2015_03
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(Fri)00:00

君ヲ想フ…君のいない夜…29

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チャンミンを迎えに行くと
キュヒョン君からチャンミンから伝言を受けたと言われた

「僕達が出会った場所で待ってる」

その一言でチャンミンが自分との出会いを思い出していた事を知った

あの場所に行くのは何か年振りなんだろう…







外回りから戻ったミンジが表情を暗くして

「ごめんなさい、私…余計な事を話したわ」

申し訳なさそうに何度も謝る彼女を俺は責められない

いつかチャンミンに伝えなければならないと分かっていた事なのに

それをずるずると後回しにしていたのは

臆病な俺の所為だ



今の幸せがまるでまだ夢の続きのようで

その穏やかな時間から目を覚ましたく無かった



けれどそれは俺のエゴ

残されたチャンミンはどれだけ寂しい思いをするだろうか

そんな事を今更後悔してるなんて…

自分の事ばかり考えていた自身を殴り飛ばしたかった





チャンミンの待つあの場所へ向かう間

ふと昔を思い出していた



チャンミンの想いに蓋をしてから

大学での4年間、生きる目標を失った様に

ただ毎日、何となく時を過ごしていた


そんなある日

教会で牧師をしている父に呼び出され

見合いの話を薦められた



幼い頃に母を失ってから父は男手一つで俺を育て上げた

だから息子の将来を思って縁談を考えたのだろう

けれど頑なに受け入れない俺に

納得する理由を話してみろと父が言った



理由…

それはやっぱり心の何処かでチャンミンへの想いを捨て切れずにいるからだと思った

言いあぐねている俺に父は諭す様に

「牧師では無く、父親の立場でお前の気持ちを聞きたい」

そう話す父の顔が穏やかで優しく

俺はポツリポツリと心の内を話し始めた


初めは黙って聞いていた父が背中をさする様に俺に触れて来た

自分でも気付かない内に涙を流しながら話をしていたんだ

そんな俺を見て父は

「涙を流す位に好きなのにどうしてその想いにお前は蓋をしなきゃいけないんだ?」

その言葉にハッとした

チャンミンの事を思って蓋をしたつもりでいたのに

それでも褪せる事の無い想いに気付かされた瞬間だった

「お前の想いを彼に伝えてからでも次に進むのは遅くはないだろう?一生後悔の念を抱いて生きるのはとても辛い事だ」

父の言葉に心が救われた



それからまた俺はチャンミンを待ち続けた

毎年、毎年、チャンミンに会えるのを待ち続けたんだ









懐かしい景色が目に入る


夜空に舞う花びらの中に

佇む妖艶な美しさ


「チャンミン…」


頭上に輝く淡い花にも負けない

柔らかな笑顔



「おかえり」


両手を広げて俺をそっと包み込む


「どうして…」

俺を責めない…






「ユノ君、また2年後…ここへ2人で来よう」







俺が待ち続けていた言葉

チャンミンが果たしてそれを口にしてくれるだろうか

その不安が常に胸を締め付けていた


「ユノ君が僕を待っていたのに比べればあっという間だよ」

自分だって寂しい筈なのに俺の配慮なんて…

優しく背中を撫で下ろす手に

チャンミンの愛の深さが伝わり

熱いものが込み上げる



「ユノ君…帰ろう」


手を繋いで帰る道のり

チャンミンの穏やかな横顔を見つめていた





その夜

静かに肌を重ねた


ひとつひとつ

自分の中にチャンミンの記憶を残す様に

丁寧に愛撫を交わして

互いに熱を吐き出した







2人で一つのブランケットに包まりながら

眺めた夜空を俺は記憶に刻んで


チャンミンと共に


朝を迎えた

















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