My Fair Lady #27

「今日の昼はここにする。降りろ」
すっかり体の熱はおさまったけど、まだ胸がドキドキしてる。
なのにユノはいつのも、ユノだ…。
まるで変に意識してる僕の方がおかしいみたいな。
ユノのマイペースぶりに困惑しつつ、運動をしてすっかりと減ったお腹を満たす為に指示通り車を降りる事にした。
「カフェですか?」
「あぁ。昔の馴染みの男がやってる店だ。ノリは軽いが料理の味は良い」
「はぁ、、」
ドンへと言い、シウォンと言い。
ユノの周りはノリが軽くて腕が確かな人種しか居ないんだろうか。
構えつつユノに続いて店内に入ると、中性的な綺麗な顔をした男がユノに抱きついていた。
「ユノヤ~久し振りだなぁ」
「ヒョン、先週も来たばかりだろ」
「ん?そうだったか?お、今日はシウォンの所に行ったんだな」
「…よく分かるな」
「お前の事なら何でも兄は分かるのさ。で?こちらは初めましてかな」
ユノの腰に回していた手を差し伸べてにっこりとその男が僕に握手を求めて来る。
「ヒョンは安全圏だ。こう見えて女しか興味がないからな」
差し出された手を握っていいのか躊躇していたら、ユノがボソッとそう教えてくれたので、遠慮なく握り返した。
「初めまして、シム・チャンミンと言います」
「宜しく、シム・チャンミン君。ユノから聞いてるかな?俺はキム・ヒチョル。この弟に料理を教えた男だ」
キム・ヒチョル。
ユノと苗字が違うから血の繋がりは無いけれど、ユノと特に親しい関係にあるという事か。
「ユノはこの見た目だけで充分過ぎるってのに、女性のハートだけならず胃袋まで掴んで離さない。とても悪い男だろ?」
「ヒョンが俺に料理の腕を仕込ませたくせに何言ってんだ」
「ハハッ、だってお前がホールに立ったら俺のお客さんが惚れてしまうじゃないか」
「何を馬鹿な事を。悪い男はヒョンみたいな人を言えばいい」
「おや?うちの弟はご機嫌が良くないらしいね。シウォンと何かあった?チャンミン君」
二人の会話に呆気に取られていたのに急に話を振られて我にかえる。
「シウォンさんと・・・」
何かって言うより僕と何かあったんだけど、、、
「詳しく話さなくていい。どうせ黙っててもシウォンがヒョンの耳に入れに来るんだろ」
「ふふ、お前達は犬猿の仲の割にお互いの事を良く知ってるね。その通り、後でシウォンからじっくり聞くとして。取り敢えず席に座ろうか」
「あぁ、ヒョン。今日はテラスじゃなくてこっちでいい」
外に向かって歩き出したヒチョルをユノが止める。
すると大袈裟に驚いた顔をしたヒチョルが「ユノヤの煙草を吸う姿が見れないのか!?」と残念そうに肩を落として言う。
僕はユノが煙草を吸う姿をまだ見た事が無かったので、吸う事自体知らなくて一緒になって驚いた。
「お前が驚いてどうする」
ユノが面食らったみたいに僕に言うのを見て、ヒチョルが。
「あぁそうか、この子の為にユノは吸わないのか。よっぽど可愛いんだねぇ」
「えっ、、////ユノ・・?」
僕の為、、、?ヒチョルがナデナデと僕の肩に手を置くのをユノは気にしてない素ぶり。
「あぁそうだ。喉が商売道具のお前の事を考慮してる。…だからっていちいち上目遣いで聞くな」
「あ、有難う御座います!」
「やだなぁ。こんな弟のデレた顔」
「ヒョン!」
「ハハッまぁ座ってな、美味しい物作ってくるから」
ヒチョルが店の奥へと消えると、ユノはどかっと椅子に腰掛けて腕組みをしてこう言ったんだ。
「キンパブのおばさんが居ただろ。あの人がヒョンの母親だ」
「あ・・」
気の良さそうなあのおばさんの顔がヒチョルと重なる。
そう言われみると確かに雰囲気が似てる。
「おばさんの店に通っていた俺をヒョンがスカウトして。そしてやたらと洒落た料理を覚えさせられたんだ。ヒョンも趣味と実益を兼ね備えたカフェで女にモテたかったんだろ」
なるほど。
通りでユノが作る料理は女子受けのしそうなのばかりだったわけだ……
ユノは相変わらずムスッとしていたけど、煙草を吸えないからイラついてるって思えば納得だった。
「吸って来たらどうです?」
「あ?」
「口寂しくないかなって」
「あぁ、まぁな。いや、、いい機会だから少しやめてみてもいいと考えてる」
「…そうですか」
それを聞いて少し残念に思った。
ユノが吸う姿を見て見たいと、どこかで胸を高鳴らせた僕が居たから。
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