オトコはツライよ #70

濡れるから駄目だって、と何故か僕が課長にしがみ付いている息子を引き剥がすのに必死って。
一応、僕が父親なのに、、、威厳無しだろ、これじゃあ…
「ふふ、すっかりと取られちゃったわね」
「はぁ、…まぁ、別に…僕以外の人にも懐くのは良いことですから全然気にしてませんけど」
「そうね、確かにそれもそうだわ」
「そうですよ。子供相手に嫉妬とか、別に…そんなの無いですし」
「え?こども?」
「え??あ、え、、今って、、その…何のはなしを…」
「…ユノさんに自分の息子を取られて寂しいんじゃ無いかって話を………ぷっ、あははっ!やだ~チャンミンさんったらぁ~」
右手はお上品に口元を辛うじて押さえてはいるけれど、空いている左手でバシバシと僕を叩く。
そこに「どうした?」と義父が来なくてもいいってタイミングで割り込む。
…本当、この夫婦は、、
「もう若いって良いわね~って話をしてたの。は~ぁ、私達にもその幸せを分けて欲しいくらいだわ」
ぎごちないウィンクでその場を上手くおさめた気分の義母。
この人って、、前からこんな感じだったっけ…?
夕飯の前に取り敢えず濡れて冷えた身体と服をなんとかしなさい、と義母に急かされて。
気付けば課長と二人、脱衣所に押し込められていた。
ついでに。
「温かい夕飯が食べたいなら早く上がって来なさいよ~」と、何故か余計な一言まで。
「お先にどうぞ」
「エッ!一緒に入らないの!?」
「いや、だって…人ん家ですし…」
「うん、まぁそうだけど、別にここで盛んないよ、俺だって」
「ち、ちがっ…///!!!」
「はははっ!ま、じゃあお先~」
はぁーっ、、…完全に弄ばれてんな…
課長ってプライベートになると、本当にマイペースだと思う。
会社であんなにバリバリと仕事をこなせてる人と同じだなんて信じられない時だってある。
例えば、と言うよりか今まさにそれを痛感。
シャワーなげっ、それに鼻歌大きいし、、、
「おや」
「ワッ、!?」
「一緒じゃなかったんだね」
「あ…いや…その、、デカイんで一緒だとあれかなと、、」
「…………そうか、…はは、羨ましい限りだ」
…ん?
「何がです?」
「……ナニ、が。はははっ」
って、おいおい!勝手になんか誤解しただろ~~~、、
あ、逃げた…
「ん、どうした?」
湯上りホカホカの姿で事の経緯を知らない課長に、義父が用意してくれた服を無言で手渡す。
…確かに。
ナニはデカイよ、この人は、、、でもだからって、、
「んな事言うかーっっ!!」
「エッ!?何が!?どうしたシム君!!?」
「なっ//、、なんでも無いですよっ、!!」
「そう?」
「えぇ、、」
「まぁ、それならいいけどさぁ…ねぇ、この服ちょっと小さめだね」
「あぁ…まぁ僕等がデカイんで仕方ないですよ」
「うんうん、確かに」
はっ、、////なんかもう自分が…嫌だ、、、
デカイってキーワードを自ら口にして、目線が自然と課長の下に向くって、、
なんか、、なんか、、この家に来てから、、、
調子が狂う…………っ、、
そして、、
「あらぁ、ユノさんモテモテねぇ~」
相変わらず。
課長の膝の上を我が物顔でキープする息子であって…
我が子相手に嫉妬とか、そんな感情はないない。
そう心の中で落ち着かせている僕に反し。
「ん?これ食べたいって??じゃあほら、口開けて」
あーー、、ん、、ってぇ!!?
僕だってそんなのされた事無いのにぃ、、
んあ?何、ポンポンって…
…それは、僕の肩に優しく置かれた義父の手で。
まるで、『我慢、我慢』とでも宥められいるかのよう。
「いやっ///、、僕はそんなんじゃ…ッ」
「ん?シム君もこれが欲しかったの??」
食べる?ってアンタ、、、
…すっかりこの家の雰囲気に馴染んでんじゃないかよ…

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