My Fair Lady #8

あ・・いつからそこに居た?
ユノに聞かれて困るような話はしてないけど、居ないと思ってた人に聞かれるとなんかそわそわするんだ。
「お喋りもいいが終わったのか」
主に喋り倒していたドンへがユノに睨まれてそっとその場を離れた。
「元々の目力があるからそんなに濃くしなくてもアイメイクは映える筈。口の形も可愛いし、薄いピンクくらいが丁度いいな」
鏡に映った自分を見てヒョクの言った事に納得した。
「普段はどんな選曲で歌うの」
仕上げのマスカラを丁寧に重ね付けしながらふとヒョクが聞くから、よく歌う洋楽のタイトルを二、三個挙げると知ってると答えが返って来た。
「へぇ、いいね。君の声なら合う気がする。英語もネイティブなら尚更だ」
「有難う御座います。今度聴きに来て下さいよ」
「分かった、今度ドンへと一緒に行くから」
「はい!是非」
「でも歌うのは洋楽だけ?韓国の曲とかは選ばないのかな。ユノの持ち歌とか」
えっ?と思わず睫毛を瞬くとヒョクも意外そうに僕を見返した。
「そうか・・海外生活が長いからユノが歌ってたってのを知らないんだね?あぁ見えてもユノはミリオンアーティストだから、曲を聴くと知ってるって言う人も多いんだけど。へぇ…ドンへ!」
ヒョクの呼び掛け一つでドンへは尻尾を振って駆け付けた。
そして何か耳打ちをされると持っていたスマホを操作して僕の方へと近付いて来る。
「なんです?」
「いいから聴いてみて」
言われてスマホから流れるイントロに耳を傾けると男の人の歌声が聴こえて…あぁ、これ。
ユノだ。
喋る時よりも少し声のトーンが高いけど、確かにユノの声質だった。
それにしてもなんて甘美な歌い方をするんだろう…
「初めて聴くんだって?いいだろ、ユノの声。甘くて聴いた誰もが恋に落ちるような。実際モテ街道真っしぐらだけど~!」
ドンへはまるで自分がユノかのように誇らしげに言うけど、今のユノは元カノによりさえ戻して貰えてないんじゃなかったっけ?とは言えずに苦笑いで返した。
「あ、そろそろ終わる?じゃあ最後にもう一曲だけ聴いて。これ最高だから」
ヒョクが僕にウィッグを被せてブラシで馴染ませている。
もうこれで完成なんだろう。
でもドンへがまだ聴かせたい曲があるらしく、ヒョクも横からドンへの持つスマホを覗くと意味深な笑いをした。
チラッと後ろのユノを鏡越しで確認をすると、腕を組んでこっちを見ていた。
ここでドンへを止めないって事は大人しく聴いてもいいって事だ。
「最高なんですか。楽しみだな」
その言葉にドンへはニヤリと笑みを浮かべてスマホをタップした。
曲が終わる頃、僕の体は何故か汗ばんでいたんだ。
「どうだった・・?率直な感想を是非」
ドンへは堪え切れずに口元を手で押さえていたので、代わりにヒョクが尋ねてくれるんだけど。
……な、何なんだ、、この曲!?
それが僕の率直な感想で。
「男と女の…性交を彷彿させるような、、とにかくユノの声も歌い方も何もかも、謂わば曲全体からエロさしか感じないんですが…?」
素直な感想を求められたのでなるべく遠回しに言ってみたけど、ただただエロい。兎にも角にもエロい。
エロエロエロエロのオンパレードだ。
それはユノのセックスシーンを覗き見しているくらいに妖しく。
そして聴く者の聴覚を犯し、恥ずかしくて聴いていられない程に追い詰められるのに最後まで聴かずにはいられないという末恐ろしさがあり。
聴き終わった僕は色んな意味でびしょびしょになっていた…
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