イクメンウォーズ Season2 #37

は、張らせてたぁ、、!?
それは僕にとって驚愕の告白だった。
でも…確かに振り返るとおかしい事ばかりなんだよな…
僕が保育士になってから初めての赴任先に園長が居たってのも偶然かと思っていたのに。
園長は最初から知っていた風だったし、、、
僕は知らないのに、ボアさんは僕を知ってるような感じだったし、、、
まさか…園長がストーカーしてたなんて……
「だからそんな目で見んな」
「だって、、急に変な事言うから…」
「ハァ、、まぁな。勝手に張らせてたのは謝る。悪かった」
「・・・・・いつからですか」
「ん、小せぇ頃にお前が引っ越したろ」
「はい…まさか!その時から、、!?」
「馬鹿言ってんじゃねぇ!んなキモい事俺がするかってんだ」
「・・・・・」
「あ?」
「い、いえ、、」
大きくなってから張るのも充分キモい事だって、その自覚は無いのかな…?
「高校ん時に同じクラスに影の薄い~奴が居ただろうが、パク・ジソブっつうの」
「パク、ジソブ…?うぅ、、ん?」
「はっ、薄過ぎて存在すら認識されてねぇか」
「すみません、、でも全く記憶に無いですね…」
「因みにそいつ、大学も一緒だ」
「は!?え、、」
「んで、今も影のように俺の会社で働いてっから安心しろ」
「・・・はぁ、、?」
ちょっと待て。
えーっと、、じゃあ僕はずっと高校の時から園長の息のかかった人物から見張られていたって事になるのか、、、、
「俺がモデルをした下着の広告だってなぁ、さり気無くお前の目に触れる画策だってしてたぞ、こちとらよぉ」
「・・・・・」
開き直った途端に諸々の衝撃の事実を知らされても、、、嬉しいのか、引くのか、、
正直、複雑な心境なんだ…
「なのにお前はチラッと見るか見ないかのうちに伏せたってぇじゃねえか、あん!?」
「え!そんなのまで知られてるんですか、、!怖っ!って言うか僕が伏せたのは多分、まじまじと見るのが恥ずかしかったんだと思うんです、、」
「あ?何でだよ」
「だ、だって、、男物の下着の広告って言ったら僕にとってはエロ本と同じ存在の物になる訳で、、人前で見る事なんて出来ませんよっ///!」
「……チッ、そう言う事だったのかよ」
そうなんだ…恋愛の対象が同性と認識してからは体育の授業で体操服に着替える同級生の目のやり場に困ったり。
プールの授業なんて、走り回る裸の友達を見て鼻血が出そうになったり。
ましてや高校生の僕なんて、それこそ性への関心が一番強かった時期だったから。
女性の裸見たさにエロ本を回し読みするように、本音を言えば僕だって男性の裸を眺めてみたい願望をひた隠すのに必死だった。
「結局俺はずっと空回りって事かよ、ったく」
いつものオールバックの園長ならもしかしたらこんな風に項垂れる姿を晒したら違和感が半端じゃないって思うのに。
今みたいに髪を下ろした園長は虚勢を張らずに素のままを見せてくれているようで。
長いことストーカー行為を受けたというのに、そんな事なんてどうでもいいかなって僕の気持ちは自然と許す方向に傾いていたんだ。
「ま…、過ぎた事は仕方ないですし、、それに今はこうして一緒に過ごせてる訳ですから…全部が全部、空回ってたって事でも無いんじゃないですか?」
「……ん、まぁな」
珍しくしおらしい園長に、思わず僕はキュンとしてしまった。
だからつい甘くなっちゃって…
「ラーメン伸びちゃったから、僕が作り直しますね」
って、お腹を空かせた園長の為にと思って立ち上がったのに。
「ん、」
デジャヴ、、、?
下唇をふるりと突き出してキスの催促だった。

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