2016_11
11
(Fri)00:00

Sweet honey #9












行く時は転げ落ちるようにして息を切らせた坂道が。
戻るとなるとその脚に鉛が括り付けられているみたいに重く感じる。

シウが言っていた事が本当だとすると…ユノさんは今はパリに居るのかな…

あっ、、さっきの受付の人に詳しく聞けば良かったのか、、、

けれど僕にはその気力さえ残っていなかったんだ。

そしてやっと事で店に戻ってシウの顔を見た瞬間、「パリコレっていつまで、、?」そう口にしていた………









「あまい…」

ユノさんに贈る為に作ったマロングラッセ。
最初はお店にも出そうと思っていたけど、それを辞めて自分の部屋のベッドの傍に置いた。

僕が作った物だと大体日持ちは10日前後。
シウからパリコレの期間は2週間程だって聞いたから…その日から毎朝起きると一粒ずつ食べていた。

煮詰めた栗は全部で15個、今朝食べたのが10個目になる。

今日待ってユノさんが来なかったら…残りの5個は捨てるつもりだ。

元々、作るのが好きなだけであって甘い物を食べるのは得意じゃない。
祖父はそんな矛盾した僕を困ったように笑っていたっけ、、、

子供の頃からあまり友達と積極的に遊ばなかった分、僕は家に帰るとは祖父のようにお菓子を作る事を好んだんだ。

年頃になってみんながゲームに熱中したり、異性に夢中になったり。
でも僕にはその変化が見られなくて、人と何処か違うんだって事は早いうちから分かってはいたけど。

男性に恋した時はそれなりに僕も悩んだ。

だけど初めての失恋の傷も、また新たな恋への葛藤も。
全て、お菓子作りに没頭する事で僕は乗り切って来れた。


今回も今迄と同じ…

このマロングラッセはユノさんが約束通りに来ますようにって願掛け。

でももし来なかったら、、、残りの栗と一緒に…ユノさんへの想いも……




「捨てられない、、、」

「…ヒョン?」
「シウ、僕……う゛っ、、」
「ヒョン!!大丈夫ですか!?」


シウの手元でホイップされた生クリームに吐き気がした。

限界、かな…やっぱり無理なんだ…

このお店にはユノさんとの思い出があり過ぎる。
今迄、絶対にお店にも居住スペースにも関係を持った人を連れ込んだ事なんて無かったのに、、、馬鹿な僕…

こうなるのを一番恐れていたのに……






シウは僕の容態を気にして帰ろうとしなかったけど、こんな状態でお店も開けられずにシウを保留するなんて意味がないから。
半分追い出す感じで帰って貰った。

何がパートナーだって話…シウにこんな仕打ちしておいて…

最低だな、、、僕は…


「ゲホッ、、」

流石に1本は胸焼けがする………それに眠いし…






近頃寝ても寝てない感じで、まともに睡眠を取れて無いもんな…
ユノさんがもしかしたらお店に駆け付けたりしてって…考えて…馬鹿な僕…

パリとの時差は8時間…

もうユノさんは来ないかな………








「………チャ…………ミン………チャンミン…」


…やだな。

妄想だけで済まないのか、、ユノさんへの僕の想いは…

幻聴までなんて……本当、、駄目だな……っ、、




「チャンミン!!馬鹿、何してるんだよっ!?こんなの原液で飲んだら…」









…ユノ……さん…?


本当に………ユノさんが……



…来た…の…?













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