いているんだろうな

俺は何も言わずにブランケットの下で
そっと繋いでいた手を握り締めていた

こんなのでチャンミナの心が軽くなる筈は無いのは分かっているけど
気休めな言葉を掛けるつもりも無いんだ

チャンミナが不安な時に側に居る、それだけでいいと思った






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父の居る日本が近付くにつれて喉がカラカラに乾いて来る…緊張…かな

膝の上に組んでいた手を掴まれてブランケットの下に隠すように手を握られた

ユノ…

その手から伝わるぬくもりが心に染み渡るようで、改めてユノの優しさに触れた気がしたんだ

何も言わずに側に居てくれる
それだけで有り難かった…



公演会場のある東京に着くと
父から連絡が入っていて

「少し会えないか」

コンサートには来ないって事…?
会って何を話すつもりなんだろう…

不安が押し寄せる

一旦、リハーサルが終わった後に落ち合う為に
ホテルの場所を教えた

リハーサルが終わって食事まで空き時間となり
ユノは取材の為に待機をし、僕は先にホテルに戻って部屋の中をウロウロしていたんだ

…けれど
約束の時間を過ぎても訪ねて来ない
いつもきっちりと時間厳守のあの人に限って…

何かあったのかと心配になってロビーに降りてみると

広いロビーの一角にあるラウンジによく知った顔が

ユノ…そして、、、父さん…

僕が2人に近付くとユノが気付いて父に目配せをして

振り向いた父は微笑んでいたんだ

こんな穏やかな父の笑顔なんて、いつぶりだろう…

固まって声も出せない僕をユノが側に寄せて
ふんわりと笑って見せると

「では、僕はこれで失礼します」

と頭を下げてその場を後にした

残されてその場に立ち尽くしている僕に
父が

「彼は…お前の事を本当に大切に思っているんだな」

ユノの後ろ姿を見送って
そう、言ったんだ…

その意味を聞こうとするとイスに腰掛けるように促され、父と向かい合って座った

少しお互いの近況を確認し合うと
どうしてユノと一緒に居たのか切り出してみた

「あぁ、彼にサインを貰おうと私が声を掛けたんだ」

「さ、サイン!?」

何で父さんが、、、

キョトンとする僕を見て少し嬉しそうに

「お前…母さんが彼の大ファンだって知らないんだな」

くくくっと笑ってみせ

「チャンミンの父親だと話したら、少しお話いいですかって向こうから言って来たんだよ」

ユノが…?

「それで…いきなり真剣な顔して、『チャンミンを認めてやって下さい、俺が彼を必ず守りますから』そう頭を下げられてね」

そう話す父は先程の穏やかな笑みを浮かべていて僕の中に熱いものが込み上げて来たんだ…

父はそっと僕の肩に手を置くと

「お前にも同じ事を言おうと思ってたんだが…彼に、『私は息子の選択を今は応援している』そう伝えたんだよ」

「えっ…」

それから父の口から勘当してからの事を聞いた

僕の話を聞かずに勘当をして母に責め続けられた事
その後に少しずつ仕事が貰えるようになった僕を認め始めた事
人生初のPOPsのCDを買ったのが僕の作曲した物であった事
そして、そのCDを常に海外に持ち歩いている事

僕は…父の話す言葉にただ耳を傾けていた
だって、、、信じられない事ばかりで…
まだ頭が混乱していたんだ

全て話し終えた父は照れ臭そうに

「ユノ君にも心配させてすまなかったな、でもちゃんと明日のコンサートは行くと伝えたらとても喜んでくれてたよ」

「来てくれるんですか…」

嬉しさで涙が滲んだ

肩を震わせて涙を堪える僕の頭にそっと手を置くと

「良い人に出逢えたな…お前も彼を大切にしなさい」

そう言って優しく撫で下ろしたんだ

驚いて顔を上げると

「そんな泣き顔は愛してる人の前だけにしなさい、彼が心配してしまうだろ?」

頬を緩ませて楽しそうに笑っている

えっ、えっ…!?

すると、今度はにやにやと

「一度、母さんにも紹介してあげないと拗ねるぞ」

だって…

親ってつくづく凄いな……

「私達はお前の選択にもう口出しはしないから後悔の無いように生きなさい」

そう、最後に言って父さんは僕の背中を押した

有難う…父さん





部屋に戻るとユノが布団に包まってすやすやと寝息を立てていた

その寝顔が愛おしくて
そっと頬にキスを落とすと

「ん…チャン…ミナ?」

薄眼を開けて僕を探し出す
彷徨う手を握り締めてその手にキスをすると

ぱあっと、花が咲いたような笑顔を向けたのち
ショボンと顔を曇らせてしまったんだ

頬を挟んで

「どうしたんです?」

とまだ寝惚けた顔にちゅっちゅっとキスをしながら尋ねると

困ったような顔をして

「ん…余計な事、した」

怒られた少年のような眼差し
本当…この人は、、、愛おしすぎるんだよ…

ぷくっと突き出た下唇をはむっと吸い寄せて

「そんな事…無いです」

舌をちろっと差し入れる

「ん…あっ、、んッ…ごめ…」

逃げ惑う薄く柔らかな舌を絡め取りながら

「僕がいいと言ったらいいんです…」

まだ何か言いたそうな唇を熱いキスで塞ぐ

「んっ…ふっ…ンンッ…っ」



食事までの残りの時間を

愛おしむようにその唇を愛撫し続けた…
















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C.O.M.M.E.N.T

この二人、差しつ差されつがおもしろい。←はい。正しい使い方ではありません。

2015/02/17 (Tue) 22:03 | 723621mam #- | URL | 編集 | 返信

Re:

723621mam様

えっ?
挿しつ挿されつ??←(笑)

もう少しでお別れ〜あぁ、寂しいです

2015/02/17 (Tue) 22:11 | shin #- | URL | 編集 | 返信

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