2016_08
07
(Sun)00:00

オトコはツライよ #45






流石に。


保育園から社宅に向かう間も僕の様子が変と言うか、いつもと違う事に課長が気付かない訳がなく。


「どうした、具合でも悪い?」

これもいつものお決まりパターンみたいな課長の気遣い文句。

けれどそれを丁度、空っぽになった二つのお弁当箱を洗っていた時だったから尚更というか、、、


「あの、、」「その……」

なんて言えばいいのかと、もじもじするばかりで上手く答えられない僕に対しても課長は優しく「ん?」と目を細めて見つめるばかりで。


そんな風に見つめられたら。

色々溜め込んでいた感情が遂に決壊、一気にドドドッて





「き、す…したくて、、、」




で、溢れ出た言葉がこれだった。






突然?理由は?今?



恐らく課長はこんな疑問が湧いて驚いたに違いないって。

発したそばから、はたと我にかえる僕。




だけど。

僕のそんな唐突な願いに対し、課長の反応は………


いつもなら僕がキッチンで夕飯の支度をしている間は、息子と課長はリビングで遊ぶのに。

無言のままキッチンを去った課長は言葉巧みに息子をお風呂場へと誘い。

入ったら入ったで、物凄く長風呂をし。

先に出て来た息子は少し遊び疲れてくたびれ気味で。

たっぷりと遊んだ為に夕飯は普段よりも食が進み。

お腹が膨れてからもまた息子は課長と遊んでとせがんでも、その元気はみるみる内に失われていくのが顕著だった。


案の定、いつもの就寝時よりも30分早く息子の瞼は重くなりそのまま課長と共に寝室へと消えて行き。

数分も経たない内に、「ぐっすり寝た」と言いつつお風呂場に行こうとしていた僕の腕を引き止めた。


「お待たせ」


って、、それこそ唐突に……

次の瞬間、僕は思わず盛大に噴き出してしまっていた。


だって、今までの課長の動きで薄々とその行動の意図するところを感じてはいたものの。

明らかにそうだったんだって分かってしまえばただ可笑しくて。

アハハッと声に出して笑う僕に対して課長は怒りもせずに、終いには僕につられたのか同じ様に笑い出し。


「ははっムードも何も無いな」

「ホント、、ですよ、あはっ、、」


笑いはクスクスと小さくなりながらも涙が出てしまう僕に課長が指でその雫を掬い取る。


本当、ムードの欠片も何も無いんだけど。

それでこそ僕らだって、思うんだ。


だから



「…好きなんですよ」




言い逃げ。

やり逃げ。



ただ唇を押し付けただけだけど、これも立派なキスのうち。

さり気なく言えたつもりだったけど。

やはり面と向かって言うのは恥ずかしくて、そのまま速攻風呂場へと僕は逃げ込んだ。



だけど。

風呂場で自分のした事を振り返る方が、拷問に近い羞恥だったって事を僕は知り。

そして結局、半分逆上せて出て来た所を待ち構えていた課長によって。


長い長い長い…キス…




「散々待った分の補充」



だってさ、、











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