My Fair Lady #85

お尻を触れられてビクッと体を竦ませると、ユノがヒチョルに掴みかかろうとしていた。
「ヒョン!何やってんだ!?」
「ユノヤ、俺を殴る気か?」
ユノに胸倉を掴まれているというのに、ヒチョルは顔色ひとつ変えずにそう言い放ち。
それを受けて、ユノの方が若干怯んだ様子を見せていた。
「この様子だとチャンミン君は男同士のセックス事情を全く知らないんだろうな。あ、何なら俺がレクチャーしてやろうか?」
「あ゛!?」「は!?」
ユノと同時に声を上げると、ヒチョルはそれを見て愉快げに笑うのだ。
絶対に、、揶揄ってる///!!
「しかしユノがまだシテないなんて…何で?」
無邪気な感じでどストレートにドンへが疑問を口にする。
一同の視線は投げ掛けられたユノに向かっていた。
「…それは、」
正直、今の今まで男同士の本当の性事情を知りもしなかった。
ユノと付き合うようになって、お互いに触ったり擦り付け合ったり。
素股でもかなり気持ち良かったから、男同士でも充分楽しめるもんなんだと。
そんな風に思ってたぐらいの僕なのに。
ヒチョルが言うように本当の意味でまだ本番をしていないのなら…
何故ユノはしないのかを、僕も純粋に知りたいと思ってしまっていた。
そんな僕からの視線に明らかにユノは狼狽えている。
「まさかだと思うが、ユノも知らないのなら。俺が手解きしてやってもいいけどな?ハハッ」
水を差すシウォンの高笑いにユノはイラッとした顔をして舌打ちで返す。
「知らないとしてもシウォンにだけは教えて貰いたくないよなぁ?」
ケラケラとヒチョルがユノの代わりに相槌を打つ。
だけどやっぱりみんな、ユノの答えを待ってるようでその場から動こうとしないのだ。
「ハァ、、分かった。理由を言うが」
ようやくユノが口を開いたと思ったら、マジマジと僕を見つめるので不意を突かれてドキッとした。
「引くなよ?」
「え、あ、ハイ」
黒薔薇以上の衝撃があるとは到底思えないけれど、一応覚悟をして返事をすると。
ユノは僅かに安堵の色を浮かべたので、逆に僕の方が緊張感が高まって来てしまう。
「顔が」
かお、?みんなも同じように頭の上にクエスチョンマークを浮かべてユノの続きを待った。
「チャンミンの顔だけでイキそうになる」
その場が一瞬静まり返り、そののち、ドッと爆笑の渦が押し寄せた。
「ゆの、、、お前はっ!あぁ、腹痛いッ」
「顔かよっ!どんだけ好きなんだぁー!?あっはっは!!」
「ハッハッハ!実に面白い!今日は参加して正解だった。なぁ、キュヒョナ!」
ユノは違う、誤解だと。
懸命にみんなの笑いを抑えようとしていたけれど、その笑いは一向に収まるどころか強制的にユノが家から追い出すまで続いてしまった。
「改めておめでとう二人。俺はチャンミン君に感謝しかないよ」
ユノの追い立てによって玄関に集まった一同を代表して、ヒチョルがそう言いながら僕を軽く抱き締める。
すると続いてヒョクも僕とヒチョルを囲うように抱き締め。
「ユノに…喜怒哀楽の表情を戻してくれて有難うね」
と、呟いた。
その奥から啜り泣きが聞こえ、ドンへが泣きながら無言で僕の背にくっ付く。
その後ろではシウォンが近寄ろうとしたのをユノが止めていた。
「ユノさんが重い男なのは何となく感じてましたけど、チャンミンがそれでいいなら俺はこれからも応援します」
そう言ってキュヒョナが空いていた部分を埋めて、僕は四方からハグで包まれる。
「…お前な、何様だよ」
泣いていた筈のドンへにそんな風に言われたキュヒョナは堂々と「チャンミンの親友ですが?」と答え、爆笑をかっさらった。
だけど一人。
僕だけは涙を笑いに変える事は出来なかった。
「ふ、…くっ、、すみません、、なんか…」
ポンポンと、多くの手が僕の背を撫でる。
「ありがとうな、チャンミン君」
言われた”有難う”が、深く深く心に沁みた。
この度の甚大なる災害により、お亡くなりになられた方々にご冥福をお祈り申し上げます。
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