My Fair Lady #46

ヒチョルはコーヒーを飲み終わると自分のお店の備品を買いに行くと言って帰った。
定休日のヒチョルに二度も食事を作らせてしまった事を反省して、ユノが快復したら料理を教えて貰おうと誓った。
使った食器をサッと洗って食洗機に入れる事と、シンクを綺麗に磨くのは覚えたんだ。
少しずつこうしてユノの負担を軽くしていけばいい。
ヒチョルが言っていたユノの懐に入る事が出来る人間がまさかそんなに限られているなんて今までは知らなかったから…
期待したら駄目なのに淡い想いがまた一層膨らんでしまう。
そっとユノの様子を確認しに行くと、いつのまにか額に熱を下げる為の冷却シートが貼られているのに気付く。
ヒチョルはずっと僕と話していたし、部屋のどこにそれが置いてあったのかも僕には分からなかったのに。
ユノにもっと近付くと枕元に体温計があるのを見つける。
ユノが自分で…?
あぁ、そうか、と思った。
一人暮らしが長いんだから本当は何から何までユノは出来るのかもしれないのに、僕がそれを邪魔していたのかも……なんて。
「あ…っ、ユノ」
その時、ユノが瞼を開けてぼんやりと視線を巡らせて僕の方を向く。
「何か飲みますか?」
焦点が合ったユノが「水」と答えたので、急いでキッチンから水を持って来るとベッドで上体を起こして待っていた。
コップを手渡すと口を付けてゴクゴクと一気に飲み干して行く。
飲む度に動く喉仏に見惚れていたら飲み終わったコップを僕に返して来ていたので。
慌ててそれを掴むとユノの手と重なってしまう。
「あ、っ」
パッと思わず手を離したらユノがふっ、と笑ってベッド脇のナイトテーブルにそのコップをコトリと置いた。
何やってんだ僕は、、、
ユノに触れただけでピリッと電流が走ったみたいになるなんて…
「ヒチョルはもう帰ったのか」
そう聞くユノがまだ気怠げで、そんな様子さえドキッとしてしまう。
ユノは体調が悪いのに・・
頭では分かっていても体は勝手にユノに敏感に反応して困る。
「えぇ。あの、、来てたの知ってたんです?」
「あぁ。熱があって話すのも億劫だったが、一応誰が何をして行ったのかくらいは覚えてる」
「あ・・そうなんですか…」
一応って。どこまでを…?
僕が体を拭いて、ユノの下半身に触れたのも、、?
「もう少し寝たい」
「あ、じゃあ薬とかどうしますか?」
「いや、いい。恐らく風邪じゃないだろうし」
「?」
「熱を出す事は昔からよくあったんだ。質の良い睡眠を取れば明日には動ける筈だ」
「それなら目が覚めた時に食べたい物を用意しておきますね。何がいいです?」
ベッドに再びユノが寝るのを邪魔したら悪いと思って離れようとした所で、その腕を強く引っ張られる。
「何がいいかなんて起きたらでいい」
「え、でも、、」
「それよりも」
そう言うとユノはどこからそんな力が湧くのかと信じられない程の素早さで僕の体を自分が寝ていた場所へと引きずり込んでしまうんだ。
「わっ!何っ?!何なんです、っ、」
「質の良い睡眠に協力しろ」
「え、だって、、、」
動揺している間にユノの体がピッタリと背中にくっ付けられる。
背中越しに伝わるユノの少し高い体温・・・
「…弱ってるんだ、今日ぐらい大人しく抱き枕なれよ」
弱ってるなんて、ユノ自ら口に出すなんてよっぽどなんだろうけど。
「じゃあやっぱりユノは人肌が恋しいんですよね?」
一度は否定された事だけど再度確かめるいい機会だと思った。
「…あぁ」
一拍置いてユノが返事をする。
「それなら協力させて頂きます」
弱ってるユノは素直で可愛い…!
そのギャップに萌えそう。
けれど協力すると答えた途端にユノの腕が腰に回されて身動きが取れないようにされてしまう。
「…ユノ?」
「あ?」
もしかして無意識に力が入ってる??
力を抜いて欲しくてモゾモゾと体をくねらせたのを、ユノは何を勘違いしたのか。
一瞬緩めた腕の中で僕の体を反転させたんだ。
「エッ、、」
「苦しくないか?」
…苦しい、ユノの生肌に触れて凄く胸が苦しい…
「チャンミン」
「………」
このタイミングで名前とか。ユノは分かっててやってんのかな、、、
「有難うな」
呟いた吐息が僕の旋毛を擽る。
一人でも熱に対処出来るんじゃないか、、、
ユノのお荷物になってるんじゃないかって。
そんな風に思っていたから……
嬉しくて思わず鼻の奥にツンとしたものが込み上げたけど、僕はそれを堪えてユノの胸に顔を埋めた。
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