2018_06
11
(Mon)20:00

My Fair Lady #67








翌朝、再び車に乗ってマンションへ向かう道中で気になっていた話題をユノの方から切り出してくれる。

「気付いていたと思うが、昨夜うちに来たのは俺が結婚まで考えていたヘジンと言う女性だ」

「……」

改めてユノの口から”結婚”のふた文字を聞いた途端に自分達の関係が道理に反しているんだと痛感してしまう。

けれどユノは僕の心境に気付かず淡々と話を続ける。

「どこまでチャンミンが知っているかは分からないが。俺が久々に”Haven”を訪れたあの日、ヘジンに復縁を申し出るつもりでいたのは事実だ。だが───」



ユノは僕との出会いがひとつの転機だと言った。
そして詳しくヘジンとの仲についても語ってくれたんだ。

元々、ヒチョルとシウォンとヘジンは幼馴染の関係にあるらしく。
その縁でユノはヒチョルを通してシウォンと知り合い、更にシウォンからヘジンを紹介されたと言う。

「自分の年齢とヘジンの年齢を省みた時、そろそろ結婚も視野に入れて付き合うべきだと俺は思っていたんだ。だが、ヘジンの父親だけは違っていたらしく。俺が正式に結婚の承諾を得る為にヘジンの両親に挨拶に行きたいと何度申し出ても、すげなく断られ続けてな。そうしているうちに次第と俺の中でも諦めの気持ちが出て来てしまったんだろう…ヘジンとの仲もギクシャクし始めて自然な流れで別れ話が出たんだ」

ハンドルを握って前を見据えるユノの表情から苦悩や後悔は見えず、思わずホッとしてしまう。

「別れてからもヒョンを通してヘジンが俺の気持ちが戻って来るのを待ち続けているとは聞いていた」

「え?でもヘジンさんから振ったんですよね…?」

「あぁ。恐らく及び腰の俺の気持ちをはかる為に一度別れた方がいいと判断したんだろ」

「はぁ、なるほど…」

「実際、別れてから俺も確かに喪失感はあったからな。だが、果たしてそれを結婚に繋げていいものか悩んでも仕方がないと思ってもう一度ヘジンとヨリを戻してみる事を選んだんだが…」

「来なかったんですね、ヘジンさんが。お父さんに邪魔されたから」

「あぁ。後でその理由もヒョンが教えてくれて知っていて。正直『またなのか』とうんざりもした。その時点で俺の方は結婚に対する執着も大分薄れていたんで、それ以上俺からヘジンに連絡を取る事も無かったから、だから家の暗証番号も変えていたんだ」

そう言えば…昨夜、ヘジンはオートロックの解除は出来ていたのに玄関のドアはユノを呼んで開けて貰っていたっけ。

「昨日、チャンミンが俺のスマホを取る前も一度着信があったのは気付いていたんだ。だが、まさか直ぐそこまで来てたなんて思いも寄らなくて…」

「それで話は出来たんですか?」

「…………」

横を見るとユノは口を真一文字に結び、前を睨みつけるような険しい顔をしている。

「ユノ?」

「…いや、ヘジンとは結局話をしていない」

「エッ!」

「チャンミンが出て行って直ぐに後を追おうとしたが、ヘジンが食い下がってなかなか離してくれず。後日連絡すると言ってなんとか出て行って貰ったんだ」

何の為に僕が気を利かせて二人きりにさせたのかと思う反面、我を忘れて僕のあとを追おうと必死だったと聞かされてしまうと言葉に困る。

「心配するな、ちゃんとヘジンとは納得するまで話し合うつもりだ。な、だからそんな顔をするな…」

通勤のラッシュが始まり出した道路はなかなか僕らをユノのマンションへと帰してはくれない。
それに苛立つようにユノは舌打ちをしながら片手を伸ばして僕の手をぎゅっと強く握る。


「今すぐに抱き締めてその顔中にキスしてやりたい」

ボソッと呟くようにユノは僕を見てふっと、柔らかく笑うんだ。

「………っ、」

胸がいっぱいで答えられない代わりに握られた手に指を絡めて強く握り返すと。

「…チャンミンを失わなくて良かった」

と、今度は前を見据えてユノが言う。


“僕もです”

その一言が感極まって出ないのに、ユノは分かってるとでも言いたげに絡めた指をいつまでも握り締めて離そうとしなかったんだ。

だから僕もそのまま我慢もせずに涙を流してしまい、ユノは尚更家路に着くのを早めようとイラつかせていたんだけど。

ようやく帰宅した途端に玄関でユノに抱き締められて。

「頼むから”ただいま”って言ってくれ…」

なんていきなり言うので、言われた通りに「ただいま」と、言ったら。
ユノは体を離して僕を真正面から見つめて切実そうな顔をした。

「…ユノ?」

そしてもう一度、僕を胸の中に掻き抱くんだ。

「毎日、ずっと永遠に…俺の所にこうして帰って来て欲しい。だからあのアパートを解約してくれ、頼む」

「、え、、っ//」

そして再びユノは二人の間に隙間を作って僕の答えを待つように見つめる。

「あの、それって、、つまり……っ、」

「結婚、の意味を込めてチャンミンにプロポーズをしているつもりだ。実際には出来なくとも、それだけの決意を持って付き合っていきたいんだ」

「・・・ユノ、、、」


叶わないと決め付けていた恋なのに。

成就した途端にあれだけ分からないと悩んだユノの気持ちがこんなにも注がれるなんて、誰が想像出来ただろう。

「今すぐに答えなくとも」

返事をしない僕をユノが考慮して先に結論を延ばそうとするんだ。
でもその瞳は不安で揺れているのが、言葉を通さなくても僕にはよく伝わった。

だから。


「いえ、僕もです…ユノのそばに居たいんです・・」

さっき詰まって出なかった一言を聞いて、ユノはそっと唇で塞ぐ。

遠慮がちで、震えるそんなキスに。




泣きそうな程、幸せを感じた…








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