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2017_09
09
(Sat)00:00

Yes, my lord.~執事の素性~#3








「どうした?口に合わないのか」

折角のユノ様との食事の席など、執事の立場である僕にとっては貴重な時間なのにだ。

チラチラと脳裏を掠めるイ・ソジン様との約束がどうしても喉を詰まらせて食が進まない。

それなのにユノ様はそんな僕の様子を察して、御自身もゆっくりと食事を摂ってくれるのだ。

「いえ…私には分不相応な程に素晴らしい御食事でして…身体が驚きのあまりに中々飲み込めないだけで御座います」
「そうか、それなら時間を掛けてゆっくり慣らす事だな」

漸く一皿を空にしたのを見計らってユノ様がわざわざ取り分けて下さった料理をそっと僕の目の前に置く。

「好きな物だけを選べばいい、苦手な物まで我慢をする必要も無いだろう。楽しくなければ食事を摂る意味が無いからな」

ユノ様はそう言ったが、皿にはさり気無く僕が好きな肉料理の割合の方が多くよそってあったのだ。

「はい…身に余る幸せです」

その皿から一口大の肉を口に運ぶと、ほろりと噛まない内から蕩けて無くなっていく。

まるでユノ様が与えて下さる優しさのようにほろり、ほろり…

ユノ様を好きになるなと言う方が難しいだろう。


この様に気遣いも出来、その上包容力も備わった御当主様は他にもいらっしゃったが。
執事に対して、御自身と対等に扱って下さった方は居なかったのだ。

「チャンミン、旨いか?」
「えぇ、美味しゅう御座います」
「…そうか」

ふわりと満足そうにユノ様は頷く。

その笑みが僕の胸を高鳴らせているのを貴方様は知らないのでしょう……?





───初めから素敵な人だと思っていた。

物腰は柔らかで、使用人にもよく気を配り。
そして発想が豊かだからか、気持ちのとても若い方であった。

屋敷には常に新しい風を吹き入れる事を心掛け。
財閥特有の格式に囚われない考え方をしていた。

その一つが、使用人に週休二日制を受け入れさせる事。
これにより使用人達もその余暇を楽しんで過ごし、更にユノ様への忠誠心を厚くした。

その他にはお掃除ロボットなる、ル◯バを数台購入して掃除への負担を軽減させたのだ。

幸い、昔ほど御屋敷に来られるお客様の数は少なくなったと聞くが。
久々に訪ねて来られた御親族の方などは必ずその存在に眉を顰めるのもお決まりのパターンであり。

だが、ユノ様は頑として幾ら苦言を呈されても聞き入れる事はしなかった。

近頃では一台ずつに名前を付けた御様子で、僕がたまたま赤い色のル◯バが大きな段差につまづいて動けなかったのを直してやると。

『茜の代わりに礼を言う、有難うチャンミン』

そのように喋れないル◯バの気持ちを代弁されたり…




「ユノ様」
「ん?」

食事を終えてコーヒーカップを優雅に口元に寄せていたユノ様に、僕は唐突に尋ねてみたくなっていた。

「御屋敷で活躍中のル◯バについてですが」
「あぁ、パー子達がどうした」
「は・・・パー子、?こほんっ、どの色がパー子なのでしょうか?」

勿論、各色に付けられた名前を聞き出したかったのだが、いきなりパー子と来たか…

僕の脳内には夫婦揃ってピンク好きなあの有名人の顔が浮かんでいた。

が、ユノ様の返答は。


「パッションピンクだ。因みに由来はパッションのパ、だ。可愛いらしい色合いだからな、子も付けてみたが良い名前だろう?」

ははは、と爽やかな風が吹き抜けた気がしたがあまりの安直さに僕は笑うタイミングを逃したのだ。

「パー子と茜は女性らしく気遣いが細やかな分、見た目も愛らしい故に来客の目を惹く恐れがあってな。それで主に俺の部屋の周囲を任せているが、あれらがどうした?」

ユノ様はル◯バに名前を付けるだけでは留まらず、性別まで御与え下さっていたとは、、

「いえ、特に不具合がある訳では御座いません。ただ、それぞれに御名前を御付けになっていらっしゃるようでしたので少し、気になった次第です」
「ハハッ、なるほどな。ピンクは今言ったようにパー子だ。あと赤いのが茜。それ以外に黒とシャンパンゴールドが居るだろう」
「えぇ、左様で御座いますね。それらにも御名前を?」
「勿論。黒はそのままクロだ」
「…クロですか」

ここに来て、まさかの捻りなし。

「シャンパンゴールドはその品の良さを買って玄関を任せているので、"チャンミン"と名付けてしまった」

ははっと、豪快に笑ったユノ様はどこか照れを隠しているように僕には見えてしまった。



ユノ様との会話は本当に心臓に悪い。

そんな事を言われれば絞られるように胸がときめいてしまうのに。



だから僕は、ユノ様への想いを断ち切れないのだ…











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