2016_06
12
(Sun)00:00

オトコはツライよ #7







今日は朝から本店のお偉いさんがこの支店に来ていて。

 
課長は一日中、その対応に追われていた。

更に出世するとこれを僕もやらなきゃいけないと思うと憂鬱になる。

日中は良しとして、夜の接待まで付きっ切り。

今の僕が課長の立場なら。 

息子のお迎えは誰が行くんだ?

…ま、僕が課長職に就く頃には息子も一人でお留守番が出来るようになっているかもしれないし。

か、もしくは……

無い無い。

気が早過ぎる。

と言うか、再婚なんて考えた事も無かったのに。



近頃、隣人の来訪がきっかけで。

二人で分担して家事や育児を行なう楽さをまた思い出してしまった。

こうして夕飯を作っている間も、息子の遊び相手をしてあげられないし。

御飯が用意出来たところで、僕の食事は後回し。

まだ一人では上手くスプーンで食べる事が出来ない息子への食事補助が最優先。

息子の口にスプーンを突っ込んで、咀嚼している隙に自分の口へも放り込む。

食べたようで食べた気がしない食事が済んだら。

腹を休める間も無く次はお風呂の準備。

帰宅してから常に身体を動かして。

風呂上がりにビールを飲んでうっかりとそのまま息子と寝る事もしばしば。

けれど、不意に目が覚めて。

キッチンに残された洗い物を思い出してげんなりする。

このまま目を瞑って朝を迎えたら。

妖精がこっそりと洗い物を片付けておいてくれないだろうか…

そんな馬鹿げた事も、この頃はしょっ中考えてしまう。





疲れてんのかな。






重い腰を上げてふらふらとキッチンへ向かおうとして。

控えめなノックが一回、聞こえた気がした。



玄関の覗き穴を目を凝らして見たら。

そこには。

つむじがあった。





「お疲れ様です…どうしました?」



「あ~ごめんねぇ…こんばんは~」
「………酔ってますね」
「う……ん。ちょっとふわふわする…」
「中入って水飲みますか」
「あぁぁ…うん、お願いします…」



酔ってるけど意外と礼儀正しい。

第一、インターフォンを使わずにドアをノックしてくる事自体が凄い。

飲むと碌な事が無いって聞いていた割には、そんな風には見えなくてホッとした。

課長は飲んで暴れるタイプでは無いようだ。

水の入ったコップを渡せば大人しくそれを飲み干す。



「はぁ…おいし…」
「普通のミネラルウォーターですけど」
「それがボクには一番合うんだ…」
「…そうですか」
「うん…」
「……」



課長は首を締め付けていたネクタイを緩ませて。

大きく伸びをした。


…寛いでんなぁ。



「って、ごめん、、、ウチじゃ無かったのに…」
「あ、別にいいですけど」
「…これをさ、渡したかったんだ」
「……何ですか?」
「お土産。美味しいらしいよ」
「…へぇ…」
「一人じゃ食べ切れない量だからさ…明日の朝にでも食べてよ」
「はぁ…」


いやいや。

僕と息子だけでも無理な量ですよね?


もしかして……



「朝御飯、…一緒に食べますか?」



答えは分かってるけどさ。





「悪いよぉ………本当にいいの?」




ですよねぇ。







飲むと大抵碌な事が無いか?







僕が食器を洗っている間に。

課長はリビングで眠ってしまっていた。





確かに。

本当、碌な事がねぇ……










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