2016_11
14
(Mon)00:00

Sweet honey #12












一年の終わりを迎える頃、僕とユノさんは雲の上に居た。














12月は例年通りクリスマスケーキの注文の対応に追われる日々で他の月よりも慌ただしく。

ユノさんと擦れ違いが更に増して僕の鬱憤は溜まる一方だった。

クリスチャンのユノさんにとってはクリスマスと言えば家族と過ごす日なのに、僕はその準備もままならない。

遂にストレスの限界を迎えたクリスマス当日の25日の朝、目が覚めた僕を白髭のユノさんが見つめていたんだ。


「Merry Christmas 、チャンミン…」


いつものキス、だけどちょっと髭が擽ったい。


「ふふ…どうしたんですかこれ」


唇に当たる髭を指の先で触れる。
ふわふわの白い髭を付けてるユノさんは、ユノさんなのにユノさんじゃないみたいに見える。

「それは…チャンミンが良い子だからね。特別にユノサンタが朝まで一緒に居たんだ」

「ユノ…サンタ?」
「そう、俺はチャンミンだけのサンタ。そしてこれはチャンミンの為にユノサンタが用意したプレゼント」


片目を瞑って、ウィンクしたサンタはその手の中からブルーの封筒を取り出す。

「…何ですか、?」
「さぁね、何だろうね。自分で開けてご覧」


ユノさん、じゃなくてユノサンタはニコニコと嬉しそうに僕の後ろ頭を撫でて言う。

僕が喜ぶ物かな…何だろう…


「あ」


封筒に糊は無くて、そのまま中を覗いて直ぐに分かったんだ。

隣でふふっとユノサンタが笑う。


「え、、嘘……っ…ユノさんっ!!」

行き先と日付けを見て更に僕は歓喜の声を上げてユノさんに飛び付いた。

「嬉しい?」
「えぇ、、勿論!!」



ユノサンタが僕に与えたプレゼントの中身はパリのシャルル・ド・ゴール国際空港行きのチケットだった。


「良かった、チャンミンの笑顔が俺の何よりのプレゼントだから…」
「ユノさん…」
「あ、でも今夜チャンミン自身にデコレーションするってのもアリだし」
「ちょ、、///ちゃんとプレゼントは用意してありますよッ!」
「じゃあプレゼントも貰ってチャンミンも食べようっか」
「…っもう、、ユノ…さ…ん」


朝から食い尽くす勢いで僕の唇はユノさんに奪われたけれど、なんせあの髭が…

「…擽ったい、、ふふ、、、」
「ははっ…ホント邪魔だな」






父さん、母さん、ごめんなさい。

人生の中で、今日が一番嬉しいクリスマスプレゼントを貰いました、、、

サンタの顔なんて、あんなに見るのも嫌になってたのに…


クリスマス最高!!














「あっちに着いたら何処に連れて行ってくれるんですか?」

「ん?まぁ…取り敢えずゆっくりしてから出掛けるかな」

「分かりました」


僕のお店を午前中に閉めてからバタバタと荷造りをして、空港へは飛んで来たようなものだった。
それくらいに年末もお店は忙しく、やっと離陸してホッと胸を撫で下ろした僕だった。

ユノさんのお店は僕のお店よりも少しだけ休みの期間が短いらしいけど、優秀なスタッフが揃っているから自分が不在でも大丈夫だとか。

因みに、ユノさんがパリコレに行っていた間に僕に応対した受付の女性をユノさんが辞めさせようとした経緯があって…
意外とユノさんは怖いのかな?とドキッとさせられたんだ。


だけど…やっぱり僕には甘い甘い、甘いだけのユノさんだから…

「昼寝でもしておくか?」

膝に掛かられたブランケットの下でにぎにぎされる手。
僕は返事をしない代わりにその手に指を絡め返した。

「…指だけで眠れるといいな、おやすみ」

同性愛に寛容なパリ行きの飛行機だけあって、ハブ空港となっている仁川空港のロビー内でも同性でイチャつくカップルは数名見かけた。

だけど…だからって人目も気にせずに普段通りにチュッと僕にキスをしてしまうユノさんは流石だと思う…

「ユノさん…おやすみなさい…」

…どうか今日もぐっすりと眠れますように。



クリスマスになると僕のお店ではブッシュ・ド・ノエルがショーケース内を占める。

定番のブッシュ・ド・ノエルのイメージだと主に茶色の切り株が一般的だけど、今のパリではカラフルでバリエーションが豊富らしい。







それを僕も見習って毎年ありとあらゆるタイプのケーキを揃え、お客様の目を楽しませる事を心掛けていたんだ。

だからかな、、夜中になると…

『う…埋まる…』

赤や白、黒に緑、様々な色の切り株が僕の身体に積み上がって窒息しそうになるという夢を必ず毎年見るようになっていて、、

『チャンミン、チャンミン!?』

今年も例年と同じくしてうなされる僕をユノさんが叩き起こしてくれたわけで。
理由を説明すると直ぐさま僕の身体を隙間なく引き寄せると。

『潰されそうになっても俺がチャンミンを守ってやるから安心して寝てな』って…

心配ならもっと絡み付いてもいいって更に言われて…

その日から僕はユノさんの股に右脚をねじ込ませたり、腕を絡ませたり。
お店の外壁を覆う蔦みたいにユノさんに絡まって寝るようになったんだ。

そしたら、なんと悪夢はあれから一切見ていないと言うから驚き。


今は昼寝だけど…

また悪夢を見たら楽しい旅行の出鼻を挫かれるから……




旅の恥はかき捨て。

知り合いが居ないと思って、僕はそっとユノさんの腕に絡み付いて瞼を閉じた。


勿論、脚もブランケットの下で絡み合っていたけど…

昼寝から起きたら下に落ちていた。



でも。

ユノさんが嬉しそうだったから、…いいや。













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