My Fair Lady #16

部屋に入ると、正面のディスクの上に大きいサイズのパソコンの液晶ディスプレイが2台。
その脇をスピーカーが固めて、更にシンセサイザーやらキーボードやら、アンプやら。
とにかく音楽の機材がきっちりと動線に沿って配置されていて、いかにもユノが音楽作ってます感満載の部屋が広がっていた。
これぞ、、神の領域ッッ////
「うぉぉぉぉっ!!!」
突然、雄叫びを上げたからユノが何事かと慌てた様子で駆け付ける。
「壊したか!?」
いの一番に言われた言葉に思わずガクッとした。
けれどそれでも目を輝かせている僕にユノは何かを察したらしく。
「取り敢えず服が片付いたら俺を呼びに来い。そろそろ少しくらい、らしい事をしないとな」
そう言って口の端をくっと上げたユノにゾクッとした。
仕事の顔なんて初めて見たし。凄い色気、あれは反則の域だろ、、っ
服をクローゼットに仕舞うのはそれ程時間も掛からず。
言われた通りにユノを呼びに行くと、リビング全体に鼻を擽る良い香りが広がっていた。
「ぅっ」
小さく呻くとユノが「何だ」と訝しい顔で見るので、焦って何でもない振りをするのに精一杯だった。
ダメだ。
キッチンに立つユノが、、、、期待を裏切らず格好いい・・///
白のYシャツに黒くて長いエプロンを腰に巻き付けている姿はまさにギャルソン風。
そして軽く捲られた所から露出している筋張った腕がセクシーで堪らなかった。
見ると興奮するのに、見ずにはいられないからチラチラと盗み見みているのがユノにしたら怪しい行動だったらしく。
「あ゛?」
声には苛立ちが含まれていて怖い。…けど、素直にユノが格好いいと思ってしまう。
「何を作ってるんですか」
取り敢えず良い香りの正体を突き止めようと気持ちを切り替えてユノの立つキッチンに入ると、食欲を刺激する匂いが更に充満していた。
「軽く夜食でもと思ってトッポッキをな」
韓国学生の夜食の定番のトッポッキ。
海外で育った僕にはその味は懐かしいと言うよりも新鮮な物だ。
「美味しそう・・」
屋台で売ってるトッポッキよりも具材が豊富なユノのトッポッキにそそられる。
「チーズは入れる派か?」
完成したトッポッキに今にも涎を垂らしそうなそんな僕にユノが問う。
「はいっ!」
実際、チーズはあってもなくてもいいけど。
もう目の前にチーズの袋が出てるって事はユノは多分、入れる派だと踏んだ。
案の定、僕の睨んだ通りにユノはこれでもかってくらいにチーズを投入し続けて。
あんなに真っ赤にグツグツしていた鍋の中が見る見るうちにチーズに覆われいく。
「カロリーが高そうですね…」
明らかに予想を上回るチーズの量に思わず考えが溢れると、ユノの指がそんな事を呟いた僕の唇を摘む。
「ドンへが言っていたのを覚えてるか?お前にはまだまだ肉が足りない。その場しのぎの女装だと甘く見てるから観客の心さえ掴み切れてないだろ」
呆れたように言う割には指が唇の表皮を優しくなぞっている。
「普段からの手入れがなってないからここも心同様にカサついてる」
そう指摘してくるだけあってユノの唇はぷるんと弾力があって艶やかで、思わずユノの指がまだ唇に触れているのに口を開けてしまったんだ。
「あ゛?腹減り過ぎておかしくなったか」
言われて我にかえると僕の口にユノの指が挟まっていた…
いや、正確には僕が指を食べていた?
どっちにしても横を見たらユノが苛ついていたので、そっと口を開けて指を解放した。
その後、凄い舌打ちの連続攻撃を受けたけど。
そもそもユノの触り方がいやらしいから僕もそんな風に見てしまうんだし。
こっちはあんなにパーソナルスペースの狭い人だとは思ってもみなかったし。
天然の人誑しってああいうのが当たり前なのかと溜め息しか出ないし。
と、心の中でだけ愚痴をこぼした・・
友人は少なかったけどこんな僕でも大学時代にそれなりに異性と恋愛もしてきた。
パーティに呼ばれて行くと偶に同性からアプローチを受ける事もあったし…
でも自分のセクシャリティを曲げてまで付き合いたい男性が居なかったから同性との恋愛は無かったけれど。
なのに。
目の前でチーズを舌に絡めながらトッポッキを食べるユノが。
僕の目には扇情的に映ってる…のは何故、、?
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