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2018_04
12
(Thu)20:00

My Fair Lady #2

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男はどうやらこの店のオーナーと顔見知りらしかった。

オーナー直々に楽屋まで連れ歩くその男が何者なのかと他の演者も興味津々の様子。

一見、俳優かと見紛う程の端正な顔立ちに、モデル顔負けのスタイルの良さがシンプルながら上等そうなそのスーツのラインを際立たせている。

その男がオーナーに連れ立って歩を進めるだけでダンサーの女達が溜め息を漏らすなか、何故かオーナーは濃いアイメイクを落とすのに必死な僕の方へ向かって来る。

客寄せパンダの裏の顔まで客に晒していいのか?
あの焦げるような視線を思い出してふいに男から身を隠したい気持ちを抱く。



「シム・チャンミン、君の可能性に私は賭けようと思うんだが───」

オーナーはメイク落としの最中で男とも女ともつかない中途半端な僕を捕まえるなり、唐突にそんな風に重大な話を切り出した。







「え・・・それってつまり僕にレッスンを施してくれるって話でいいんでしょうか?」

最初は何か変な事をまたさせられるのかと危惧していたんだけど。
蓋を開けて見たら僕にとって好条件な内容ばかりで、聞き終わる前に心は舞い上がっていた。

話終わったオーナーが満足そうに僕の返答を待つ姿を見て、そもそもオーナーは危ない橋は渡らないとスタッフの間では信用のおける人物だったんだと、今更ながら思い出して疑ってしまった事に変な汗が出た。

「あぁ、平たく言うとそうなるな。私はね、このユノが前に言っていた事を実現させられるのが、もしかしたら君かもしれないと思ってね。どうだろう?君にとっても悪い条件じゃないし、ユノも年寄りの道楽に付き合ってみてくれないか」

「えぇ、是非!無償でレッスンを与えて下さるなんて願っても無い話です。御断りする要素が全く見つからないですよ」

女装していた事を忘れて飛び跳ねたい気分だった。
オーナーの話を簡潔に言うと、ど素人を育ててみたい人物に僕を託し、その歌唱力をまたステージで披露させたいと。
僕は確かに独学でしか音楽を知らないど素人だからその点、適材だ。

「そうか、チャンミン君は乗り気なようだがあとはユノだな。正直どうだったんだ、初めて聴いた感想などあれば言っても構わない」

それまで腕組みをしたまま壁に凭れていた男をオーナーはユノと呼び。
ユノは瞑っていた目を開けて僕を見据えてこう言った。

「確かに俺はオーナーにそんな事を話したかもしれませんが、こいつが”考えていたよりもど素人過ぎて眩暈がした”ってのが正直な感想です。それにお前、”無償”って所に飛び付いたのをみると相当卑しい根性だぞ?その女装という武器を取り払って、素で勝負する覚悟を絶対に忘れるな。以上」

ずけずけと一方的な物言い。
顔はこんなに良いのに口がかなり悪くて僕は開いた口が塞がらなかった。

「口開けるとアホ面に見える…さっさと着替えろ。あと10分だけなら待ってやる」

言うなりどかっと適当に引き寄せたパイプ椅子に腰掛けるとその男はむっつりとまた目を瞑り直して黙り込んでしまう。

呆然とする僕の肩をポンポンとオーナーは二回叩いて楽屋を去って行った。

どうやら交渉は無事に成立してしまったらしい…









私服に着替え終わってすぐに椅子に踏ん反り返ってる男に声を掛けると、その男は僕を一瞥して「まだあどけない子供だったか」とさっきにも増して失礼な事を言ってのけた。

腹ただしい事この上ないのに、好条件な契約を結んだばかりで臍を曲げるわけにもいかず。
言い返せない僕をふっと鼻で笑う失礼な人にムカつきながらもついて行った。


「俺の事は”ユノ”でいい。取り敢えず出来る限りの事はするから乗れ」

店の前に堂々と横付けされた車のエンブレムを見て本日何度目かの絶句に、ユノは痺れを切らし、舌打ちで僕を促した。

「お前ふざけんな!?どの身分で後部座席を選ぶ奴がいる。次やったら殺すぞ」

昔からの癖で躊躇なく後ろのドアを開けた瞬間に罵声が飛んで来た。

「すみません、、、助手席に座るのは母の特権だったからつい癖で」

素直に謝ったのにユノはそれを聞いて更に機嫌を斜めにしたようだった。

気難しい人、それがユノの第一印象かも…











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