オトコはツライよ #84

肉団子の餡を綺麗に舐め終わる頃、僕等のキスも深くなっていた。
いつもの流れでいくとそろそろ風呂場で抜き合う、、ってタイミングで僕から課長がいきなり離れた。
「ジェミンのはなしっ、、!」
…そうでした。
あんなに悩まされたのに、すっかり抜け落ちていた。
キス、恐るべし。
いや。課長が恐るべしか…
…ジェミン…か。
最後に目が合ったのはこの僕、課長はあの複雑そうな表情を見ていない。
思い出すとやっぱり胸がチクリと痛む。
罪悪感とも取れない、説明のしようがない感情。
課長は僕の物だからってそんな事は一度も思った事が無い。
だからこそ息子のテヤンにまで嫉妬するんだろうけど、、
「あのさっ。もう一回聞くけど…ジェミンの事、どう思う?正直に言っていいから」
…またか。何度も聞くって事は答えなきゃ終わりが無いって事。
それなら答えるしかない。
「別に…何とも思いませんよ。そんなに関わりがないから性格もよく知らないですし…」
いや、嘘だな。
先輩の口からジェミンの名前が出てから、僕の心は燻り続けていたんだから。
「……………そっか」
何だかその時の課長の背中が、一瞬ホッとして荷を下ろしたような感じがして。
後ろからキュッと抱き締めながら。
僕は…
「…嘘です。課長が居なくなった朝からずっともしかしたらって、、そればっかり考えて…喧嘩したらもう課長は他へ行くんだって….悔しくて悲しくて、、、」
やっぱり今日は駄目だ…
一度決壊したダムは堰き止めようが無いのと同じ。
僕の涙腺もおんなじだ。
ジェミンがキッカケで課長に対する不信感が募って、なのに簡単には嫌いになれない自分も居て。
結局は情けなくも最悪のパターンでその感情を爆発させた。
僕の不安が息子まで巻き込んで……っ
本当、父親失格…
「はぁ…、もう、、、好きっ!!」
僕がどんなに喉まで出かかっても泣きながらなし崩しに言うべきじゃないと思った言葉が。
ポンっと課長の口から飛び出して来る。
え、、泣いたら駄目なんじゃないの…?
「こんなに可愛い泣き顔をあいつになんか見せてたまるかっ、、」
言う事の割には、やる事は雑で。
「うっ、ひたい、、」
僕のほっぺを潰して、その状態でキスを迫ろうとする。
もう何が何だか、、
「……シム君が摘んでいいって言うから無断で摘もうとしたけど…やっぱフェアじゃないな」
つ、む?
「ジェミンはシム君が好きなんだ」
「・・・・・」
「はぁーーー、、何でそんなにモテんの?って俺がそれを一番よく分かってるんだけどさぁ、、」
「………え……?」
「え?」
「えぇ///??」
「ぷっ、この…人誑しめ」
チュッと唇を掠めるだけのキス…
えぇーーーーっ!!!
ଘ(੭´・J・)੭* ੈ✩‧₊˚みんな知ってましたよね。
(*∵)う、、うん?

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