2016_08
01
(Mon)00:00

オトコはツライよ #39






甘い目覚めなんてものは期待していなかったけれど…



「ちょ、、、どうしてアラームをセットしておかなかったんですか!?」
「いやっ、、シム君がいつもそう言うのはきっちりしてるから、つい…」
「はぁ、、なんで…僕だっていつもはセットしてますよ…でも、、なんで止めたんだろう…」
「仕方ないって、無意識に止めたんなら責めようも無いし」
「ムッ、、課長には責める資格もありませんけどね!?」
「あーぁ、分かったって!それよりも今は口よりも手だろ?」


確かに、口ばっかり動かしていても肝心の手を動かさなければ支度が進まない。

一時休戦じゃないけど、こう言う時は阿吽の呼吸と言うか。

今やるべき事に集中するように、課長は直ぐに自宅へと戻り。

僕も酷い寝癖と格闘する為に洗面台と向き合う。


口喧嘩を強制的に終わらせてから10分足らずでほぼ揃って玄関の外に飛び出した二人。


さっきまではお互い酷い格好だったのに、数分で見違えたそれぞれの顔を見て。


どちらともなく「ふ」っと笑みがこぼれ出る。



こんな所が、あぁいいなって思うんだ。


男同士だからこそ、さっきのいざこざも綺麗さっぱり水に流せるんであって。

相手が女性なら、こうはいかない。

恐らく、支度が先に整った僕はまだ終わらない女性に対して苛立ちが募るんだろうし。

そこで文句の一つでも言おうものなら、これからのおめでたい席でもその女性は臍を曲げたままを突き通すだろう。


幸せな気持ちをお裾分けして貰いたいのに、残るのは"寝坊して、遅刻ギリギリで喧嘩した"そんな記憶だけ。


寝坊しても、喧嘩しても、やはり課長がいい…



「なに?なんか俺の顔が可笑しい?」


「いえ、…」
「そ?じゃあなんで笑ってたの」
「それは、、」
「うん?」

「……今日は一段と素敵だなって思ったんですよ」


「・・・・」




お祝いで少し浮かれ気味に、素直に思った事を口に出してみたのに。

課長の動きがピタリと止まる。




だって…


式場では、今日の主役の二人よりもほこほこ笑顔の課長が。


僕には輝いて見えたんだ。















式の後に用意された二次会は、若い二人の友人達がメインの為。

会社の者だけで別の店へと流れようと言う話がついていた矢先の事だった。

さほど酔った感じは見られなかったのに、突然体調不良を訴え出した課長が僕に助け舟を求め。

周りは既に高揚感に浸っていて、上司の危機は部下が救わねば!みたいなムードで僕を押し出す始末。

なのに。

当の本人はタクシーを捕まえる為に大通りに出た途端、ケロリとした顔で僕の腕を掴んで歩き出す。



「は?仮病!?」
「そっ、こうでもしないとシム君をあそこから連れて帰れないでしょ」
「えっ!!課長、、本当にこのまま帰るつもりなんですか!?」

「そうだよこのまま真っ直ぐウチに帰るよ。だってシム君が、」




"悪いからね?"




その言葉に心当たりが、あるには…ある。




そんなに飲んでないのに引き摺られる足先が縺れそうで。

転けないように必死に歩く僕を。



握る腕は、、熱かった。










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