2016_08
15
(Mon)00:00

オトコはツライよ #53






まぁ、、、胸を触られるよりはキスの方が僕もいい…

ん、って突き出された唇の感触はもう知ってるわけだし。


「じゃあ…キスで…」

はぁ…と溜め息と共に呟けば、課長はふっと柔らかく笑い返し。


「はい、宜しくお願いします」


それは茶化してるんだか、それとも本当に真面目な気持ちで言ってるんだか。

静かに目を瞑り、僕からのキスを待っている。



…って、いざかしこまってキスしなきゃいけないとか。

やたら緊張するんですけど、、、


キスは課長から仕掛けられる事が大半で、僕は大抵それを受ける側。

だからこうやってキス待ちの相手に自分から近付くのは何だか落ち着かない。


…と言うか。

妻と交際していた時だって自然な流れでキスをする事はあっても。

相手から「キスして」と言われてした事なんて無い。


だから、、、何だか変な感じなんだ。

主導権を終始握られっぱなしで、それなのに攻めに転じなきゃいけない違和感が半端ない、、

……はぁ、、、




「…開けて下さい」



「…………え?」

「目を開けて下さい」


僕の言葉に恐る恐る目を開けた課長は目を瞬かせ、「しないの?」としきりにアイコンタクトを送って来る。



…僕だって、オトコで。

流されっぱなしは癪だって、ずっとその想いが心の中で常に燻っていた。


だけど、、、いざ…どうぞって、言われても…何だか駄目なんだ…


課長から送られたアイコンタクトに対して、僕は言葉よりも行動で想いを伝えた。


目をそっと閉じ、少しだけ課長との距離を詰める。



「っ、」


課長はその行動の意味を直ぐに察し。

僕があれだけ葛藤した唇を、躊躇なく押し付けて来る。


課長にとってはキスなんて挨拶みたいなもんなのかな…

だけどやっぱり、……こっちの方がしっくり来る…


押し付けただけの唇が徐々に重なりあって、角度を微妙に変えるタイミングとか。

そう言うのも凄くスムーズ。


苦しくなって呼吸の為に唇を離した間に差し込まれる舌だって、自然な感じ。

他人の粘膜、しかも同性だって分かっていても課長のそれは全然嫌悪感がしないし。


…あぁ、悲しいけれどこれは認めざる得ない。


僕はやはり。

課長とのキスが好きなんだって…



そして、しいて言えば。

強く吸われた後に、労わるように絡まるのが良かったりする。

課長のは僕よりも薄くて柔らかいから、柔軟な動きで口内を掻き回す。


特に今日は何だか舌の動きが半端ない。


って言うか、、なんか長いし、、しつこい気がするんだけど、、、!?


女性はどうか知らないが、男性の身体は面白くて。

キス、しかも濃厚なやつを続けていると半身が妙な感じになって来る事があり。

まさに、僕はその妙な感じになりつつあったりしていて、、、


流石にまずいと思ったんだ。




「っ゛、、!!」


がっちりと後ろ頭をホールドされていて、引き剥がすには相当な力が必要だった。

だから申し訳ないと思いつつも、ぐいぐい攻め立てる課長の舌に少しだけ歯を立てた。


いでで、と口から引き抜いた舌からも、僕の口の周りにも、濃厚なキスの跡を残して更に僕の羞恥を煽るのに。

慌てて僕から離れた課長の下半身の真ん中辺りが平常時には有り得ない位に…アレで、、


思わず。

逃げてしまったんだ。





バクバクしながら息子の隣に滑り込み、ギュッ目を瞑っても目にした光景が焼き付いて離れなかった。


リビングに置き去りにした課長がその後、それをどうしたのかは。



…知らない。









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