イクメンウォーズ Season2 #1

明らかに僕とどう見てもお揃いのエプロンを着けて、一直線に向かって来るその人は今朝別れたばかりの愛しの人であって、、、
えっ、何、、!?何なんだぁ!??
どんどんと2人の距離が縮まると共に、僕の体は大きく揺さぶられる。
「ぎゃぁぁ~かっこいい~~~///♡どぉしよぉ~!」
ゆっさゆっさ。
自分の動揺を抑えきれないのは分かるんだけど、僕にそれをぶつけるのはどうかと思うんですよね…先輩、、、
あぁ、もうっ!雑念が多過ぎて冷静になれないじゃないかッッッッッ‼︎
苛々と焦りで腕にしがみ付いていた先輩に振り返ろうとした瞬間。
掴もとした先輩の腕に、僕よりも先に絡み付いた手があったんだ。
これは……
「すみませんが、チャンミン先生をお借りしますよ」
そこにはいつもの俺様口調とは打って変わり、とても丁寧な言葉遣いをする、、、園長の声があって。
「…はい…///」と、目をハートマークにしちゃった先輩は僕からそっと引き剥がされていた。
そして、僕は背後から回されていた腕にギュッと一瞬包み込まれ。
「話がある、ついて来い」
その様子は恐らく、ふらふらと僕等から離れて行った先輩には見えなかったんだろうな…
耳元でそんな風に小声で囁かれてーーーー舌を捻じ込まれていたなんて、、、
「んぁ、、、///」
思わず上げてしまった声を、慌てて手で押さえてもごもごと振り向くと。
赤く濡れた舌を口の端から少しだけはみ出させてニヤリと笑う。
あ、、、この顔、、、
僕を弄んで………楽しんでる~~っっ!!!
そして今、出て来たばかりの更衣室にズルズルと引き込まれてしまったんだ、、、、
「…という事はつまり、、、園長は保育補助をやるんですか!?」
園長という肩書きはあるものの、この人には保育士に必要とされる『保育資格』を持っていないのだと言う。
けれど、それが無くても保育補助という立場であれば僕みたいな正式な保育士と同様の仕事が出来るんだ。
書類関係や事務的な事さえやらなければ何の問題もない訳だし。
って、おいおい…
そんな重大な事をどうして黙ってたんだよ!?
何だか急に騙された気持ちになってぶくぅと拗ねていると。
そんな僕の心境を少しでも察したのか。
「おいっ。俺にまた会えて嬉しくねぇのかよ」
チッと舌打ちされて、逆に拗ねられた。
でも…
そこにはいつもの凄みを効かせても。
なんてたってガスペールのエプロンに赤のネルシャツ、そしてサラサラと揺れる前髪。
全然怖くなんてなかった。
寧ろ、可愛いし///。
「ぶふっ…」
朝、目が泳いでたのは必死にこのサプライズを隠す為だったんだぁ、とか。
このお揃いのエプロンをどうやって選んで来たのかなぁ、とか。
僕の反応にいちいち拗ねてるその顔、とか。
冷静になって考えると凄く、凄く、可愛いじゃないか///!
「…お前、この状況下でいい度胸だなぁ?」
ハッと我に返ったら、時は既に遅し。
不敵な笑みを浮かべた園長に、可愛いアップリケの上からやんわりと揉み込まれたのは言うまでもない。
誰も居ない更衣室で、さっきまでニンマリと眺めていた姿見には羽交い締めにされながら声を押し殺していやらしい顔をした僕が映っていて。
、、有り得ない…神聖な職場で犯す気か!?
そして、逃げられない腕の中でぐったりと力が抜け始めた頃。
コンコンッ
「、、、‼︎は、、はぃっ!」
チッとまた後ろから舌打ちが聞こえたのは無視をして、緩んだ腕の隙間からノックをされたドアへと駆け出した。
ガラッと引き戸を開けると、そこには園長代理の姿。
「お話は済みましたか?そろそろお時間になりましたからお呼びさせて頂きました。園長の職員全体のご挨拶がまだでしたからね…」
淡々と恐ろしく事務的な口調で。
けれど、園長代理の視線は………
「、、あっ‼︎そのっ、、これは、、、///‼︎」
僕の半勃ちの股間にロックオンされていたんだ、、、
「………」
でも
顔色ひとつ変えずにくるりと踵を返して行っちゃった…
「黙認って事か…」
ほう、と背後から嬉しそうな声色を遮るように僕は怒り露わにピシャッとドアを閉めてやったんだけど。
だけど、実はやっぱり。
園長とずっと過ごせるのは…嬉しくて///
緩む頬をそっと押さえて内股で小走りしたのは。
…内緒だけどね。

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