オトコはツライよ #75

人間、深く付き合ってみないと分からない事って本当に沢山あると思う。
僕もまさかこうして男性を好きなるとは考えてもみなかった事だけれど。
課長自身もまた。
「俺って、結構嫉妬深いかも、、」
初めて自分の中に芽生えた感情を認識し始めていた。
正直。
課長から焼きもちを妬かれるのは擽ったくて嬉しい。
週5で先輩と昼は必ず共に食事を摂っていたのを、その内の2回を課長が自分を優先してくれと言い出して。
こじらせるかと思いきや、快諾の先輩に若干拍子抜けしたのは少し前の出来事…
あれだけ毎日一緒に居るのに、約束の日が待ち遠しいと思う。
そして今日がその日。
出先から直接お店に駆け付けると言う課長を、先に店で待つ僕。
昔ながらの純喫茶で、定評のあるランチメニューが本日の目的。
カラランと入り口の呼び鈴が鳴る度にドキッとそわっを繰り返す。
時計を見れば12時10分過ぎ。
僕の腹時計も限界をもう少しで迎えようとしている、、、
「ごめんっ、、お待たせ、、」
何処から走って来たのか、初夏の爽やかな風に乗ってその人はじんわりと額に汗を滲ませながら登場をした。
下手したら汗だくの暑苦しいサラリーマンは女性に毛嫌いされ兼ねないのに…
この人は何でこんなにカッコいいんだろう、、
「ん、どうした?…あつっ、、」
襟元のボタンをひとつ外して、ネクタイを指で緩める仕草なんて
「…堪んない、、」
「え?」
…やべ、、、心の声が出た……ッ
「いや、、そのっ、、」
「あぁ…、匂いが食欲をそそるもんな」
タイミング良く、厨房からチーズトーストのいい香りが、天井で回る扇風機に流されて。
僕等が座る隅っこの席まで漂って来ていた。
…ナイスタイミング、、、
「…そんなに腹減ってんの?」
えぇ、まぁって。卒のない返事でも返そうかとした口に。
ふわっと、一瞬何かが触れて………
「・・・・・え、、、///!」
いま、、いま、、き、き、き、、
ちえっ、て。
僕から離れた唇を尖らせてプイッとそっぽを向き。
「ご飯よりも、…俺が欲しいって言えばもっと可愛いのに」
て、、////
頼むからデカイ二人が観葉植物に隠れてますように、、、
休憩から戻ると、真っ先に隣の席の先輩が怪訝な顔で僕を見つめ。
「絶対に熱があるぞ」
と、断言をした。
課長の嫉妬の対象って、、どんな基準なんだろ、、、?

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