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2018_04
20
(Fri)20:00

My Fair Lady #10









ユノの意図が分からないまま、振り回されっぱなしでお店を出た僕には新たなアイテムが二つ追加されていた。

アメジストのピアスに、同じくアメジストのブレスレット。
僕の誕生石に因んでこれを選んだらしいけど、ドレスに合わせてどちらもピンク色の物をユノはチョイスした。

ようやくユノの腕から解き放たれて車の助手席に体を沈めると、人心地着いた気がして与えられたブレスレットを眺める余裕も出てくる。

車窓越しの太陽にかざすと淡い光が僕の手首を優しく包み込んでいてそれを素直に綺麗だと思った。

「その色のアメジストには色んな謂れがあるらしいが、持つ者の内面の美しさを引き立たせるパワーもあると言ってたな」

「…そうですか」

多分、普通のアメジストよりも値が張ると思しき宝石をポンっと買い与えてくれるユノに対して。
勿論感謝の心はあるのに、なかなか口からその言葉が出ずに在ろう事か僕はゲームの中の勇者が思い浮かび。

「防具も武器も固めてどんどんレベルアップしてる気分です」

と、間抜けな発言をしてしまう。
すると運転していたユノから盛大な溜め息が漏れる。

「なぁ、そこはせめて”マイ・フェア・レディですね”くらい言ってくれ」と呆れながら言われてしまう。

けれどユノから出た発言に僕はすかさず食い付いた。

「え!?”My fair lady”をご存知なんです?僕はよく観るんですけど、代表曲と言ったら”踊り明かそう”が有名で。でも、”忘れられない彼女の顔”の方が僕は好きなんです」

鼻息を荒くして運転するユノに興奮気味にそう言うと、ユノは前を見たままでふっ、と鼻を鳴らす。

「珍しく意見が一致したな。俺も同感だ。お前、映画が好きか?それともミュージカルだから知ってたのか?」

「えっと…映画を大学時代にハマって。それこそ貪るように観てたから友達を作り損ねた感がありますね。でもお陰で良い音楽に沢山出逢えました」

その答えはユノの中で百点満点だったのか、”My fair lady”のサントラを上機嫌に口ずさみ出した。

どうして──今ユノは歌を歌わず、曲を作っているのか。
ヒョクもユノを過去形で歌手であった事を語っていたのが僕には気掛かりであったけど。
それをユノに聞くのはタブーな気がして、流れる雲を黙って目で追った。

だけどBGM代わりのユノ歌声にはドンへのスマホから流れて来たようなかつての甘さが今の歌声には足りないように、僕はそう感じてしまった…










衣装もメイクも完璧に施されたからてっきりそのまま”Haven”に連れて行かれると思っていたのに、僕を乗せた車はお店とは違う方角を目指して走って行く。

暫くすると大通りから外れて更に小路に入り、車を道路の脇に停車させると、ユノがシートベルトを外すので、僕もその必要があるのかと思ってシートベルトに手を掛けると「待ってろ」と制されてしまう。

だけど丁度昼食の時間を迎えていたからか、通りを行き交う人は多く。
路肩に停まる高級外車を邪魔そうに避けつつ、中に座る僕の存在を見つけては物珍しいと言った表情で通り過ぎて行った。

僕としても昼間にしては明らかに場違いな格好に居た堪れないし。
かと言ってこの場を逃げ出してもユノの居場所を知らないから、結局はただ迷子になるだけだと思い。
出来るだけ身を縮めて助手席に隠れるようにしてユノの帰りをひたすら待ったんだ。






ユノが外に出てからまだ時間にして30分位なのに、辺りの飲食店の良い匂いが車の中まで入り込んで僕の空腹を嫌ってほど刺激する。

はぁ……お腹空いた。

その時、コンコンと車の窓ガラスをノックする音がしてユノだと思ってパッと顔を上げるとそこに立っていたのは見たことも無いおばさんだった。
そしてそのおばさんは外から大声を張り上げて「開けて頂戴!」と叫んでいたんだ。

慌ててパワーウィンドウを下げると、おばさんがにこにこしながら。

「ユノから頼まれてね、ほらっ出来たてホヤホヤだから美味しいうちに食べな!」

そう言いながら窓の外からドサッと大きなビニール袋を僕の膝の上に無造作に置いた。

「へぇ、ユノも大層立派になったもんねぇ。こんなに良い車に、あんたみたいな綺麗なお嬢さんを乗せて。フフッ、あんた、うちのキンパなんて口に合わないんじゃないかい?」

言われて膝の上のビニール袋を覗くと、胡麻がたっぷりついた色んな種類のキンパが沢山入っていた。

「うわっ・・美味しそう…」

食い入るように袋の中身を見ていたら、おばさんは嬉しそうに豪快に笑ってこう言った。

「私のキンパを食べたらもう他のは食べれなくなるからね?あんたも覚悟して食べなさいよ。それと絶対にお残し厳禁!」

「勿論ですっ!!」

被せ気味のその答えにおばさんは「面白い子だねぇ、気に入ったからもうちょいサービスしとこうか」なんて気前良くエプロンのポケットから取り出したツマミ用のナッツの小袋を僕に手渡し。

「今でも充分可愛いけどね、もっと良い女になりたきゃ沢山食べてもう少し肉をお付け。その方がユノも好むだろうよ」

とか。ちょっと勘違いも含みつつ最初よりも更に気を良くしながら去って行ったんだ。

そんな様子を遠目からユノは見ていたらしく、車に戻るなり。

「あの人が俺が連れてる女にケチを付けないのを初めて見た」

と、心底不可解そうに僕の顔を見て言うので、「内面の美しさがあのおばさんには分かったんだと思いますが!?」と不快さを隠さないで言い返してやった。

するとユノは「随分と強気だな」と、ポンと頭の上に手を乗せ、ふっと口元を緩めて笑って見せたんだ。

そんなユノに不思議な事に僕の胸がざわざわと揺れた。





・・・お…?



何だ、これ。








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