【ホミンホ合同企画ミーアゲ】雲竜風虎#苺タルト
「お帰り、お腹ぺこぺこ」
「あぁ。ところで体調はどうなんだ。動けそうか?」
「うん、何とかね。まだ怠さはあるけど朝よりはずっといいよ」
「そうか。念の為に飯もここで食える物にしておいたぞ」
「わ!何だろ」
って言うか、寝室に入って来た時点でもう分かってたけどね…
チキンとピザの箱に、あとは苺タルトでしょ?
「ふふっ」
「あ?」
「…ううん。何でもない」
苺タルトはユノの好物。
そしてチキンとピザは僕の、…好物。
「ユノ」
「ん、どうした?」
「キス、…して」
ふっ、とユノが笑う。…僕の好きな顔だ。
社長でも無い、組長でも無い。
僕にしか見せないユノの素顔。
先代の組長はユノの事を口下手だって言うけれど、僕の前ではユノはよく喋ると思う。
「甘えただな。よほど退屈だったか」
「うん…凄くね」
「そうか、悪かったな…」
あの綺麗な指で顎を掬われてユノの顔が近付く。
もう何度も、挨拶のよう交わしているキスなのに…
唇が触れ合う瞬間まで息が詰まりそうな程に胸が高鳴って苦しい。
こんなにドキドキして苦しいのはユノだけ…
しっとりと重ねられた唇から熱が広がって。
だけどその熱にもっと酔い痴れたくて離れたユノの唇を追う。
だけど追ったそばからまた捕らえられ、吸われて、啄ばまれて口付けはどんどん深くなっていくのに。
でも、まだまだ全然足りないと思う…
「…ユノ…っ」
分かってると言いだけに開いた隙間から舌が割り入ると、期待に満ちていた温もりが僕の舌を攫う。
「…っ…ん…」
途端に鼓動が加速する。
息が継げなくて、溺れてしまいそうなのに気持ちはもっと、と跳ね上がるんだ。
ユノ、ユノ、ユノ、、
一目見た時から僕の熱を全て奪った憎い人。
その存在を消したくて女性と付き合ってみたのに、僕の中からユノは消え去ってはくれなかった。
なのに…穢れ堕ちて人の心を失い掛けた僕なんかを救いに来た、とても、、憎い人。
清い身体を貴方に捧げたかったのに、、、、
「何故、泣く…?」
「綺麗なままで、、いたかった、、っ、、」
「…またそれか」
「だ、って、、!」
涙で濡れた頬を優しい指が這う。
「何度も言ってるが、お前の心は変わらずに綺麗だ。それにもし、お前があのまま父親の跡を継いでシムグループの総帥にでもなれば、今ここで抱き締める事も俺には叶わなかっただろ…?」
僕のささくれ立った心を宥めるようにそっと抱き寄せて背中を摩る。
「ユノ…貴方は憎くて……だけど僕の、僕の愛おしい人…」
「同感だ。俺もお前が愛おしい、そして憎い。いつまでたっても俺の心を惹きつけて、お前を想うと胸が苦しい。愛おし過ぎる…チャンミン…」
「…ん」
常にユノの言葉は僕のささくれている心を和らげてくれる。
分かっていても何度だってそう口にして欲しい。
「泣いたら尚更腹が減っただろ、冷めないうちに食おう」
「お腹は減ってるけど…でも、今は虎ちゃんと戯れたい」
「虎、ちゃん、、?…はぁっ、お前は恐れ知らずか。俺の背負う虎を目に出来る者にも限りがあるってのに…それとな、今シタらまた腰が立たなくなるぞ。それで構わないならシテもいいが?」
「ふふっ、また動けなくなったらユノが食べさせてくれるんでしょ」
「お前には本当、…負けるな」
ふっ、とまたユノが笑う。
やっぱり好きだな…この笑顔。
今朝もユノを迎えた場所はすんなりと熱い塊を根元まで飲み込む筈なのに。
ユノは一向にその塊を突き刺そうとはしない。
ぴちゃぴちゃとまるで仔猫がミルクを貪るようにさっきからユノの舌が僕の後孔を舐め取っていた。
柔らかい舌先で擽られる程度の刺激だから耐えようと思えばなんて事ないのかもしれないけれど。
時折顔を上げて僕を見据えながら舐めるユノのその妖しさは堪えようの無い程で、、
「ッ、あ、、」
