2016_08
08
(Mon)00:00

オトコはツライよ #46






風呂上がりってのもあったし、ただ唇が重なったままってのもあったし…

口呼吸が出来ない分、どうしたって鼻を使って息をするしかなくて。

だけど、半分逆上せていた僕の方が何だか鼻息が荒いような気がして。

少し鼻息を抑えようとしたら急に呼吸が苦しくなって、、、


「んっ、ハァッ」


押し付けられていた唇を突き離す感じで思いっきり息を吸い込んだ。



その時。

またもやスーパースローモーションみたいに僕の目には課長の様子がゆっくりと映り込んで来て。

長くは無いけれどびっしりと生え揃ったまつ毛とか。

頬にくっきりと刻まれた傷痕とか。

端正な顔立ちを強調するスッと通った鼻筋とか。

そして…

僕が突き離した唇がふるんと揺れるさまとか。


一つ一つが僕の心をドキドキさせ。





「次は、ちゃんと息継ぎしてみて」


気付けば、一旦離れていった唇がまた僕の唇を捕らえる寸前で。


へ、息継ぎ…?


頭の中に疑問符が浮かんだ瞬間、柔らかくて滑りのある肉質的な物が口の中に差し込まれいたんだ。



「か、ち、..」

驚きで思わず唇を離すと、僕の後ろ頭はがっちりと課長の手で支えられていて。

一定の距離以上は離れる事が出来ない。


「なに?呼吸出来ない?」


聞いてるそばからまた口の中に舌が入って来るから、僕はただ横に首を振ったけど。

それなら問題無いとでも判断したのか、遠慮がちだった舌が徐々に大胆さ見せ始め。

中を掻き回すだけだった動きから確実に僕の舌を絡めようとするものへと変わり。

舌と舌を通して、その柔らかさとか、厚さとか、質感とか。

ダイレクトに、、、伝わり過ぎて、、、


「ん゛っ!!」


キスだってかなりのハードルだった。

なのに、それをやっと飛び越えたと思っていたらのこの展開で。


正直、、正直、、、



「…どうした?上手く息継ぎ出来ない?」


や、、本当、恋愛初心者じゃないんだし

馬鹿にしてんのかって、、言いたいところなんだけど、、、

今はそんな余裕も無くて…



「まだ、、」

「ん?まだ??」
「…気持ちが…ついてかないんですよッ!!」



ガツガツすんな、ばかっ、、、!

って一言は何とか飲み込んで、口から出たのはこれだけ。


だけど、言われた側の課長は一瞬何の事だかさっぱりな様子で。

僕の頭をがっちりと支えながら、物凄い至近距離でポカンと惚けていた。



そしてその後、僅かに聞こえた「ごめん」の謝罪を残して。

課長は僕の頭から手を外すと、いきなりトイレに駆け込んで行ったんだ、、、



…ハッ、まさか!?


と、思ったら課長は意外にも直ぐに出て来て。


「本当ごめん!今、頭冷やして来たから」


って。



流石に、抜いてなかったか…

って、いやいや、、、


「怒った、、、?」

恐らく真っ赤な顔をしていた僕を怒っていると勘違いをして。

課長はあからさまにしょんぼり。


だから僕は慌てて否定するつもりで首をまた横に振ると。



「…じゃあ、気持ちがついてくるように沢山しなきゃな」



って。


ポジティブ思考の末恐ろしさを僕はこの身で実感する事になった。








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