2016_06
27
(Mon)00:00

オトコはツライよ #21






「ごめん、やっぱり俺…」




僕を後ろからハグをする課長。



「ちょ、、」

「やだ」



「いや、、っ、、」

「無理」



逃げようともがけば、絡み付いた腕がぎゅうぎゅうと身体を締め上げる。



「っく、、あの、、、」

「シム君」



熱い吐息が鼓膜を擽る。


プチッ




「うらぁッ!離せこのっ、、馬鹿ぢからっ!!」



「うわっ!」



僕の堪忍袋の緒が切れたと同時に。

突き飛ばされた課長は後方で思いっきり尻餅をつき。

僕はハァハァと肩で息を吐きながら。



「身体が千切れたらどうするんですか、、アンタにはもう本当、、付き合い切れないです……!」


課長が強く抱き締め過ぎた所為で、僕の身体はビリビリと痺れが走り。

恐らく腕なんかは痣になってる部分もあるかもしれない程で。

痛みで怒りに震えた僕は、遂に課長を素で"アンタ"呼び。


頭に血が上って、真っ赤な顔をしているであろう僕と。

へたり込んだ課長は両極だった。


顔面蒼白。

まるで、この世の終わりみたいなそんな感じで僕を見上げている。



でも。

僕は決して課長に手を差し伸べたりはしなかった。








バタンッと。

自宅の玄関のドアを閉めて、ずるずるとその場に座り込んだ。


この家に課長の気配は無いのに、ズキズキと痛む腕から熱さが込み上げて。

長い溜め息が思わず口から漏れ出た。



そんな僕を息子が心配して近寄り。

「何でもないよ」

そう言って、頭を撫で回して息子の不安を打ち消す。




何でもない、そう、何でも無いんだ。


初めから何でも無い…


痛むのは身体よりも、もっと、深い部分にある気がして。

それ以上考えたら、自分が壊れてしまうんじゃないかと。

恐怖感に襲われた。











あくる日、課長はシルバーフレームの眼鏡を掛けて出勤をし。

挨拶をしても。

前のようにふんわりとは笑わなかった。










…あぁ、もう。


だから嫌だったんだ。


自覚したらどうなるか。

そんな事。

充分、分かっていた。





仕事が手に付かない程。


頭ん中は







………アンタの事ばっかりなんだよ、僕は。
















「僕だって、男なんです」

「…うん?それは…分かってるけど、、」




分かってない、全然課長は分かっていない。

僕がどんな気持ちで、このシルバーフレームの眼鏡をアンタから外そうとしているのか…




これ以上関わるのは怖いのに。

けれど、放っておけもしない。




だって……笑わないと幸せになれないんだろ?

笑わない原因が僕にあるのに。

それを無視し続ける事が。





結局、僕には出来なかった。













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