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2018_06
07
(Thu)22:00

My Fair Lady #64









幾ら話しても堂々巡りなユノに対して、僕は半ばやけくそになって「分かりましたよ…」と戻る事を承諾した。

取り敢えず僕をあのマンションに連れて帰ったらユノは満足するんだろうし。
数日して冷静さを取り戻したユノに再度話をしてみようと考え直したのだ。


外に出ると雨はしとしとと優しい降り方に変わっていて、朝までには止みそうな雰囲気だった。

雨降って地固まるなんて諺が日本にはあるそうだけど、今夜の僕とユノの衝突によって生まれた絆があるとは思えない。

しっとりと濡れた地面を踏みしめてユノの車に乗り込んだ。

だけどその心にはまた少しずつ澱が溜まって行くようで気が乗らない。



「浮かない顔だな」

「…………」

返事もしない僕にユノもそれ以上話し掛けては来ない。
それくらいの気遣いが出来るのなら、どうして僕をあのままあのアパートに残してくれなかったんだと恨めしい気持ちが込み上げる。

開けていればその目から涙が溢れそうで、眠くもないのにキツく目を瞑った。




車が緩やかに停車する気配に思わずそっと瞼を開ける。

最初はてっきりユノのマンションへ戻るのだと思って悶々としていたのだけど、停車する少し前から明らかに坂を登っている感覚があった。

「ここは・・・」

そこが何処なのか。
一瞬で理解するのが無理だったのは、前に来た時と時間帯が違ったからだった。

防犯の為の街灯はあるものの、昼間のあの明るさには及ばないのだから、何度も来た者じゃないと分かりづらい場所だ。

「あの公園ですか…?」

「あぁ。降りられるか」

「はい」

ユノと一緒に車の外に出ると、もう雨は完全に止んでいて。
心地良さを感じるくらいの微風が頬に当たるので、思わず伸びをしてしまった。

「もう怒ってないのか?」

「え」

伸びをしてしまった腕を慌てて引っ込めると、ユノがそれを見て柔らかく笑う。

「少し歩こう」

「…はい」



前を歩くユノの背中を見ては、やはり自分はこの男を好きなんだと思った。

だから育ち始めた恋の芽を無理に摘み取る必要も無いんじゃないかと───違うな、まだその芽を大切にしたいだけか・・・


そんな弱い自分の心に苦笑した。









前にユノとキンパブを食べた場所から少し歩いただけなのに、夜景が綺麗に見えるスポットに出て、僕は一人歓声を上げた。

「そんなに高い所でも無いのに…綺麗ですね」

「丁度邪魔する建物も無いからな、穴場中の穴場だろ?」

得意げに言うユノが幼くてクスッと笑ってしまう。

「機嫌は治ったのか」

「…………」

先程からしきりに聞かれているけど、聞けば聞く程答えづらいというのをユノは知らないらしい。

「チャンミン…?」

何も答えないでいたら不意にユノが真正面から覗き込んで来る。

暗がりで表情がよく見えないからって、、物凄く近い距離でユノの顔。

心臓に悪い。



「あの、…ユノ?」

「あ?」

「僕の言った事、理解出来てます??」

貴方を好きだと言った事、本当に分かってくれてますか──?

「あぁ」

「じゃあっ」

と、そこまで言った途端にユノが急に僕の体を引き寄せて抱き締めてしまうんだ。


「ちょ、ゆの、、!?」

いきなりの抱擁に嬉しさよりも動揺が上回るのに、ユノは腕の力を全く緩めようとはしない。

「ユノッ、、やめて下さい!!」

もう一度名前を呼ぶと体を離して二人の間に隙間が出来る。

「・・・・・」

けれど離れて見たユノは苦悩に満ちた表情をしていて、言葉を失う。


暫く僕とユノは黙って見つめ合っていたが、その沈黙を破ったのはユノだった。

「正直、簡単には出せない答えだった」

そう切り出された言葉に。
これが僕への別離の挨拶なのか、と。妙に冷静な気持ちで腹を括る。

「俺には─────手離せない」


だからヘジンを取るのだとそう思った。












「戻って来て欲しい…頼むから」


一瞬、自分に言われた事だと気付かなかった。










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