2016_08
02
(Tue)00:00

オトコはツライよ #40






会社の皆と別れた場所から社宅までは一応、徒歩圏内の距離だった。

だけど明らかに今の僕らは結婚式帰りの格好をしていて。

それでなくても結構目立つ二人なのに、、、


「離して下さいよっ、、」
「やだ」
「は、?やだって…」

アンタは子供か?

その言葉は絶対に飲み込んだ筈だったけど、「子供みたいな奴でごめんね」と。

振り返ってニッと口の端を上げて笑った課長に対して、色んな意味でドキッとした。


…もしかして…同じ釜の飯、同じ生活リズム…思考も段々と似てくるって事か…?


結局、社宅の僕のウチまで課長は腕を離す事なく歩ききり。

普段、会社帰りのパターンの様に家の鍵をお互いに開けて一旦は解散するんだと思って。

僕は課長に背を向けてガサゴソと鍵を探していたら。

いつもなら後ろからも同じ様に鍵を開けようとする音が聞こえる筈だったが、何故がそれが聞こえずに。

ん?と、振り向くと意外と近くに居た課長に驚いた。


「鍵失くした?」

バッグに手を突っ込んだままで固まる僕を見て課長はそんな事を言うし。

「いえ、、ありますけど…あの、」
「うん?」
「一旦着替えに行かないんですか、、」


と、聞き返せば。

「あぁ、うん。まだこのままでいいや」

とか。



まさか、いやいや、、

変な妄想が僕の頭に浮かんで、すぐさま"無い無い"と打ち消す。






「シム君……」

玄関の鍵を開けて先に中に入った僕に続いて課長も入って来るなり、後ろからの。


熱い抱擁。


「…どうしたんですか突然、、、酔いが回りましたか…?」


「いや、酔ってないよ。俺は乾杯の一杯だけしか飲んでないから」
「…そう、でしたっけ、、」
「うん、そうだよ。シム君、それよりもこっち向いて?」

酔ってないって言いつつ、耳元を擽る吐息には熱が篭っていて。

バッグハグからくるりと向きを変えられる間も無意識に僕の身体は緊張感で強張っていた。



「シム君…」
「はい、、」
「あんな事言われると…俺、惚れ直すからさ、、」
「っ、、」


課長から受ける熱い抱擁は、僕の身体を少しだけキツく締めた。




…二次会からの課長の不審な行動に。

心当たりは、、、ある、、







数時間前、お祝いムード一色の円卓にて。

またも懲りずに支店長が僕にもそろそろお見合いでもどうか?と切り出して来た。

支店長と僕の間に挟まれた課長の顔が一瞬強張ったのも視界の端にちゃんと捉えてはいて。


それを全て分かった上で、一呼吸置いてから僕は言ったんだ、、、



『御心配して頂いて大変有り難いんですが。実は課長が息子と僕にとても良くしてくれていますから、今はまだその必要性を感じていませんので…』



僕はこんな風に支店長へ考えを伝えて、一応は断ったつもりでいたけれど。

当の支店長はそれをどのように解釈したのかは謎であり。

縦の関係がしっかりしているんだな、といたく感心していた事だけは確かだった。


縦、っていうか…家と家の横の繋がりなんですけどね、とは言えないから。

恐らく引き合いに出された課長が気不味いだろうと、気掛かりで横をチラッと見たんだけど。



口元を手の甲で隠して。

それで破顔を隠していたつもりらしく。

支店長から顔が赤いぞ?と指摘される程に顔を赤らめていた課長。


それを目撃した僕の方が驚愕だった。



いやいや、、そんなに露骨に照れなくっても、、、



課長のが伝染して、僕まで当分顔を上げる事が出来なかった、って事があったんだ…











にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村


関連記事