2017_08
09
(Wed)00:00

イクメンウォーズ Season2 #22







「チッ、クソが」

「あ、ごめんなさい、、!」

スーツの裾を掴んで引き止めた僕を園長が怒ったんだと思った。

だから掴んでいた裾をパッと離そうとした僕のその手を眉間に皺を寄せたままの園長が上から掴んだのには驚いた。

「え、あのっ、、、?」
「嫌なんだろ?俺がお前の知らない所でこそこそと男に会うのはよ」
「え、、」
「チッ。モタモタすんな、行くぞついて来い」
「わわわわ、、、」

なんかこのパターンって懐かしいかも…

とか、悠長に考えてる場合じゃないんだけど。
園長が僕に触れてくれるのが嬉しいし、何と言っても僕のモヤモヤしていた気持ちをちゃんと察してくれていた事が知れて良かった。


「あ?何笑ってんだ」
「あ、いや、、別に…」

強引に引き摺られている僕はもしかしたらはたから見ればヤクザに拉致される善良市民のよう。
だけど引き摺られていく当の本人が気持ち悪いくらいに笑顔だから、逆に誰も助けに入ろうとはしないようだった。

そしてそうこうしている間にエレベーターが目的の階に着くと、園長は僕をしっかりと小脇に抱えて僕達の玄関の方を目指して歩き出すんだ。

「部屋に戻るんですか…?」

だけど僕の問いに園長は無言で歩く。

「なぁ」

ピタッと突然足を止めたから僕は思わずつんのめった。

「ひゃ、は、はい!?」

顎を急に掴まれて園長と真正面に向き合わされると僕の心臓は途端にバクバクと煩く騒いだ。

「俺は今試されてんだ。あいつに『覚悟』を見せなきゃなんねぇ…」
「は、え、、それって…どう言う」

意味?って聞こうと思ってた。

だけど聞く前に園長の唇が僕の言葉を封じ込めて……


「ん、……ッ、、」


頭を引こうとすると後ろから逆に強い力で押さえられて、キスがもっと深くなっていく、、、


「もう遅過ぎ!いい加減にしなよっ人ん家の前でさ!」

バンッと開け放たれた玄関のドアの向こうからテミンさんの怒鳴り声が聞こえてくる、、、

あ…ここってお隣の前だった……


「呼び出す手間が省けたな」
「はぁ!?僕はてっきり追ってくるもんだと思って待ってたのにぃ!?信じらんない!!」

家主に構わず僕の手を離さずにズカズカと園長が中に入るのをテミンさんも何故か止める様子もなく。
だけどプリプリと相変わらず園長に御立腹だ。

「あの、、僕までいいんですか…?」
「あぁ」
「もう上がって来ちゃってるんだから仕方ないよね!?」

園長は僕が居ても平然としてるけど、テミンさんはランドリー室で話した時と打って変わって僕が居る事にご機嫌斜め。


「で?そっちの答えは出たの?」

リビングのソファに勝手に腰を下ろし、脚を組んで寛ぐ園長を見下ろす形でテミンさんが腕組みをして問い詰めた。

「はっ、その話はもう終わっただろ?お前の姉さんがうちと書類を交わして契約を結んでんだ。なんの問題も無い筈だが」
「問題なら大アリだよ!ヌナが契約をしたのはあくまでも僕がユノさんの会社の広告塔をやるってだけで、僕が提示した内容は全く受理されてないもん!」
「…我儘野郎」
「あ!大切なモデルをそんなぞんざいに扱っていいのぉ!?なんならスポンサーの件だって白紙に出来るんだからね僕は!!」

スポンサーの単語を聞いて園長の眉がピクリと動いた。

あわわ、、怒ってるぅ~、、


「…お前な、父親の後ろ盾でこの先も仕事やってく気か?今回の広告塔の件、自分の実力だとは思わなかったのかよ」

目が据わって園長は一発触発って感じなのに、その怒りが何から来ているのか僕には分からなかった。

「実力…?冗談でしょ…そんなの僕が一番良く分かってる。このマンションだって、モデルの仕事だって全部親の力だって事くらいねっ!はは、、やめてよ…こんな話したって惨めになるのはこの僕だよ?本当に仕事から降りたらユノさん、どうすんの?」

言ってる事は自分を卑下して自嘲気味なのに、そのテミンさん自身はまるで泣くのを堪えているようで、、、


「…甘ったれが」

手を挙げた園長がテミンさんを殴ると思った、、、












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