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2018_04
11
(Wed)20:00

My Fair Lady #1








歌は良い。

歌を歌っている間、僕は夢を見続ける事が出来るから────


高校卒業と同時に歌う事と引き換えに実家を捨てていた。
家を出た時の妹の寂しそうな顔が今でも忘れる事が出来ない。

だからって決して自分の歌唱力がずば抜けて良いとは思っていないし。
そんな風に冷静な判断が出来ているのが逆に己を追い詰めるだけだけど。
けれどそれでも歌を歌うのがただ単純に好きで、好きで、だから歌えるならどんな場所でも厭わないと考えていたんだ。

多分、今思えば堅苦しい勉強漬けの日々から脱して一度でも夢を追いかけてみたかったんだと思う。
でも、そう上手くいかないのが現実ってやつだから。

学業が何よりも優先の親に隠れて必死で歌の事を知るのは、どうやら趣味の範囲内だったらしい。
実家を出てから先ず初めに受けた芸能事務所のオーディションから、音楽学校の受験、劇団、ありとあらゆる音楽関係の入り口から結果、全て拒まれた。

それでもその間の生活面と、そしてオーデションの費用を稼ぐ為に常にバイトを探さなきゃいけない状況下で。
僕は今の城へと辿り着いていた。

城は華やかなドレスの着用を義務づける代わりに、僕に神聖なステージを与えた。

勿論、自分が客寄せパンダ的な扱いで歌わされているのは分かっていたけれど。
メイクをして、ドレスを着て、ウィッグを被る代償に歌うのを許されるなら何度でもそのマイクスタンドに縋って行った。




出番が来て、ステージに上がるまで舞台の袖で待つ。
ホールのマネージャーがMCを務めるので、僕は一切マイクを通して喋る事を禁止されていた。

許されるのはマイクスタンドの前で歌う事だけ。


マネージャーの進行で僕がステージの真ん中に進む間、客席から囃し立てる口笛に混じって野次も飛ぶ。

“オカマ”

“恥を知れ”

“親が泣くぞ”


どの野次も痛烈だけど、最後の言葉は流石に胸に突き刺さる。

だからこう思うんだ。



「…金を払ってまで野次を言いに来るなんて暇なこった」


曲が流れてしまうとマイクを通さない呟きは掻き消されて残念ながら客には聞こえてないけど…







今日、普段と変わらない雰囲気の中でひときわ目立つ容姿の男を見つけてしまった。

繁華街にあるショーパブだけあって、様々な身なりの人々が集う店ではあるけれど。
あれ程オーラを感じた人物もいないんじゃないかな・・・

ジリジリと焦がれる様な視線を感じたかと思ってその方向をステージの上から探したら、その男で。

目が合ってる筈なのに何処か物憂げに頭を傾げてじっとこちらを見ていたんだ。


時々、ソッチの人から求愛される事があるからもしかしたらそうなのかなって。
ステージから降りて裏の楽屋に向かうまでに僕はそう結論付けていた。
だけど何故だか体が熱くていつもより心臓が早鐘をドッ、ドッと打ち続けたんだ。


でもあんな視線・・・絶対に危険。




直感でそう感じたのに。



楽屋で僕を待ち受けていたのは件(くだん)の男だった。









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