My Fair Lady #13

オーナーに言われた事が気になったので、営業時間を迎えたホールをステージの袖から覗きに行くとまばらながらも客の入りを確認出来た。
「居ないし…」
あの言い方だとてっきりユノがホールに居るんだとばかり思ってたけど、いくら探してもユノの姿は無かった。
まだ自分の出番でも無いのにステージの袖からキョロキョロしてるのは目立つ。
ユノ探しを諦めて目線を手前の席に戻したその時、珍しい物を見つけて二度見する。
「”RESERVE”?」
滅多に使われない予約の席札が丸いテーブルの上にたった一つ置かれていた。
予約・・・まさか…
いつも通り、MCのコールでステージの真ん中に進むと客席がざわつきだし、リニューアルしたチャンスニの反響の良さを肌で感じられて心地良かったんだ。
歌い始める時の場の雰囲気が良いと気分も乗って気持ち良く歌える。
それに心なしか野次も少ない気がしていたのに…
気掛かりの例の席には当然のようにユノが座っていた。
見ないようにと思っていてもどうしたって前を向けばユノが視界に入ってしまう。
だからってまじまじと見る事も出来ずにチラッと見たら、どうやら服を着替えて来たらしく。
今日もまたスーツに身を包んでいた。
目が覚めるようなブルーのカットソーからわざわざスーツに着替えるその意図って何だ?
大衆向けのこのショーパブにドレスコードなんて必要あるわけないのに…
「っ!?」
何とか動揺は見せずに歌う事に集中をしようとしたけど、目線がユノのある一点から外せなくなってしまう。
ユノが、、、花束を抱えている。
僕に?いや、まさかそんな、、、ないっない!
頭では否定してるのに体はそうもいかないようで、ユノから視線をそらしているってのに心臓はバクバクだった。
もし期待して違ってたら恥だし。
…って、そもそも期待ってなんなんだ///!?
それにしても汗を掻くような激しい曲でもないのにやたら顔が熱い。
意識すればする程、ユノを・・・直視出来ない、、、
あ、曲が終わった。
もう戻ってもいいかな…
でもなんかこっちにユノが………く、る、
汗が背中を伝う。
ユノはやっぱり花束を僕にくれた。
そして、受け渡す時にそっと手の甲に口付けまでしたんだ。
ステージの真ん前で紳士然して立っていたユノは物凄く格好良かった。
そんなユノに思わず見惚れてしまった。
「は、恥ずかしい///ッ~!」
楽屋に戻ったのにまだ心臓がドクドク言ってる。
「も・・なんだ、、これ……」
胸の羽根飾りを押さえ付けても、当然の事ながらその高鳴りは消えない。
吸っても吸っても全然呼吸が苦しくて。
酸素が足りない・・
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