My Fair Lady #52

キュヒョナは結局本当に僕が片付けを終えても起きる事は無くて、揺すっても声を掛けても起きず。
「殴ったら起きるかな…」
と、呟いて拳を固めた瞬間にパチッと目覚めた。
「物騒な起こし方すんなよ、俺の美しい顔に傷付けたら一生呪ってやるから」
「なっ、、狸寝入りしてたんだ!?」
「違う。殺気に体が反応しただけだ」
「……」
言ってる事が怪しいし、厄介だし。
本音を言えば充分仮眠したんだからさっさと出て行って欲しいのに。
「で?」
「え?」
「え、じゃねぇよ。終わったんだろ?」
「あぁうん。お陰様でベッド以外はね、綺麗になったよ」
厭味も含めてそう言うと、キュヒョナはすかさず舌打ちで返して来る。
怖っガラ悪、、
「だ、だってお前が寝てるから洗濯出来なかったんだ、そう言われたって当然の事だろ!?」
少しビビって反撃さえどもってしまう僕。
昔から同年代の喧嘩程苦手な物は無いんだ。
けれどキュヒョナは舌打ち以外何も反論して来なかった。
そしてベッドから降りて黙々とベッドカバーを外そうとし始めた。
「…何してんの?」
声を掛けると既に手際良くシーツまで剥がそうとしていた。
「ハ?見れば分かるだろ、洗濯に出すんだよ」
「洗濯に、出す?する、じゃなくて?」
「あぁ。する、じゃなくて、出す、な」
まるで言葉遊びみたいな二人の会話。
絶対にコイツとは気が合わないと思った。
「出すって、誰が、、!?」
「勿論、ここでお前が片付けをしている間中、のうのうと寝て過ごした俺、が」
さっき僕に言われた厭味をそのまま返すような言い方に流石にカチンと来たけれど。
この時間からまた洗濯をしていたら近所迷惑になるし。
かと言ってコインランドリーに持ち込もうにも近所のそれは現在改装中なのをシウォンの車に乗りながら確認済みだった。
「はぁ・・じゃ、そんなに言うならヨロシク」
「あぁ。じゃ、行くか」
「あ、うん。帰り道気を付けて」
「………」
「ん?なに、まだ何か・・」
「腹減らねぇの?」
「………減ってるけど」
結構な荷物を抱えたキュヒョナが僕の答えにニヤリと口角を上げる。
あ、まずい。
「気が合うな、俺もなんだ」
「・・・・」
答えないでいたのに僕のお腹がぐぅっと鳴る。
「じゃ、決定」
嫌だと思うのに、強引なキュヒョナに連れられて結局僕はタクシーに詰め込まれてしまう。
「…何処に行くんだよ?」
ブスッとしながらも一応食べる事には大いに興味があるので、密かにキュヒョナの連れて行く店に期待もしていた。
なんせキュヒョナはヒチョルの店のシェフなのだから、舌は肥えてて当然。
「お前さ、ワイン飲める?」
「えっ!?これからワイン飲めるの!??飲む飲む!」
聞いた事と少しずれた回答が来るのがちょっとイラッとするけど、ワインと言うキーワードに思わず顔が綻ぶ。
「ふぅん。飲めるのか、合格だな」
「ハ?何が」
「いやいや、こっちの話」
「…………」
何だか、やっぱりキュヒョナは怪しい。
何を考えてるのか見透かせない程に真っ黒な腹だからか?
けれど、僕はワインの誘惑には勝てない・・
キュヒョナについて行った先は小洒落た感じのお店だった。
席に着いて早速メニューを見ながらぶつぶつ言ってるキュヒョナに対して、さっきから気になっていた事を意を決して聞いてみる事にした。
「キュヒョナ、あのさぁ」
「うん?」
「ソレ、…誰のだよ?」
この店に来る前に寄ったクリーニング店でもサッとキュヒョナが店員に差し出した真っ黒いカードが、このテーブルの上に無造作に置かれているんだ。
「あ?あぁ、コレ?そりゃ勿論シウォンさんのだろ」
「なっ、…勿論って、、」
ほいほいとキュヒョナについて来てしまったのを少し後悔し始めた僕だった。
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