--_--
--
(--)--:--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2018_04
21
(Sat)20:00

My Fair Lady #11

fc2blog_20180409104642c67.jpg




ユノが再びハンドルを握り締めて車を走り出させたのに、乗せられた手の感触だけが僕の中に残り続けていた。

頭を撫でられるなんて、久しく。いや、朧気な程に遠い記憶だった…


ユノは高台の公園にある駐車場に着くと車のエンジンを切り、僕の膝の上に乗せられたビニール袋を取り上げる。
そして、袋の中からキンパの詰まったパックを一つ僕に寄越して来た。

「それは牛肉のそぼろ巻きだな。苦手ならツナもあるし、チーズもあるが」

言ってるそばから僕の視線は他のキンパにも注がれていて、「全部食べられそうなら半分ずつにするか」と、察してくれたユノがパッパッパッと自分が持ってるキンパを僕のパックに移動させていった。

気持ち、僕の方が多い気がしたけど。
問う暇もなくユノがどんどん平らげてしまうので僕も慌てて食べ始めることにした。

途中、喉が渇いたなぁと思っていたら隣からスッと温かい飲み物を手渡されて。
御礼を素直に言ったらキンパが一つ、横から移動して来る。

ぷっ。…僕は雛か?

でもやっぱりユノが優しくしてくれるのは単純に嬉しい。

ホクホクとユノから与えられたキンパを頬張っていると、またしても横から視線を感じてそちらを向くと。
視線がぶつかるよりも先にユノの手が伸びて僕の口の端を掠め取って行く。

「あ・・」

「あ?」

「…いえ」

ユノは指に付いた胡麻を自分の口へと運んでいた。
多分・・それ、僕の口に付いていたやつだ…

そのさり気なさが僕には物凄く恥ずかしかった。






お腹が満たされて、車内にはまったりした空気が流れていた。
だけどその空気をユノが断ち切る。

「…俺が昔、まだソウルに出て来て間もなくの頃、右も左も分からない田舎もんだったからあそこの店のキンパで空腹をよく凌いで過ごしていた。日雇いのバイトをこなしてから店に行くと、必ず取り置きがされてあって。それを買ってここに来て、冷たくなったキンパを食べながらずっとこう思ってた。”まだまだやれる”ってな」

高台のこの場所からなら眼下に広がる街並みも一望出来るだろう。
ユノは夢を抱きながらここから見えた夜景をそんな風に胸に刻ざませたのかもしれない…

「ここはユノの原点なんですか」

その問いにユノは頷き、そして車のエンジンを掛けてゆっくりと走り出した。



ユノの原点を僕に伝えたその意図をわざわざ聞く雰囲気でもないし。
それに僕が一番聞きたい事はまだユノには聞ける気がしない。

───ユノの夢はまだ継続中?そこに僕は居るの・・・って。



頭の中には他にも多くのハテナが飛んでいた。

どうしてユノは僕に良くしてくれるのか。
見るからにお金に余裕があるのはオーナーが言うように作曲家としての地位を確立してるからなのか。
それならユノは印税生活で安泰な筈なのに、ふと見せる表情にどこか憂いを感じる時があって…

まだ出会って間もないのに、僕はユノの素顔を知りたいと思っている。

でも、素顔なんて知ってどうするつもりなんだろう…?

そんな自問自答の繰り返しだ。




気付くと見慣れた景色が窓の外に流れていた。

「そろそろ着くぞ」

「はい」

さぁ、ショーの始まりだ。







追伸♪拍手コメントへの御礼はまた折を見て記事に上げます。ですが、全て読ませて頂いてます!
私のエネルギーになってます、有難う御座います♡


ランキングに参加中です(*˘︶˘*).。.:*♡
1ポチ、1拍手を宜しくお願いします。
応援有り難うございます(。>∀<。)




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村




関連記事
«  HOME  »
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。