オトコはツライよ #79

最悪の事態だ。
気が乗らなくても、冷蔵庫は空っぽの為トボトボと一人でいつものスーパーへ行くと。
惣菜コーナーにいる名物おばちゃんにこっそりと「彼氏と喧嘩かい?」と耳打ちをされ。
否定も出来ずに項垂れると、「仲が良い証拠さ、ほら元気だしな」って。
揚げたての唐揚げを手早く袋に詰めると、それをスーツのポケットに入れてくれる。
…いや、これ、、完全に万引きだから、、
それに匂いも移るし。
でも、おばちゃんの変な親切心が身に染みた。
あ、そう言えば、、彼氏って。
やっぱり…バレてんだ、、、///
レジでちゃんとお会計した唐揚げはまだ熱々だから、食料品とは別の袋に入れてもらい。
その匂いに少しだけ気分を上げ。
いざ、保育園へ……
案の定。
僕しかお迎えに来ない状況に、阿鼻叫喚の息子。
時々、課長だって出張とか飲み会とかでお迎えに来れない日だってあるけど。
そう言う時は前もって課長は息子に行けない旨を伝えてあったらしく。
今回は前置きが無くて突然、姿を消したから息子の中の不安が大きくなったのかもしれない。
「ゆにょ、、うえっ、、ゆにょ、、お、、」
はたから見れば、ゆにょしか言えない子だって思うだろう。
駄々をこねて帰ろうとしない息子を担いで。
スーパーの大きな袋を片手に、もう片方の手は息子を支える。
熱々だった唐揚げはとうに冷えていたけれど、食欲をそそる匂いだけは健在で。
息子に渡すと、泣きながらもしかっと小さな手に袋を握り締める。
流石、我が息子。
泣いてる本人には悪いけど、何だかほっこりさせられるな。
なんて…あの時はまだ僕にも余裕が残っていたんだ、、、
好物の唐揚げをも拒否って、ただひたすら課長の名前を喚き叫ぶ息子の根性に。
遂に…
「えっ、シム君、、どうしたのっ!?」
うえっ、、ぐす、って。
息子なのか、それを背中におんぶする僕なのか。
いや…多分どっちもだったな…
.
ジェミンが入寮している単身寮は、僕等の住んでいる社宅から少し離れた所にあって。
そこに辿り着くまでに、道行く人々の視線を感じながらも、でも僕はそんなのどうでもよくて。
正直、いっぱいいっぱい。
ジェミンの部屋から出て来た課長の顔を見た途端。
僕の目からは驚く程、涙が溢れ出して…
背におんぶした息子と二人、オロオロする課長と。
その奥でポカンと口を開けるジェミンの前で。
「ぼく、、だっ、て、、泣きたいのにっ、、ぼくじゃ、、だめだっ、、て、、ひっ、、く、、」
わんわん泣いたんだ。
部下の前でカッコ悪い、みっともない、そんな建て前なんて何処かに置き忘れてしまった僕。
こんなんじゃ本当に課長から呆れられるのも時間の問題かもしれない、、
「シム君、、落ち着いて、、」
「うっ、、うぅ、、っ」
課長がやっと僕に触れてくれたと思っただけで、また堰を切ったように泣けて来る。
いつ振り…?昨夜は甘える事も叶わなかったっけ、、
「一旦、、落ち着こう?」
「うぇ、っ、は、、はい、、」
言ってるそばから課長の両手が僕の頬に触れたもんだから、涙なんて止まるわけが無い。
その時、はぁ、…って溜め息が聞こえて、僕の身体は一瞬にして強張った。
課長に…嫌われる、、
ギュッて硬くなった僕の身体を柔らかくて温かい何かが包み込んで。
とめどなく流れる涙がそっと拭われる。
ゆっくりと開けた視界には。
もう課長の顔が間近にあって。
わんわん背中で泣き続けてる息子に配慮したようなチュッと軽いキス。
一瞬、だけど。
確実に、ジェミンには見えていた。
「ジェミン、、悪いけど、こう言う事だから」
おっ……?
おおっ、、///!?
(=^▽^)σ
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