2018_05
01
(Tue)20:00

My Fair Lady #21








着替えてまたリビングに戻るとキッチンからの機械音が響いて煩い。

「何を作ってるんですかーっ?」

声を張り上げて聞いたら、眉間に皺を寄せて睨まれてしまう。
仕方ないのでカウンター越しからユノの作業を見守る事にした。


さっき使った小さなミキサーよりも少し大きなミキサーを使ってユノは黙々と何かを泡立てている。
ユノが見つめる真剣な眼差しの先には撹拌された黄色の液体。

たまご・・と粉?

暫く泡立てたのち、電子音が一旦止んでミキサーの金具の部分が取り外された。
それらを手早くユノが洗い、綺麗に拭かれたところで再びミキサーの本体に装着される。

流れるようなその一連の作業に一切の無駄が無い。

今度は今ほど泡立てた隣のボウルにミキサーを突っ込んでスイッチを入れ出した。
すると最初は透明なゼリー状の物質が見る見る間にその質量を膨らませて行き。
あっという間に真っ白な泡となっていく。

ユノはその泡を黄色の液体の方にさっくりと混ぜ合わせて、その合体したクリーム色の物をフライパンに慎重な手付きで塊として二つ落としていた。

ここまで来たら僕にだって何となく分かる。
ユノが作る物は彼女とのデートで一度口にした事のあるアレだと思う。

フライパンに蓋をしたユノがようやく僕を見て、テーブルの上のセッティングを言い付ける。

昨日、セッティングの指示を受けた時に一式が収納されていた戸棚を開けると、昨日出した物と違う物が収まっていて首を傾げる。

「あっ、ランチョンマットか」

シックな色合いのマットが二枚、昨日は確かにここには入ってなかったんだ。

「あっても無くてもいいんだが、折角二人で食べるなら雰囲気があった方がいいだろ」

なんてサラッとユノが言ってくれるので、思わずじんっとしてしまう。

「何から何までほんと、有難う御座います、、僕、期待に応えられるように頑張りますから」

手に持っていたナイフを握り締めてユノに向かって言ったらあっちはギョッとしたけど、僕は沸々と湧き上がる感謝の思いを伝えずにはいられなかった。

「俺がこんなにしてやってるんだ。頑張るのは当然。取り敢えず当面は俺の作る食事で程良く肉を付け、メリハリのある体を仕上げる事がお前に課された課題だからな」

セッティングを終えたテーブルに、色鮮やかなフルーツが散りばめられた皿が置かれる。

「うわっ、、凄い」

それはシックなランチョンマットにひときわ映えるフルーツ盛りだくさんのふわっふわのパンケーキだった。

「今日は待たずに先に食べてろ。俺のもすぐに焼けるから」

言いながらユノはもうキッチンへと戻って行く。

「…えっとじゃあ遠慮なく頂きます」

女子なら喜んで写メしそうなインスタ映えのするパンケーキはナイフに殆ど力を入れる事なく切れた。

散りばめられたフルーツはベリー系が多く、それらをどうやって上手く一緒に口に運べばいいのか戸惑ってるうちにユノも自分の皿を抱えて席に来てしまう。

「おい、出来るだけ優雅に食べろよ?」

そんな風にわざわざプレッシャーを掛けなくても、、、
ジッとユノに見つめられて更にどぎまぎしながら、何とか落とさずベリーとパンケーキを口の中に押し込む。

「ん゛、!」

口の中に入れた途端にしゅわっと、溶けた・・・
あんなにボリューミーだったのに、、、!?

びっくりして次々にパンケーキにナイフを入れた物を口へと切り運んで行ったら、真向かいに座ってこちらを眺めていたユノが明らかにムスッとした。

「早く感想を言え」

気付かなかったけど、そう言えばまだパンケーキの感想を伝えていない。

だから慌てて「美味しいです!ふわっ、しゅわっとろ~、、、ですよ!!」と言うと。

「語彙力の無さが露呈してる」

と、溜め息を吐かれてしまう。

「…すみません、でも昨日のオムライスといい、このパンケーキもそうですけど。こんなに美味しいのを家で作れるなんて…ユノは天才ですか?」

呆れられてるのはもうどうしようもないので、せめて感じた事は素直に言おうと思って言葉にしたら、ユノはそれをあろうことか鼻で笑った。

そして自分の口にも一口パンケーキを押し込んで、咀嚼し終わると。

「大袈裟な奴だ」

と、吐き捨てたんだ。





でも、その表情が心なしか緩んでるような……?

ユノ・・・喜んでる、のかも。



分かり難いけど、絶対に嬉しそう。







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