イクメンウォーズ Season2 #45

ボアさんが園長代理の娘、って事は…
"親はユノとどうにかなって欲しいって少しは期待していたみたいだけど"の、この親に当たるわけだ。
「そんな顔をしなくても、もうボアと園長の事は私共も諦めがついてますから」
ボアさん同様に僕の気持ちを見透かしたかのように園長代理が言うから、どう答えていいのか正直戸惑うんだ。
「園長に長年の想い人が居るのは娘から勿論聞いて知っておりましたよ。けれど、いつかは園長も目が覚めてくれるのでは無いかと。そんな気持ちで貴方の採用を受理したのです」
「はぁ…」
ボアさんが座っていた場所に園長代理が腰を下ろす。
僕が採用される段階から、園長代理は園長の想いを知っていたのか…それって一種の賭けだよね、、
「ですが、それは私の大誤算でしたね」
「え、、誤算ですか、、?」
「えぇ。園長は本来、あの方の母親の事業を更に飛躍させなければいけない立場だと言うのに…チャンミン先生が気になって仕方が無いとばかりに園の方に入り浸り。挙げ句の果て、自宅にまで連れ込んで今では同棲状態だとか」
「……////」
園に来るのは、園長の仕事があるからだとばかり思っていたのに…うぅ、園長のばか、、///
「そもそも、園の業務に関しては私がほぼ遂行しておりますから。園長は必要書類に判をつくぐらいしかないのですよ?それなのに『園長は辞めたくない』と我が儘を通して」
へぇ、、、園長って名ばかり園長だったんだ…ま、そんな気はしてたけどね。
「ですから、この度の理事会にて園長の解任が決定致しました。来月からは私がこの園を取り仕切らせて頂きます。まぁ、今迄と何ら変わりは無いという事ですが」
相変わらず事務的に淡々と話していたかと思ってたのに。
何だかとてつもない爆弾発言をサラリと、、、
「園長が、解任、、!?どういう事ですか!!」
思わず身を乗り出すと、園長代理はニコリと笑い。
「それは私では無く、"園長"から直々にお聞きになられた方が宜しいでしょうね」
だって………
園長代理から聞かされた事はまだ他の先生方には言うなと口止めをされて。
だけど、その後も僕の思考はずっとぐるぐるしっ放しだった。
「ミンせんせ、だいじょうぶ?」
ボーッと床の上に座っていた所に、コウ君が近寄り。
熱でもあるかと心配したのか、小さな丸いおでこをコツンと僕のそれにくっ付ける。
「あ、うん…大丈夫だよ。元気、元気!」
「そう?」
空元気だけど、そう言わなきゃ子供達に伝染してしまう。
だが、コウ君は一向に僕から離れようとはしないんだ。
あぁ、、こんな所を見られたら、また隙だらけだって怒られるんだろうなぁ……
頭の片隅に、眉間に皺を寄せた園長の顰めっ面が浮かんだ。
「おい」
呼ばれた気がして、振り返ると。
思い浮かんだ園長の表情とは掛け離れた、珍しく目尻を下げて恵比寿顔の園長が立っていた。

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