2016_06
21
(Tue)00:00

オトコはツライよ #15







甘えても…ねぇ


いいのかな…?





無垢な息子の寝顔に問い掛けても、勿論答えは返ってこない。




『返事は明日聞く』



言い切るなり自宅へと課長は帰ってしまった。


確かにもう状況的に、頼るならこの社宅の人達に限られるけれど。

でも、なぁ。


課長だぞ?上司だぞ…


近頃はすっかりウチに馴染んで来ていて、時々その関係性を忘れがちになっていたのを。


確かに、否定は出来ない。



どうする…どうするよ、僕…

















朝、登園の時間に間に合うように玄関のドアを開けた所で。

課長が腕を組んで壁に凭れていた。


あ、もしかして僕を待ってましたか…






「課長、昨夜の件ですが。お言葉に甘えさせて頂きます…」


うっかりと挨拶よりもそれを先に口に出したら、課長はパッと表情を明るくし。

僕と手を繋いでいた息子を腕の中に収めこんで歩き出した。

息子に聴かせる為なのか、それとも自分の気分を表しているのか。

鼻歌なんかも歌って。





…子守りがそんなに嬉しい事か?












「今日、やたら笑顔でしたね」



他の社員達も何か良い事でもあったのかと、課長に尋ねていたのを知っている。



「まあね」



「…そんなに嬉しかったんですか?」
「はは、まあね。正直、凄く嬉しかったよ」
「そうですか、息子も課長の事は好きみたいなんで助かってます」
「うん?」
「え、?課長は息子の子守りが好きなんじゃないんですか?」
「あー・・・まあ、ね。子供は好きだよ。でも…嬉しかったのは」
「はい」




「シム君が、甘えてくれた事。かな?」





かな?が、やたら満面の笑み過ぎて。

僕は思わず固まって動けず。



課長も流石に照れた様子を隠せずに、黙々とそのまま買い物カートを押し出した。




あぁ、気まずい。




男二人が赤面して一緒に買い物をしてるって。

どんな関係性だよ、…全く。





僕はレジに並ぶ前にいつもの銘柄じゃないビールを二本取って買い物カゴに入れた。

別に、気分が良いからじゃない。

たまには贅沢をしたっていいと思っただけ。



別に…

心がふわふわと浮いていたわけじゃない。








いつもなら「飲まないよ」って、とうもろこし茶で満足する課長が。

その夜は、手渡したビールを素直に受け取った。



半分程飲んだ所で、頬を赤らめて恒例の甘えタイム。

気の所為か、僕の髪を梳く課長の目が潤んでいて…何だか艶っぽい。

これじゃあヨシヨシじゃなくて、サワサワだろ?


そして。

次はバッグハグ。



…の、筈が。




「ウッ」




そのまま前から抱き締められる。


熱を持った頬が。

吐く息が。

僕の首筋を擽って変な感じ。


おかしい、、おかしい……、、、




男相手に変な動悸がする。




「課長…」


「ん、、?」






「ご馳走様でした…」




そうそう、あのちょっとお高めのビールも。


課長の支払いだった。




ハグ越しに見えたビール缶のお陰で冷静になれた僕。



なのに。







「あのさ…前からするぎゅってのも、いいね…」




だなんて、アンタ。



…何考えてんだか、本当に分かんねぇな。

















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