My Fair Lady #66

公園から僕の家まで、ユノとの会話は無く。
約束通りアパートまで送ると、僕が部屋に入るのを見届けるまでユノは車を横付けしていた。
「…そんな優しさなんて要らないのに、、、」
ユノと一緒に帰れば良かったんだろうかと、今更ながら剥き出しのマットレスの上でジタバタともがいた。
でもマンションに帰ったら帰ったで悶々としたに違いないのだからこれで良かったんだと思うのに、やっぱり悶々としてしまう。
「あぁ、、っ!もうユノなんか好きになるんじゃなかったっっ!」
近所迷惑も考慮しつつ枕に顔を埋めて想いを吐き出すと、スッキリしたようなしないような、、、
「ユノの分からず屋!自己中!無駄に良い体してんじゃねぇーーっ///!」
最後の文句は叫んだ本人でも何言ってんだろって、一人ツッコミを思わず入れようとしたその時、アパートの玄関のドアが叩かれてビクッとする。
「ヤバっ、、」
夜中に出たり入ったり、挙げ句の果てには意味不明の叫びと来たら…隣人からの苦情だ。
「はぁ、、、」
重い足取りで玄関へ進む。
その間も遠慮がちにノックが続いていた。
「あの、すみませんでした…」
鍵を解除してドアを開けるなり頭を下げると、その体ごと中に押し込められてしまう。
「え、わっ、、!?」
声を出そうとした途端にその口を手で塞がれてしまう。
「ん゛ん゛ん゛、、…ん?んの!??」
急な襲撃に動揺しまくっていた僕を、手で塞いだままのユノが部屋の奥へと連れて行く。
「ユノッ!」
手が外れた途端に叫んだら、ユノが「しっ」と唇に指を当てて僕に静かにしろと指示をするんだ。
「な、、っ、な////!?」
突然襲撃されて本当に怖かった。
だから凄く腹も立つのに、それ以上にまたユノに会えて喜んでる自分に困惑する。
「送るとは言ったが、俺が一人で帰るとは言っていないだろ?近くのコインパーキングを探すのに手間取ったが」
声のトーンを抑えて不敵に笑うユノが超絶に格好良いとさえ思ってしまう。
「悪かったな、ずっと苦しめて。チャンミンの気持ちを知ってる分だけ自分の方が余裕あると考えていた。苦しめるなら離れてやるべきなんだと思ったが、言っただろ、俺には手離せないって」
ユノはそう言うと、愛おしい者を見る眼差しを向けて僕の頬に触れる。
「決して生半可な気持ちで引き止めてるわけじゃない。今までの俺の態度が信用ならないなら、尚更これからの俺を見ていて欲しい。頼む、チャンミン──」
切実で真摯に語るユノに絆されたつもりはないと思いたいけど、惚れた弱みなのか。
ずっとユノから言われてみたいと願っていた言葉の数々に遂に僕の決心がボキッと音を立てて折れた。
「…前言撤回」
「は?」
キョトンとする目の前の男に向かって言い放つ。
「男に恋をしたんじゃない。ユノだから好きになったんだ!」
いつぞやの自分の想いを再び言い聞かせるように強く噛み締めた言葉に、ユノがフッと優しく笑う。
「あぁ、そうだな。俺もだ。男なんて有り得ないと思っていたのに…チャンミンだから恋をした、そして手離せないんだ」
雨降って地固まる。
生まれた絆は時間が掛かった分、より強い物であって欲しいと密かに心の中で願う。
「ところでどうしてこのベッドにはシーツが掛かっていない」
壁の薄いアパートで両隣の大学生に気を遣ってシャワーを浴びるのは諦めた。
仮眠を取ったらマンションに戻る事を二人で決めたのだけど。
剥き出しのマットレスを眺めてユノがそう聞くので、キュヒョナがクリーニングに出しててまだ返却されていない旨を伝えたんだ。
一応、シウォンのカードで払った事は伏せてみたんだけど、、、
「あ?どうしてキュヒョナが出て来る。まさかアイツと」
「ナイナイナイナイッ!」
「シウォンが、と思ったがそれは流石に無いか」
「あ・・・///」
てっきり僕とキュヒョナのベッドインが疑われたかと思ったら、ユノの想像はシウォンだった。
そして僕のアパートにシウォンとキュヒョナが上がった事も知っていたようで驚く。
「でも実際、キュヒョナとシウォンさんの仲ってどうなんですか?」
「さぁな、人の気持ちは分からない。俺だって今の自分は想像も付かなかったしな」
「アハ、それ言ったら僕もですね…女性しか興味無かったのに…?え、何ですか??」
会話を遮ってユノが僕を急に抱き締めるので訳もわからずにそっと背中に手を這わすと。
更にユノがぎゅっと強く体を締める。
「浮気するなよ、…男にも女にも」
「えっ」
「返事は」
「っ、はいっ///」
返事をしたのに、ぎゅうぎゅうと締め上げる力が緩まない。
「ちょ、痺れますよぉ、、っ!」
「幸せ過ぎてか?」
意外と寒い事を言える辺りがシウォンとつるんでる理由なのかもしれないと思って吹き出すとユノもククッと肩を震わせて笑う。
「チャンミン」
「はい?」
「戻って来るよな」
「…はい」
何度も念を押すユノが愛おしい。
ユノが言った通り、本当に。
心が幸せで痺れてしまう。
長かった・・ようやく成就です(*/∀\*)♡
※日産〜〜!!当日に向けて話を進めてきましたよ!
ストックが尽きましたので明日からまた貯まるまで更新をお休みします。
書けたらその都度上がるかもしれませんので、その際のお知らせはしませんね。
今日は久しぶりにコメ欄を開けます。返信は遅れますが感想等お待ちしてます♪
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