2016_06
26
(Sun)00:00

オトコはツライよ #20







「こ……う…い…?」


この状況下で、言われた言葉の意味が直ぐには理解出来ず。

反芻しながら固まってしまった僕を、課長は少し眉を下げて見つめていた。



「そ、好意。俺もさ…最初はこんな気持ちに戸惑ったって言うか…」


「え、、ちょっと待って、、、」
「ん?」


いやいやいや。
…何だかおかしいぞ。


最低の男から好意って言葉も変だし。
その意図もあれだけど、、


この人、何を言う気だ?



「あの…」
「うん」
「好意を持たれるのは部下として有り難い話なんですけど…」
「あ、ごめん。そっちのじゃないんだけど」


じゃあどっちの、だよ。

って、やっぱり絶対におかしい……




「か、、課長…今日は…」


「シム君!」


ひっ。

「……はい」




「俺さ、シム君が言う通りに凄い最低な奴だよ」

「……はぁ」

「離婚して、夢も希望もなんにも無くなった時に。君を見て、俺よりも可哀想な奴って思ったし」

「……そうですか」


改めてもう一度言われると、正直傷付くんですけどね。


「でも、実際接してみたらシム君は全然可哀想な奴じゃなくて。仕事も家の事も、それに育児も全部一人で抱え込んでいるのに悲壮感とかも無くて」


そう、かな…?へぇ。


「気付いたら…俺、そんなシム君の事をぎゅってしたくなってて」


ん、…んん!?


「ぎゅってしたらしたで今度は何て言うか…」




「ちょ、、ちょっと…待って下さい、、」
「いや!最後まで言わせて!!」
「いやって…いやいや、、言わせませんよっ」
「何で」
「なんでって、、そりゃだって…何だかおかしいでしょ…」
「何が」
「なにがって…それはその……話の方向が…変ですよ…」


変だろ。

これ以上は駄目な気がする…




「…変か。だよね…俺も結構悩んだんだけどさぁ…」


あー、もう。
…まだ続ける気かよ。



「あの、、もう戻らないと息子が心配しますんで…」
「あぁ、そっか。うん、分かった」


ホッ、良かった。


「じゃあすみません」






「待って」




背を向けてドアノブに手を掛けようとした所を呼び止められ。


僕が振り向くのが先か、それとも。



伸びた腕が先だったのか。






「やっぱり…独り占め、したい…よ」





僕には分からなかった。














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