2017_09
14
(Thu)00:00

イクメンウォーズ Season2 #44








「・・・・大変ですね、、」


僕はもうただただボアさんに同情する想いでそう言ったんだけど。

それを聞いたボアさんは更に肩を落としてしまう。

「ほんと、大変よぉ…。でも貴方だってどう考えても被害者なのにね、ごめんなさい」
「いえ…僕は大丈夫ですけど…」

だけど、そっとTシャツから手を離して顔を上げたボアさんは疲れた表情を僕に見せるんだ。

だからつい、申し訳なさが込み上げて来て。

「あの、、さっきの台詞?みたいなのを僕から言えば園長は機嫌が直るんですよね」

"僕のユノにキスなんてさせないで下さい!"って言うんだったかな、、

「あ、…いいの。気にしないで。それじゃあ私が無理矢理チャンミン先生に言わせた事になるでしょ?」

強く押して来たかと思えば、今度は弱気な発言。
心理的には明らかに駆け引きの段階に入ってるのに、その術中に既に嵌っていた僕にはそれが分からなかった。


「そんな!無理矢理じゃないです、、、本音を言えば嫌なのは嫌なんですよ。でもそんなの素人の考え方だって、部外者が口出しするな、って言われると思ってたから、、」

実際、僕が園長の化粧品の仕事の方に口を出していい筈が無いんだ。

けれど、僕の本音を聞いたボアさんはふっと、視線を柔らかくして。

「恋人の前でも本音と建て前を使い分けるの…?それでユノは喜んでくれるとでも?」

「あ、…それは…」

ズキッと、核心を突かれた気がして胸が痛かった。

「貴方はユノにもっと我が儘を言ってもいいと思うの。だって、それをユノは望んでるみたいだし。待ってるのよ、チャンミン先生の本当の気持ちを」
「…………」
「勿論、ユノの立場上、貴方の気持ちを全て汲んであげられないとは思うけど。だからと言って押し殺して一人で耐えて欲しくない筈よ」


それはまるでボアさんの口を借りて園長が話しているようだった…

「あいつ、昔から凄く不器用で。チャンミン先生と出逢ってから、ユノの世界は貴方を中心に回っているくらい一途だし。だけど、それをどう本人に伝えていいのかも分かってないようなそんな男」

この人は、いつから園長を知っているんだろう、、、

「あ、ほら。また何か不安になってるでしょ~?もしかして私とユノの仲に嫉妬した?ナイナイ、あり得ないから。ユノとは母親同士が昔から懇意にしている縁でね、幼馴染みみたいなものよ。親はユノとどうにかなって欲しいって少しは期待していたみたいだけど、私はあんなねちっこいの願い下げ」

幼馴染み、、?そうなんだ…全然知らなかったなぁ。
しかも何気に親同士は良縁を結ぼうとしてたんだ…それって、許嫁に近いよねぇ…

「やだぁ、誤解を解こうとしてるそばから何でそんなに沈んじゃうの?もうっ!言いたい事あるなら言葉にして頂戴ね」

ツンツンっと、眉と眉の間に知らず寄せていた皺をボアさんが指で突いた。

「…はい、すみません。どれも初耳で正直、戸惑ってます」
「そうそう、そうやって自分の気持ちを言った方がいいわね。あとは?」
「あとはぁ………テミンさんが園長に触れるのだって、、本当は嫌です…っ…」
「そうよねぇ、やっぱりそうでしょう!?やっと言えたわね。…よしっ、ばっちり録れたわ♡」
「…ん、?録れた、、って、、エッ!?」


じゃーん、と言って。

ボアさんは種明かしでも披露するようにして、僕の目の前にICレコーダーを見せたんだ、、、

「ごめんなさいね、騙したつもりはないの♡でもこれで私の仕事もスムーズに行くんだもん。どんな手だって使うわよねぇ~」


言うなり、そそくさとボアさんは荷物を纏めて帰って行った………







だけど、そんな衝撃的なボアさんの行動を上回る新事実が更に僕を襲う。

入れ替わりに園長室に現れた園長代理が、「あれがうちの娘です」と。気不味そうに謝って来て、、、


「あ、…娘さん、、ですか………」



気不味い、気不味い沈黙が暫く二人の間に流れた。















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