2017_09
12
(Tue)00:00

Yes, my lord.〜執事の素性〜#4







人の心を掻き乱しておいてユノ様は何事も無かったかのように食事を終えた僕をバスルームに促してしまうのだ。

全く、罪な御方だ…そのつれなさもまた想いを深めるだけだと言うのに。


「此処の売りはバスルームから見渡せる夜景なのだが」
「あ、…それを見損ねたわけで御座いますね」
「はは、まぁな。また来ればいい事だ、気にするな」
「………は、い」

全く、、返事のしように困ると言うのに。

"また"とか、淡い期待を持たせるような事をどうしてこの御方はサラリと口にしてしまうのか。




「っ、痛…」

むくむくと期待に膨らみかけた心を鎮ませる為に、ユノ様が絶景だと誇るバスビューのガラス面に前頭部を沈めてみたらば。

思いの外、強度があり。
僕には激痛しか残らなかった。

コブにならないかと額を摩ると、僅かにそこは熱を帯びていた。

「ハァ、、」

鏡面に映り込んだ自分を覗くと、何故だか額以外にも頬やら耳やらが赤い。

「逆上せ…」

る訳がないな。
バスタブに湯は張られてないのだから。

赤い頬を両手に挟んで乙女度を上げてみても一ミリも自身を可愛いとは思えずにがっくりと肩を落とす。


「あ…」

そう言えば、と今更ながらに思う。

落とした視線の先には幾ら乙女度を上げたとしても、完全に性別の壁を越えられないモノが映り込んでいる。

それを昨夜、自分の知らぬ所でユノ様に披露してしまったのだと…

「自分の意思で晒すならまだしも…うあ゛ぁ、、、!!」

ユノ様のように御立派なら男の矜持も保てると言うものだが、僕はそうでは無いと思うのだ。

まじまじと見ても、並みの中の並み。

「よっ、と」

内股で挟み込んでみると、途端にソレは姿を隠してしまう。


「ちゃ・・」
「え?、、うわーッ///!!」

バスルームに突然姿を現したユノ様は。

両手を頬に添え、思いっ切り内股で鏡の前に立つ僕に声を掛け損ねていた。

出しっ放しのシャワーの音で、僕はユノ様の気配に全く気付かなかった。

だが、いきなり現れて固まるユノ様に僕の方も大いに慌てたのだ。

「ユノ様、、こ、これはですね、、!」

気が動転しながらもシャワーを取り敢えず止めるべきだと、脳が勝手に判断をした。

しかし、焦って動いた為。
内股の脚が思うように動かず、僕は足元を滑らせてしまう。





「大丈夫か…?」



臀部を強か打ち付けた僕を、ユノ様が頭上から柔らかく見つめていた。

「…我慢せずにお笑いになったら宜しいかと思います」

口元を痙攣らせている位なら、思う存分笑って貰った方がマシだった。


「…チャンミン…」

ユノ様は目尻をふっ、と下げると。

「此処で笑う馬鹿は死んだ方がいいだろう」

切なげに眉を寄せ、そしてユノ様は僕の腫れた額を撫でる。

「何か悩む事でもあったのか」
「……いえ、その様な事は決して、、」

僕の悩みの種は一向に無くならないのです。
貴方様がこの様な状況でも変わらずに紳士だから…

不本意ながら、二度も醜態を晒したのに。

ユノ様は最後まで笑いを噛み殺したのだった。















「良い子にしてたか、チャンミン」

どこか戯けた風にユノ様は玄関で僕等を出迎えたシャンパンゴールドのル◯バを捕まえて撫でていた。

嬉しくもあり、擽ったくもあり。

気分が落ち込んでいた僕を気遣っての行為だと、後に気付いた僕は。

ユノ様にまた、…惚れ直すだけなのだ。











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