2017_08
27
(Sun)00:00

Yes, my lord.~試用期間にて~#6








『チャンミン、頬に睫毛が付いているぞ。俺が取ってやろう』
『あ、いえっ社長にその様な事など、、自分で処理致しますから』
『お前は相変わらず執事の癖が抜けないな。こんな車中、誰も見てないだろ。ほら、遠慮するなこっちを向け』
『社長…っ、、』
『大きな瞳だな。吸い込まれそうだぞ、チャンミン…』
『・・・・・ッ////!』



「あの、………ユノ様…?」

訝しげな表情で俺の名を呼ぶチャンミンによって妄想が打ち消されてしまった。

惜しい…。ん、何が惜しかったのだ…?

「あぁ、済まない少しぼんやりしていたようだ」
「あのっもしやお疲れでは御座いませんか?このところお帰りも遅くて睡眠時間も充分にお摂りになられてはいないようでしたので…」
「まぁ確かに疲れは抜けて無いかもしれぬ」
「でしたらそろそろ御屋敷の方へお戻りになられては如何でしょう」
「・・・あぁ、そうだな」

一瞬の間を取った事に対してチャンミンは小首を傾げたが、俺はサッとナプキンで口元を拭くと手を挙げて係りの者を呼んだ。

その一瞬の間を、チャンミンに知られてはいけないのだ…






「ユノ様…」
「何だ」
「…何故このエレベーターは上昇を止めないのでしょうか、、」
「それは俺がそう指示をしたからだろう」
「えっそれは何故ですか!迎えの車は下で御座いましょう!?降りましょうっユノ様」
「チャンミン、落ち着け。騒ぐでない」
「ハァ?あ、いえ失礼致しました、、ユノ様、一体どの様なおつもりで御座いますか。私にもちゃんと御説明下さいませ」
「説明か…今夜は部屋を用意したのだ。だからこの上昇は間違いでは無い、それだけだが?」
「!?へ、や…わ、私は…あ、別のお部屋で御座いますよね、、?」
「チャンミン」
「は、はい…」
「黙って俺の後をついて来い」
「…………」




部屋の入り口でカードキーをかざすと、背後から溜め息が漏れた。

今夜は無理を言ってホテルの一番良い部屋を用意させたと言うのに…

「不満か?」

すごすごと俺の後ろをついて歩くチャンミンを見やれば、その顔は明らかに曇っていた。

「いえ…不満などとはそのような事は御座いませんが…まさかキーがお一つしか無いのは如何なものかと思われまして」

俺をジロリと睨むような目付きなど、チャンミンにしては珍しくてつい笑みが溢れる。

「笑い事では御座いませんがッ///!?」
「ははっ、何をそんなに慌てるのだ?部屋をもう一つ取るのもいいが、そばで俺の様子が分かった方がチャンミンも落ち着くと単純にそう思っただけだ。俺が一番大きなベッドを使うが、チャンミンにはロイヤルツインで寝てもらうつもりでいる」
「…あ…///」
「もしや一緒に寝て欲しかったか?」
「な、っ!////」

チャンミンが何かを誤解して空回りしているのは最初から分かってはいたが、そこを弄られるとあからさまにあたふたと取り乱す。

「ふっ、」

誠に愛らしい…

気を緩めると笑みがまた溢れそうになるので、口元を手で覆って笑いを噛み殺した。

これ以上チャンミンを弄ればまた盛大に拗ねてしまうのだろう。

折角、騙してまでチャンミンのオフをもぎ取って此処に連れて来たのだ。
不快にさせたら元も子もない…


「さて俺は先に汗を流すとしよう。チャンミンはルームサービスでも頼んで好きにしてて構わない。なんせ今夜は一応、オフなんだからな」
「…はい、畏まりました。好きにさせて頂きます。オフですから」

まだ複雑そうな表情のチャンミンに言い放つと、最後のオフをやたら強調してむくれた顔をしていたが。
これ以上この場に居るとついついチャンミンに構ってしまいそうで一旦、その場から消える事にしたのだ。



…が、バスローブを纏って戻った俺をチャンミンは待っては居なかった。

「ビューバスの夜景が売りだと言うのに。仕方がないな…」

ネクタイを緩めた所で電池切れを起こしたのか、そのままベッドに倒れ込む格好でチャンミンは眠って居たのだった。

夜景を眺めたチャンミンの反応が見てみたくて此処に連れて来たのだが。
叩き起こしてまで風呂場に連れて行く気力ももう俺には無い。

だが、無防備な姿で寝入るチャンミンが見れた事で何故か俺の心は満たされていた。

「全く不思議な男だ…」












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