2016_06
25
(Sat)00:00

オトコはツライよ #19








夢現つで男の懺悔が子守唄のようでもあった。




『…妻を喜ばせたくて、前々から計画していたんだ…だけど…結局は一人で虚しく…バカンス…ってさ

もう何もかもが嫌になって…全て放り出して辞めようって…そう思ってた…

でも…君が来て、あぁ…隣なんだって…

自分よりも可哀想な奴が…いるじゃんっ…て…




ごめん、俺はそう言う奴だよ…』








目が覚めても、まだその懺悔の主は僕のウチに居て。

しかも、息子の隣で寝ていたんだ。


昨日ずっとおかしかったのは風邪の諸症状で。

熱は一気に上がって、そして今は緩やかな下降線を辿っている。

まだ気怠さはあるものの、動けなくは無い。




僕に聞かせるつもりで言ったのか、それとも自己満足の懺悔だったのか。

しっかりと記憶に残してしまった僕の気持ちは、どうだ。


複雑だ。






…だけど、腹ただしいのに。

心底憎めなかった。







そして、目が覚めた課長に投げ掛けた僕の一言は。




「本当は…"俺"って言うんですね」


だった。




それに対しての課長の返しは、ただ一言。


「…うん」



だけ。






馬鹿にすんなよ……











幸いな事に、課長は厚顔無恥ではなかったようで。

会社では普段通りに上司と部下の関係を保ちつつも、プライベートでは一切僕には関わろうとしなくなった。

僕もそれで良いと思っていた。



人生のどん底で、僕を見下して上昇した。

最低な男。



そんな奴に関わって、結局僕は幸せを奪い取られたんだ。






そうは思うのに。

…そうは…思う…のに…





支店長の口から、課長がお見合いの話を蹴ったと愚痴られた時。



僕の気持ちは…………










「…どうして」




「え?」



「…お見合い、断るんですか…」




関わらなきゃいい。

これ以上関わっても、良い事なんて無い。





そうは思うのに。

…聞けずにはいられなかった。






「…シム君を、幸せにしたく無かったから」



ほら、聞いてもこれだ。

本当に…最低な、男……

聞かなきゃ、、良かった…







「……最低です…ね…」







課長は大袈裟にも取れる程の溜め息を吐くと。






「でも、…これでもさ、一応…好意なんだ」






そう、言ったんだ。


僕は初めて足を踏み入れた、課長の玄関先で固まった。










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