My Fair Lady #3

車に乗ったはいいけど、時間も時間だし。
何処に連れて行かれるかくらいは聞いてもいいだろうと思って尋ねると、ユノは自分の家だと答えた。
「えっ!明日も仕事があるんですけど!?」
今からレッスンを受けたとしても、帰れるのは明日になるのは間違いない。
景色を見る限り、僕が住んでる街と最悪な事に反対方向へと車は向かっていたからだ。
このままだと明日の出勤までの睡眠時間を大幅に削らなければならないのではと、大いに慌てた。
「あぁあぁあぁ、がたがた喚くな!」
ぴしゃりと叱りつけられる筋合いは全く無いので「喚くに決まってるでしょ!?レッスンは有り難いですが、睡眠時間が減るのは死活問題なんです!!」と抗議の声を上げると車は物凄いエンジン音を吹かせてスピードを出した。
「わわわわっ、法定速度を遵守して!お願いだから殺さないでぇーッ」
しがみ付こうとした手を寸前で跳ね除けられた上に「殺されたくなきゃ黙れ」と一喝されて僕は押し黙った。
ユノの事をオーナーが作曲家だって紹介してくれたのはまさか・・・冗談だとか?
良い顔も良い服も良い車も、今の僕には全てがアッチの人に見えてしまうんですけど……
「お邪魔します…」
想像してたけど。
想像通りの瀟洒な部屋でやっぱり落ち着かない。
玄関から生活臭が殆どしないから、座れと言われて何処に座っていいのか迷っていたら首根っこを掴まれてソファに連れて行かれた。
腰を下ろすと何処までも沈んでいきそうな柔らかさにこれまた落ち着かなかった。
「そんなに怯えなくともお前を食う気はこれっぽっちも無いから取り敢えず落ち着け。その貧乏臭い行動が体から滲み出て歌にも影響を及ぼし兼ねないからな」
いちいち癪に触る言い方しかこの人は出来ないらしい。
ここはまず、僕の方が大人になろうと努めて冷静さを装って言ってやった。
「その割には熱い視線を感じましたけど?」
あのジリジリと焦がれる視線の先にユノが居たんだ。
その時の目力の強さを思い出すとまた体温が上昇する気がしてユノを睨み返すと、ハッとまたしても鼻で大袈裟に笑われる。
「この俺がお前に熱い視線だと?勘違いにも程があるが、こめかみの青筋までその視界に入らなかったのなら仕方ない。しかしオーナーも人が悪い、選りに選ってこんなガキを寄越すなんて」
「御言葉ですけど、ガキじゃありませんから。ちゃんと成人してますし、それに僕はそれなりにファンも付いててあの店じゃ客寄せパンダ的存在なんです」
「…なぁ、自分で言ってて情けなくないかそれ?」
ユノは深く息を吐きながらこめかみをわざとらしく押さえて憂げに言う。
演技くさっ……
「しかし、客を寄せるパンダがこんなに品が無くてどうする?いや、品が無いにしろもっと俺としてはあだっぽい方が好みだが」
やれやれと言った感じで聞いてもいないのにユノは自分の好みを言ってくるので、その言葉に僕は少しムッとした。
「自分で言うのもあれですけど、胸は無くても色気はあるねってよく言われますよ」
今度はその言葉に眉間に皺を寄せたのはユノの方だった。
「お前な・・外見磨く前にその根性から叩き直してやろうか?」
ムカつく事に、そう言って口の端を不敵に上げたユノは恐ろしく格好良かったんだ。
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今からレッスンを受けたとしても、帰れるのは明日になるのは間違いない。
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このままだと明日の出勤までの睡眠時間を大幅に削らなければならないのではと、大いに慌てた。
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「わわわわっ、法定速度を遵守して!お願いだから殺さないでぇーッ」
しがみ付こうとした手を寸前で跳ね除けられた上に「殺されたくなきゃ黙れ」と一喝されて僕は押し黙った。
ユノの事をオーナーが作曲家だって紹介してくれたのはまさか・・・冗談だとか?
良い顔も良い服も良い車も、今の僕には全てがアッチの人に見えてしまうんですけど……
「お邪魔します…」
想像してたけど。
想像通りの瀟洒な部屋でやっぱり落ち着かない。
玄関から生活臭が殆どしないから、座れと言われて何処に座っていいのか迷っていたら首根っこを掴まれてソファに連れて行かれた。
腰を下ろすと何処までも沈んでいきそうな柔らかさにこれまた落ち着かなかった。
「そんなに怯えなくともお前を食う気はこれっぽっちも無いから取り敢えず落ち着け。その貧乏臭い行動が体から滲み出て歌にも影響を及ぼし兼ねないからな」
いちいち癪に触る言い方しかこの人は出来ないらしい。
ここはまず、僕の方が大人になろうと努めて冷静さを装って言ってやった。
「その割には熱い視線を感じましたけど?」
あのジリジリと焦がれる視線の先にユノが居たんだ。
その時の目力の強さを思い出すとまた体温が上昇する気がしてユノを睨み返すと、ハッとまたしても鼻で大袈裟に笑われる。
「この俺がお前に熱い視線だと?勘違いにも程があるが、こめかみの青筋までその視界に入らなかったのなら仕方ない。しかしオーナーも人が悪い、選りに選ってこんなガキを寄越すなんて」
「御言葉ですけど、ガキじゃありませんから。ちゃんと成人してますし、それに僕はそれなりにファンも付いててあの店じゃ客寄せパンダ的存在なんです」
「…なぁ、自分で言ってて情けなくないかそれ?」
ユノは深く息を吐きながらこめかみをわざとらしく押さえて憂げに言う。
演技くさっ……
「しかし、客を寄せるパンダがこんなに品が無くてどうする?いや、品が無いにしろもっと俺としてはあだっぽい方が好みだが」
やれやれと言った感じで聞いてもいないのにユノは自分の好みを言ってくるので、その言葉に僕は少しムッとした。
「自分で言うのもあれですけど、胸は無くても色気はあるねってよく言われますよ」
今度はその言葉に眉間に皺を寄せたのはユノの方だった。
「お前な・・外見磨く前にその根性から叩き直してやろうか?」
ムカつく事に、そう言って口の端を不敵に上げたユノは恐ろしく格好良かったんだ。
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