もどかしい刺激に震える僕の滾りを根本からゆっくりと舐め上げる舌がいやに赤くて思わず上げた声が上擦る。
「…そんな声をミノにも聞かせたのか?」
下から上へと蠢くように這っていた舌が、ぷっくりと先端から溢れ出していた雫をその上に乗せる。
ふるふると震える滾りと、ユノの長く柔らかい舌。
どちらも妖しく光って僕を追い込む。
「…っ、ちょっとは…嫉妬した、、?」
瞬間、待ち望んでいた熱の塊が僕の後孔に当てられ。
ユノは僕を見下ろして不敵に笑った。
「あぁ、大いに嫉妬したな」
そんなユノに僕の心臓は静かにどくんっと跳ねた。
あぁ…結局、どんなユノでも僕は好きなのか…
「そう言えば…今日の移動中に懐かしい曲が流れてたな」
「え?…何の、曲…っ」
漸く待ちわびた刺激が与えられると期待したのに、さっきから執拗に浅い所ばかりを擦られてる。
…うぅ、歯痒い。
じくじくと疼きを増した最奥をひと突きして欲しいからって、腰を揺すって強請ってるのを重々分かってて。
ユノは素知らぬ振りをして世間話なんかする。
本当、憎たらしい。
さっき僕が背中の風虎を虎ちゃん呼ばわりした腹いせか…?
「《ミドヨ-믿어요-(信じるよ)》だ、知ってるか?」
「あ、…うん、、」
「…そうか、あれは俺の心だと思う。お前を初めて目にした入学式の日から始まった俺の、…な」
「え、、っ、、?何それ、ちょっと待って、、どんな歌詞だっけ、、!?あ、ユノっ、、まっ…て、、」
「待たない、疼くんだろ?」
口角を少し上げたユノは腰を強く掴んで揺さぶり出す。
あれ程強請っても突いてくれなかった最奥に、欲しかった刺激が次々に与えられるから、もう歌詞なんて思い出せないよ、、、
「いじわる、、!」
するとまたユノがふっ、と笑い。
快楽に震える僕と目を合わせながら歌を口ずさみ出した。
"…信じるよ
一目ぼれを信じてるよ
君にはそんなのないって言ってたけど
軽い奴だと思われそうで
隠してきただけなんだ…"
ユノの歌声…初めて聴いた…
それにこの歌詞って、、、
甘美な響きが僕の鼓膜と心を擽る。
「凄い、、熱烈な告白だね…」
「あぁ、そうだな。だから分かったか…?俺にはお前しか見えてないって事が」
腰の振りを止めずにそんな口説き文句をさらりと言うユノに思いっ切り照れるんですけど、、
もしかしたら…苺タルトよりもユノの方が甘いんじゃないの?
「信じるよ、か…悪くない歌詞だね…」
「まぁな。さて、お喋りはここまでだ」
「ん、それは、、ユノが、勝手に、、!あっ、…っ、、ん、、」
僕を貫くユノの熱が弾けるように怒張していた。
ユノももしかしたら照れてるのかな….?
ユノ…、ユノは穢れた僕を救ってくれてから、毎日こうして言葉で行動でぐずぐずになるまで甘やかしてくれるよね…
ありがとう…だから僕も、、、
「…信じるよ」
呟きはそっと触れたユノの唇で封じられた。
だからずっと僕に、"恋"してね。
苺タルトにも負けないくらいの甘さで。
想ってて。
end
皆様、最後までお付き合い有難う御座いました(*˘︶˘*).。.:*♡
これにて企画のお話は完結となります。
企画をする度に思うのですが、お祭りのようなこの高揚感が私は好きなようです。
企画を通して得る物が沢山あるのも大きな要因ですね。
やり終えた時には達成感と最後までお付き合い頂けた読者様、そして御参加されたブロガー様達との交流に。
喜びと感謝で夢見心地になるんです。
今回もまたチカ*さんのお陰で良い経験が出来ました♡
幹事、お疲れ様でした!!
追伸。
チカ*さんにコメントをして頂いたh様へ。
h様が真摯に綴られたコメントに胸が震えました。
そのお気持ちしかと受け止め、この場をお借りして心より感謝申し上げます。

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