2016_08
06
(Sat)00:00

オトコはツライよ #44







僕のしたい時って……?



一体いつなんだ。





朝、目が覚めて息子の幸せそうな寝顔を見れば愛おしくて思わず頬に触れたいとは思うけど。

その息子の隣で同じ様に寝ている課長を見ても、その顔に触れたいとは思わない。

髭も濃いし、歯磨きをしていない寝起きの唇なんて雑菌だらけで最悪だ、って感じ。


寝起き、絶対に無理。



じゃあ出勤前のチュウか?


それは息子の目があるから更に無理。






「…ふぅ、」


折角のコーヒータイムも今朝は何だか雑念ばかりで気が休まらず、後味の悪いままでキッチンに入った。

けれど、今日は朝食に加えて月一の息子のお弁当作りもあり。

もやもやした雑念はいつしか卵焼きやパンダのおにぎりへと変わっていったんだけど。

ちっちゃなお弁当箱に詰められる量は決まっていて。

収まり切らなかったおかずが結構残っている。



上手く出来たのに、…勿体無いな。










昼休憩になると大体僕は隣の席の先輩と外食するのがお約束ごとになっていて。

その時間が訪れるとどちらからともなく席を立って会社を出るまでに何を食べるかを相談するんだけど。

課長は日によって誘ったり誘われたり、色んなメンバーと、やはり同じように外へと出掛けている。



でも…

今日は誘われる度に頭を横に振って、お断りのポーズを見せていた。

それを視界の端で捉えていた僕は何だか居た堪れずに。

まだデスクの上を片付けていた先輩を急かしてフロアを後にした。

先輩は僕が空腹になると機嫌が途端に悪くなるのを知っているから、恐らくそれだろうと思ってくれているに違いない。


機嫌は、悪くは無い。

寧ろ。

機嫌は良い方だと、先輩には敢えて言わないでおいた。



だけど。

外で昼飯を済ませて、フロアに戻ると課長と支店長が仲良く談笑なんかしていて。

二人揃って僕を見るなり同じような菩薩笑顔で迎えるから。

僕の居た堪れ無さはMAXで。


結局、そわそわは午後もずっと続く事になってしまった……









「もう、、その顔本当止めてくれませんか!?」

「え?なんか変?」
「…無自覚か、、、」
「え?え??」



今日は買出しは無いから、園に直行。

その道中も課長は終始ニコニコ顔を止めようとしないから。

恥ずかし過ぎて止めてくれとお願いをしたのに、それは無自覚だと知ると。

もう何も言えない訳であって、、、





園に着くと、息子の担任の先生から持たせたお弁当は完食だったと嬉しい報告を受ける。

そんな息子に対して「残さずに食べて偉いね」と言葉で褒めながら、軽くハグをしてあげたんだ。

すると、息子の身長に合わせて屈んだ僕の横に。

同じ様に課長も腰を屈め。



「俺たちしか知らないけど、世界で一番美味しいお弁当だったもんな」



だなんて、息子はまだ"世界一"とか意味が分かるわけないのに内緒話をするみたいに囁いていた。






その時、僕は堪らなく熱望したんだ。




キス、したいって。



眩しい笑顔の課長に…そう思った。










にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村



関連記事