Feeling 戯れ

※本日は諸事情により、こちらをお送りします。
関連作はFeeling 前編ここで飛べます。
時系列としてはおまけの後くらいの設定です。
「あぁ、分かってる。ん、…何だよ」
「いや、行ってらっしゃいのお見送りとかあったりすんのかなぁーって思ったんですけど」
「馬鹿か。んなのねぇよ。あっちも仕事してんだ、わざわざ来るわけが無い」
「はは、そーすね。たかが一週間会わないなんて、ラブラブなお二人には別にどうって事無いですもんね」
「…あぁ、たかが一週間だ。今生の別れじゃあるまいし。馬鹿な事ばっか言ってないでお前こそちゃんと仕事しろよ?」
「へーい、分かってまーす」
…ったく。
出張中にトラブって泣き付いても俺は知らねぇぞ。
あれで仕事も出来たらもう少しは可愛がってやんのに。
悪いが仕事も出来ないのに軽口や大口を叩く奴には俺は頗る冷たい男だ。
…それに比べて、愛しの恋人はどうだ?
容姿は勿論、申し分無し。
加えて抜群に仕事も出来るって、どうよ。
昔は愛想も糞も無く、全然可愛気の無い奴だったのに。
俺と付き合うようになってからの変貌振りに周りはただ驚きの連続らしい。
初めこそ、カミングアウトなんてする気の無かった俺も。
チャンミンに付き纏う女性共を排除する為に止む得ずにゲイである事を告白した。
だが、まだチャンミンと正式に付き合っているとは公表していない。
そんな俺に対して「ユノさんは経理のあいつと付き合ってるんすね?」なんて真っ向から聞いてくんのは後にも先にも。
あの頼りないアホな後輩だけ。
飲んだ席とはいえ、俺はそれに対して「あぁ、そうだ」と答えた。
だから俺達の関係を知っているのは一応、一人だけって事になっている。
しかし。
牽制のつもりでゲイの俺がやたらとチャンミンの周りをうろつけば。
排除した筈の女性共は遠巻きに更に熱い視線を寄越すようになっていた。
逆、効果だったか?
しかも。
あろう事か、同僚達があのチャンミンの柔らかい笑顔に頬を染め上げ。
俺達営業マンの作り上げた営業スマイルなんぞ到底敵う筈の無い天然の微笑みに。
皆、翻弄される始末だった。
…そんなチャンミンを置いて一週間?
誰が放っておくかよ。
【今夜出掛けんなよ】
カトクで送ったメッセージは直ぐに既読が付いた。
【分かりました】
数分もしない内に返って来たメッセージを確認して、漸く目蓋を閉じる。
今夜か。
久し振りに乗ったKTXは俺を適度な揺れで眠りの中へと落として行った。
『…なぁ、入ったか?』
返事は無かった。
その代わりに途切れ途切れに吐き出される息遣いに。
まだその最中である事を知る。
俺の言い付けをちゃんと守ったチャンミンに、嬉々として電話をしたのは一時間前の事。
先ずは飯を食べ終わってるか、風呂は済んでるか。
それを確認した辺りでチャンミンは突如言葉数を減らし。
『脱げよ』
そのひと言に、予感的中と言った感じに絶句した。
案の定、嫌です、脱げよの応酬。
暫くして結局チャンミンの方が折れ。
下着まで脱いだ時点でスマホをハンズフリーに切り替えさせた。
俺はホテルのベッドの上に寝そべりながら、頭の中でチャンミンの部屋を思い浮かべる。
何処に何があって。
今、チャンミンがどんな状態であるのかも。
目を瞑り、耳に当てたスマホに意識を集中する。
初めに中指を口に咥えさせ。
どんな味か、濡れ具合等。
チャンミンの僅かな緊張を聴き取りながら受けるその報告だけでも、俺を充分に昂らせる。
指をしゃぶりながら、段々と鼻息を荒げるチャンミンを揶揄すると。
少しだけ拗ねた声を上げたが、それでも行為を止める素振りは見せなかった。
…チャンミンも、まんざらでも無いって事だ。
次に、しゃぶった指で胸の先端をなぞる事を命じた。
唾液の滑りが無くなったらまたしゃぶれと言い付ける。
そして、『下は今どんな状況だ』と聞けば『…勃ってる』と答えた。
『じゃあ次はしゃぶる代わりにその先っぽから出てる液でなぞれ。あ、勝手に握んなよ』と。
答えは無く、暫くして長く吐き出した吐息がスマホから漏れ出した。
握る事も許されずに、先端の滑りだけを掬い取って乳首に塗り付けている姿を想像して滾った。
自分の下半身の膨らみに気付いた時にはそこは痛い位に張り出していて。
前を少しばかり寛げようとスマホから耳を離そうとしていると、か細く。
『…つぎ…は…』と、チャンミンが啼く。
すかさずに俺が『好きにしろ』と言えば。
気の所為か、安堵の溜め息を漏らしたように聴こえ。
『けど、前は触んなよ』
制約を打ち付けられて、再び絶句したチャンミンだった。
好きにさせてからスマホから漏れ出す水音が増し。
チャンミンが自らローションを使い出した確信を得て。
俺は口元の笑いを堪えるのに必死になった。
元々、俺とは違って真性のゲイじゃなかった筈のチャンミンがなぁ…
今はこのザマだ。
一人で快楽を求めて尻を弄ろうとしているだなんて。
『わらって、、ませんか、、』
荒い吐息に濡れた声。
思わず口の内側を噛んで。
『笑って無い。で、何本だ?』
声のトーンを抑えた。
『に、ほん…です…』
もう、そんなにか。
でもまだだ。
『俺なら?』
『………3本…』
『だよな』
それでも日によってはそれでもまだキツイ時もあったりする。
けれど今日は受け入れるモノが無いのだから、そこまで広げる必要性は皆無なのだが。
チャンミンは反抗もせずにまた黙々と行為を続けていくつもりのようだ。
その後は終始沈黙という名の時間が過ぎ。
その間に俺も少しずつ下げた下着から開放された熱に意識を向けた。
チャンミンが一人で感じる部位を攻め落とした挙句。
勝手に吐精すれば、それまでだし。
俺にはそれが見れない代わりにあっちも俺の様子は分からないわけだ。
互いに、見えない姿を想像しては愉しむのも悪くは無いと思えた。
だが。
『ユノさん…….イケない、、、』
いかにも苦しげに切に訴える声に。
『ユノさんが………見たい……』
不覚にも、この俺が。
折れたんだ。
片膝を立てて、その間を利き手は忙しなく上下する。
少し離れた場所に立て掛けたスマホ。
俺の痴態を余すこと無く小さな穴はその全てを撮り込む。
その下のディスプレイいっぱいに広がるチャンミンの画像は。
惜しい事に全ては写しきれはしなかった。
いや、殆ど顔しか写っていないと言っても過言じゃない。
が、しかし…
腰を折ってその後ろを懸命に弄っているであろう姿に、俺の方が受けるダメージは大きく。
顔のみの画像とは言え、頬を紅潮させ、目を存分に潤ませながらも目線は必死にスマホに喰らい付いていた。
まるで、それが。
その口に俺をハメさせているみたいに見えて、、、
『……ど淫乱』
一瞬、震えてチャンミンは達した。
くそっ、
ハメてぇ…な。
出張初日で、見事に嵌った俺の。
戯れだ。
end
皆様に幸あれ♡
↓えりんぎさんからバナー画像を貰っちゃいました💕イメージ通り!!
有難う!えりんぎさーん(੭ु ˃̶͈̀ ω ˂̶͈́)੭ु⁾⁾

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