My Fair Lady #19

シャワーを浴び終えてユノが言っていたパジャマを探すと、備え付けの棚の上に濃紺の服が畳んで置いてあった。
「げ、これシルクだ」
袖を通すと滑らかな肌触りに包まれて気分が良い。
自分がセレブリティになったかのようで舞い上がる。
そんな良い気分で鼻歌を歌いながら洗面台の鏡でポーズを決めていると、ふと視界にある物が入ってそれを手に取ってみたんだ。
「C・・・?」
なんのCだ?
洗面台の端っこに置かれたプラスチックのコップ、歯ブラシ、そして新品の歯磨き粉にまで全てに貼られていた謎の”C”。
「もしかして、、、」
勝手に人の家の物を弄ったらいけないんだろうけど、確認の為、と心の中で呟きながら正面の鏡の扉を開ける。
扉の向こうの収納スペースには色違いでワンセット置かれてあった。
歯磨き粉が使いかけだから恐らくユノの物だろう。
「あーやっぱり…っ、これは”Changmin”の”C”か」
って、どんだけ几帳面だって話。
しかもわざわざ印字テープに一文字だけを打って剥離紙から剥がして。
それを小物達に貼るユノを想像すると笑えてしまう。
でもいつそれをやっていたのか・・・?
今日何も言わずに”Heaven”の前で別れた後にやってくれていたならユノは相当忙しかったに違いない。
僕の自前の服だってちゃんと洗われていたし…
ユノ・・・
「おいっ、なんて顔してんだよ、、」
思わず鏡に映った自分に突っ込んだ。
こんな事でにやけてる場合じゃないのに。
「顔面制御、ポーカーフェイス、顔面制御、ポーカーフェイス・・・」
崩れた頬を押さえながら呪文のように唱えた。
“まじかっ!?”
声を出せないので心の中だけで叫んだのは、寝室のベッドで眠るユノが肩を剥き出しのままだったから。
確かに。
寝る前にリビングに顔を出しに来た時も腰にバスタオルを巻き付けた姿だったけど。
まさかあのままベッドイン…?
恐る恐る布団を少しめくって体を滑り込ませる。
極力ユノの方は見ないように心掛けた。
バスタオルを巻いたままで普通は寝ないよな・・・
と言う事は。
ダメだダメだ、考えるな。
眠れ、眠れ、寝落ちしろ…
その夜。
凄く良い夢を見た筈だった。
内容ははっきりと覚えていないのに、心と体が温かくなるようなそんな気持ちの良い夢を…
「ん、…」
寝返りを打とうとしたら物凄い金縛りで体が動かない。
こわっ、金縛りなんて人生初、、、
「ふんっ!!」
「いっ、て、、」
「あ・・」
目も開けずに金縛りを解くのに必死で、腕に力を入れて横に広げたら肘が弾力のある何かにぶつかって。
それが何なのか。
分かるのに時間は掛からなかったけど、、、
「……雑な起こし方だな…」
まだ寝惚けてるのか、ユノは酷く掠れた声を出す。
はぁ・・寝起きなのにセクシィ、、
ってそんな場合じゃない!
「僕は起こしたつもりもないですし、しかもこの状況下。こっちが説明して貰いたいんですけど…」
最初は気付かなかったけど、僕のお尻の辺りにアレが当たってんだ。
しかも硬い、、、どういう事なんだっ!?
「あぁ?あ…悪い、夜中に肌寒いと感じて何かを引き寄せた覚えはあるが。苦しかったか?」
抱き締めるユノの腕が緩んで隙間が出来た分、硬くなった先っぽがもろにお尻の窪みにフィットしてしまった。
「や、そっちじゃなくて、、いや、バックハグもそりゃ驚きましたけど…それよりも尻に挟まってるのが、、」
「あぁ、悪いな。疲れマラだろ」
言いながらユノが離れて行く。お尻に当たる違和感から解放されてホッとしたけど。
やっぱりユノは全裸だったんだな・・
しかも冷静な口調で言うあたりがユノらしくて何も言い返せやしない。
「まだ起きるには早い。もう少し寝るぞ」
「…はい」
ユノが向こう側に寝返りを打つとすぐさま規則正しい寝息を取り戻したのに反して、僕はその後。
一睡も出来なかった。
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